キズパワーパッドを使ってみた

軽く擦りむく程度の怪我をしたら、まずは洗って、その後消毒をして絆創膏などをして患部を守り清潔にしていると、やがて患部にかさぶたが形成され治っていくのが一般的な対応と思っていた。これを「乾湿療法」というらしい。

しかし皮膚の再生メカニズムの研究などから消毒薬は傷口の細胞に大きなダメージを与えるということがわかり、また患部を乾燥させるよりも滲出液(体液)で潤った状態を保つ「湿潤療法」のほうが痛みも少なく細胞の再生が早いことが確認され、それに対応する絆創膏として生まれたのが「キズパワーパッド」である。

手の怪我なので、できれば傷跡が残らない方法で治したい。本当に、傷跡が残らないのか。

いよいよ私にも試す時がやってきたのである。

キズパワーパッドには、さまざまなサイズがあった。
指だから「ふつう」で十分だろうと思っていたが、私のすり傷はふつうサイズでは収まらなかった。しかし家にはそれしかなかったので、はみ出し気味に無理やり貼って、大き目サイズをネットで注文した。明日には届けてくれるらしい。

しばらくすると、キズワパーパッドの端から汁が漏れてきていることに気付いた。

は?ヤバ。

傷口の部分がいつのまにかパンパンに膨らんで横から液が漏れている。どこからこんな水が溢れ出すのか不思議だったが、この液体こそ、滲出液(しんしゅつえき)らしい。この体液のお陰でかさぶたを作らずに傷を早く治すらしいのだ。

ど、どうしたらいいのかといちいちネットで調べる。張り替えが必要らしい。

さっき貼ったばかりのパッドをぴりぴりぴりとそっと剝がしていくのだが、患部に当たっていた部分を剝がすのは当たり前に痛い。
張り替え時には必ず傷口を洗うことと書かれている。おとなしく従って水分を大雑把に拭き取り、新しいものを付ける。8枚あったキズパワーパッドが、あっという間になくなってしまった。

翌日、待ちに待った大きめサイズが届いた。傷は相変わらずパンパンに膨らんでいる。早速張り替える。今度は傷口より二回りくらい大きいせいか、傷口がきちんとカバーされている安心感も芽生えた。そして、汁が漏れてくることはもうなくなった。

果たして、いつまでこのパッドを使えばいいのか。

「傷口が白く膨らまなくなったらもう使用しなくてOK」とネットで見たが白く膨らまなくなることがない。それに「防水」とは言っても水で濡れると端のほうが剝がれてくるから、張り替えないわけにはいかない。

そうして3日くらい様子を見ていたら、一本の指にある二つの傷が膨らまなくなった。

あ、これが「使用を中止していい合図」だ。

剥がす時も痛くなくなった。見ると、幹部にピンク色の新しい皮膚が生まれている。確かにこのパワフルなパッドで覆っていると、傷が早く回復することを実感する。

ただ、傷は完治しているわけではない。この生まれたばかりの柔な皮膚を曝け出したまま日常生活を送れるのだろうかと不安になる。利き手だし、傷は関節の部分なのでぶつけるのが怖い。普通の絆創膏を貼って保護することにした。

残りの一本のほうは傷が深いらしくいつまでもじゅくじゅくと痛みも続いていたが、その後2日位したらようやく傷口部分が白く膨らまなくなった。先の一本と違い、患部の真ん中が黄色いが、新しい皮膚はきちんと形成されていた。

ピンク色をした傷跡はそのまま残ると困るので、日焼け止めを付けて防止することにした。

「キズパワーパッド」は、確かに傷を早く治してくれる。多少高くつくが、これからもこの方法を試したい。

しかし、傷を負わないよう用心することが一番である。