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地元に根差した中小企業だからこそ、関わる地域を元気にしたい~京都中小企業家同友会南支部~

まちに根差した中小企業がつながりあい、「地域とともに歩む」を合言葉に団体活動や地域活動をされている一般社団法人京都中小企業家同友会。6地域会22支部に1760社の会員(令和5年1月末時点)が在籍されており、「よい会社をつくろう・すぐれた経営者になろう・経営環境を改善しよう」の3つの目的で活動されています。
 
令和4年2月、同友会南支部と南区役所は、南区の持続可能なまちづくりや地域課題の解決、地域内経済循環の促進にともに取り組んでいくため、地域連携に関する協定を締結しました。
 
今回は、同友会南支部の皆さんに、豊かな地域づくりに向けた取組や思いについてお話をお聞きしました。
 
お話を聞いた人
横手はゆかさん(南支部長  合同会社はゆか事務所)
石﨑信也さん(副支部長 株式会社しんやさい )
慶山大輝さん(副支部長 株式会社ケイヤマ商店)

Q.南支部の概要を教えてください。

横手―令和5年6月に支部設立50周年を迎える南支部には、現在133社の会員が在籍しており、業種は各種ものづくりの企業から、飲食店・コンサルタント業・士業まで多岐にわたります。若干多いのは運送業です、最近は農業の方も多いですね。原則は南区に事業所またはお住まいのある経営者が会員として所属されていますが、様々な理由で南区外の方が南支部に所属されることもあります。私も会社は山科区にあるのですが、経営理念などを素晴らしく体現されている方が南支部に在籍されていて、ぜひ私も南支部にと思い、入会しました。
 
石﨑ー今年度は、地域連携・ダイバーシティ部、例会・組織部、交流・広報部という3つの部会ごとに活動しています。
 
横手ー事業の柱は、会員が顔を合わせて学びあう「例会」です。例会では、会員が経営者としての実践の経験を報告し、グループに分かれた討論により自社の課題や自分たちに何が足らないのか、どう活かしていくかを学びあいます。
 
慶山ー地域に何かできないかと考えて活動しているのが地域連携部です。我々中小企業は地域に根差して事業をしているため、地域が活性化しないと中小企業も活性化しないですし、地域があってこそ我々があると思っています。
 
石﨑ー例えば3か月に1回の南区一斉清掃や、地域にある教育機関や金融機関との連携などを行っています。また、この3月にはマルシェの開催を予定しています。
 
慶山ーさらに、昨年度からはダイバーシティ部を立ち上げ、SDGsやLGBTQについて皆で学んでいます。

例会の様子

Q.教育機関との連携はどのようなことをされていますか?

慶山ー南区にある塔南高校や鳥羽高校、同志社大学のゼミとの連携を図っています。地域連携部ができた平成27年から学校との連携は積極的にしています。近年でいうと、未来デザインプログラムという塔南高校のキャリア教育の中で、会員企業が出前授業をしたり、会社訪問という形で生徒に会社に来てもらいました。また、鳥羽高校では出前授業を行いました。「地元には頑張っている会社があるんや!こういう仕事が京都にあるんやったら、京都で就職したい」って生徒に思ってもらいたいですね。中小企業をもっと知ってもらう機会を作っています。

塔南高校での授業の様子

Q.意欲的な活動が様々あるようですが、取組への気運をつくる秘訣を教えてください。

慶山ー基本的に各部会に興味のある方が参加しています。地域に何かしたいとか学びたいという思いのある会員ですね。
 
石﨑ー南支部が自主的に何かをしようという雰囲気になったベースは、一斉清掃への参加だったというのは聞いています。もともと町内会や自治連の活動を積極的にされていた先輩が、地域連携の大元を作ってくれました。京都中小企業家同友会が全く地域で認識されていないときから、同友会南支部として参加されていたおかげで、いまも地域に何かしようという意識が根付いていると思います。

