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買い物支援の取組①“お買い物の場“づくりから始まる生活支援~買援隊~(山王学区)

高齢化の進展とともに、2025年には市民の5人に1人が後期高齢者になるといわれており、日常生活の中で不自由を感じる高齢者を、みんなで支え合う仕組みや活動が求められています。
とりわけ、買い物をしたり、荷物を持ち運ぶことに関する困りごとは、地域の住民と民間事業者・商店街等の多様な協力者が共に取り組んでいくことが解決の糸口となります。また、地理的な条件や身体的な状態が左右する「買い物」は、子育て家庭や障害のある方も含めた地域全体の課題でもあります。(引用:京都市地域支え合い活動創出事業リーフレット 「買い物から広がるささえあいのわ」より)

今回紹介する山王学区では、2022年4月、地域の方々と支援機関らが集まって買い物活動を支える実行委員会が誕生。5月より週1回、移動販売車を迎え入れる形で「買援隊」がスタートしました。
会場となっているのは、京都駅八条口から徒歩15分、高齢者交流事業や多文化交流ネットワーク事業を通じ、東九条の地で人々の暮らしをサポートしている地域福祉センター「希望の家」の駐車場です。
5月の開始から「買援隊」の活動を支えている実行委員会の皆さんにお話をうかがいました。

お話を聞いた人
長谷川さん(山王学区社会福祉協議会会長)
九十九さん(山王民生児童委員協議会会長)
山中さん(希望の家)
出口さん、金井さん(東九条地域包括支援センター)
桐澤さん(南区社会福祉協議会 統括地域福祉コーディネーター)
中野さん(同、地域支え合い活動創出コーディネーター)
 


Q.「買援隊」がスタートしたきっかけ、その時のみなさんの思いを教えてください。

九十九ー私たちの暮らす山王学区の京都駅周辺は、コロナ以前に外国人観光客の増加に伴ってホテルが相次いで建設されてきた地域です。そして、特に河原町通から東側は、スーパーが近年撤退したりと買い物が不便になってきたと感じていました。

出口ーこの地域では、生活に身近な商店が次々に閉店してしまったことで、ここ数年生活支援の必要性が顕著となっています。地域の方からは、「こんなはずではなかった、住みにくくなってきた」という声をよく聞くようになりました。元気な方は、ちょっと足を延ばせばイオンモールKYOTOなど大きいスーパーへ行けるけれども、高齢の方や身体の具合によって、買い物が困難な方も多くいらっしゃる地域です。

桐澤ー昨年度、地域の方々から「買い物に困っている方々に買い物支援ができないだろうか」というご相談があり、さまざまな方に協力を呼びかけ、実行委員会を設置。話し合いを重ねることで、5月から移動販売の実施に至りました。

出口ー移動販売は、以前から実施したいという思いはありましたが、集客が見込みにくいという理由で、なかなか協力する事業者を探しにくい状況でした。

中野ーその頃、ちょうど現在の事業者の移動販売がスタートし、区内の何か所かのマンションや施設に行くようになっていました。今なら移動販売のルートに空きがあるとのことで素早く決定しました。
 

Q.地域の学区社協、民生委員の方々も参加され、お客さんへきめ細やかなサポートをされていました。実行委員会のみなさんが買い物をサポートされる際に気をつけていることを教えてください。

九十九ー何より私たちが元気な顔で迎えるようにしています。来てくれた方にお声かけして、会話を楽しんでいます。我々運営スタッフも地域のお客さんもお互いに一週間に一度ここで会えることが嬉しいようで、お互いに気になっているのだと思います。

長谷川ーよく来られている方が今日は来られていないとなると、「あれ?今日はどうしたのかな」とすぐに気づくんです。しばらく来られないと体調を崩されていないかなど、それとなく気にかけて見守っています。

九十九ー一人暮らしの人も多く、たくさん買うと持ち運べないので、購入量や重さも気にしています。たくさん購入されずっしり重たい時は、持って帰れるかどうか声をかけるなど、お手伝いできる範囲でサポートしています。

長谷川ー高齢者のみなさんは買い物の行き帰りに、交通量の多い通りも昔の感覚で渡ってしまい危険なことがあります。買援隊の取組においても、安心安全な中でお買い物を楽しめるように見守っています。

Q.地域の方の生活背景や状況を察し、そこから生まれる配慮が会話の中に光る買援隊。買い物支援という“場”を通して得るもの、買い物支援の先にある「生活支援」とはどのようなものでしょう?

桐澤ー私たち福祉の支援者たちにとっても「生活を支援する」ということが重要な役割になっています。「小さいサイズのおかずが欲しい」という意見がある一方で、「卵は大きいパックの方がよい」「アイスは箱で買いたい」という意見もあります。買援隊の活動を通し、要望を直接肌で感じることで、生活感をもって必要な方の支援に関わることができます。また、お買い物に来られた方々と話すことで、買い物支援に留まらず、自宅の掃除や入浴など、その他のお困り事についても知ることができ、こうした“場”は、とてもありがたいです。

中野ー買い物支援でお客様へ声かけをすることにより、その方の体調の変化などにいち早く気づき、地域包括支援センターなどに繋ぐことができます。コロナ禍で大変な中、少しでもお困り事の解消、社会的なつながりづくりに貢献できているのではないかと思います。また、買援隊の移動販売という“場”が、地域の方々の居場所にもなっていると実感しています。

桐澤ー居場所が少ないこと、買う事は出来ても運搬が困難なこと、運動の必要性など、それら全てを含めて「生活支援」と考えています。買援隊の取組をまずは無理なく継続させて、それを軸にして、地域の皆さんがお互いに見守る関係性が築けていけたらよいと思います。

Q.本日は、希望の家に実習に来ている大学生らが参加されていました。地域も大学生も「買援隊」の取組を注目しています。若者世代へ一言お願いします。

山中ー今日来てくれているのは、社会共生実習としてこの地域で学んでいる学生たちです。
地域の中での“共助”の取組として買援隊に関心を持っているとのことで、私たちも頼もしく思っています。

金井ー地域包括支援センターでも、実習生という形で若者を受け入れており、買援隊の現場にも参加しています。「実体験に触れる」という経験は、とても価値が大きいものです。いくら事例紹介をしても、肌感覚では分からないことがたくさんあります。買援隊という“場”を通して、みなさんのお話を聞いたり、お世話をしたり、お買い物を楽しんだり……そうしたことで得る“自分がしゃべって得た感触”は、実習生の心に残ると思います。

出口ーコロナ禍で、触れあう機会が減ってきていて、触れあわないことに慣れてしまうということが、高齢者福祉の現場でも問題になっています。社会全体がそうした傾向にある今だからこそ、実習での経験は貴重です。

長谷川ー半年やってきて、希望の家、南区社協、東九条包括支援センター、それぞれの実習生が買援隊に参加していただき、感謝しています。学生の皆さんは自ら考えて、伸びていく存在だと思うので、これからもがんばっていただきたいと思います。

九十九ー次の世代に代々、きちんと継承していけるよう私たちも頑張らないといけないし、若い方々にも頑張って欲しいなと思います。福祉は気持ちで動かないとできない、心からお年寄りを労わる気持ちが大切です。私もお姑さんと暮らしてきた経験があるから、やはり世代の違いで苦労することは分かりますが、若い方たちには、高齢者の抱える問題もしっかり見て欲しいと思います。


Q.これから「買援隊」でどんなことをしてみたいですか?また、「買援隊」の取組がもたらす可能性について教えてください。

長谷川ーここだけでなく、近隣の店舗の方々にパンやお菓子を販売していただいたり、また食品ロスのことも考え、山王・東九条だけでなく、他の地域から規格外の野菜をわけていただいたりできたらいいなと思っています。

桐澤ー買い物に困っている地域は他にも出てきていて、それぞれのやり方で買い物支援が始まっています。この買援隊のように、地域の方々が自らの地域の住民福祉に取り組むような事例が他の地域にも広がり、お買い物にお困りのみなさんへのサポートに繋がれば嬉しいです。

<買援隊スケジュール>
毎週木曜日9:40~10:10(年末年始や荒天時など、お休みする週もあります)
地域福祉センター希望の家駐車場で開催中!
住所:京都府京都市 南区東九条東岩本町31


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