横手ー令和4年2月に南区役所と地域連携に関する協定を結び、その後の例会で南区長をお呼びし、南区のまちづくりの課題や一緒に何ができるかを話してもらいました。南区長の話を聞き、南支部の一人ひとりが自分の会社も地域貢献できるような会社になりたい、自分たちが応えていきたいという気持ちがより強くなっていったと思います。

南区一斉清掃の様子

Q.みなさんは、入会以前から自分たちのまちに貢献し、地域と関わっていたのでしょうか?また一方で、地域に対してどのように動いてよいかわからないという会員もいらっしゃるのではないでしょうか。

石﨑ー私は農業を事業としています。会社の所在地は南区ですが、職場は久御山町や伏見区や宇治市です。以前は、「地域」と言われて連想するのは仕事で通っている場所でした。それが、令和元年11月に南区役所と南支部が共催した「みなみなみなみ」というまちづくりカフェ*の取組がきっかけで変わりました。様々な職業・立場の方々が集い、南区の将来について意見交換する場でしたが、そこで隣り合わせたのが九条湯の猪飼さんです。廃業した銭湯をレンタルスペースとしてリニューアルし、管理運営をされている猪飼さんと話していくうちに、マルシェを企画したいと考えておられることがわかりました。私が農業をしていることを知って、手伝ってほしいという話になり、その後、子ども食堂の活動をされている方を紹介してもらうなど、どんどんご縁が広がったのです。私も、住んでいる地域を大事にしていこうという思いがわいてきて、地域連携部の活動へと繋がりました。
*南区のまちに関心のある方が集い、語り合い、つながることを目的に平成28年度から区役所事業として17回開催(令和3年度から休止中)。
 
慶山ー自分たちも住民だからこそわかる地域課題に向き合って、それを解決したいと思っています。例えば南区の中には、意外と買い物が不便なところが多いです。3月に南区の「まちなかアート」の関連イベントとして南支部が実施する「みなみのマルシェ」も、近隣の方にとって気軽に買い物ができる機会になればと思い、準備を進めています。私は古着リサイクル業なので子ども服の古着販売ブースを出店したいと考えています。よく、「地域連携は何をするの?」と説明を求められますが、特段意識したことはありません。住民目線でできることをして、地域の人々をつなげる場を提供することが地域貢献になると考えています。

Q.今後の展望を聞かせてください。

慶山ー「みなみなみなみ」のようなまちづくりカフェの取組を同友会主体で開催したいと考えています。以前開催されていた時に、そこで様々な人と出会うことができ大変有意義だったので、ぜひそのような機会を作り、さらに地域が繋がれたらと考えています。

石﨑ー地域連携やダイバーシティの取組で、いろいろな企業を訪問します。お話を伺う中で、経営者の課題が中小企業家同友会に入会することで解決につながることって多くあると感じます。そういう意味では、同じ地域で悩みを抱えている経営者にどんどんつながっていただけたら、地域が活性化すると思っています。あわせて、私のような農業者にどんどん入会してもらい、他業種とつながることで一緒に農業界を底上げしていきたいです。
 
横手ー中小企業家同友会の活動への参加は、実際に温度差はあると思います。会社の成長過程もあるので、そこはある程度仕方ないと思います。事業を始めたばかりの会社に地域貢献といっても、まず売上をなんとか上げることを優先されるのが正直なところです。私たちの活動は「自主・民主・連帯」を重要視していて、活動への参加もあくまでも「自主」が尊重されます。無理やり水を飲みなさいと持っていくのではなく、いつでも飲みに来てくださいと間口を広げることを心掛けています。地域連携の取組や例会は「よい会社をつくるため」に全部つながっています。中小企業家同友会を通じて、地域や世の中に貢献できる企業が増えていくことに私自身やりがいをもっています。

イベント情報

みなみのマルシェ
日時:令和5年3月11日(土)午前11時~午後4時
   ※雨天時3月19日(日)に順延
場所:下殿田ガーデン(南区東九条下殿田町24)


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