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『青』がきれいな映画が好き

アマゾンオリジナル『明日への地図を探して(原題:The Map of Tiny Perfect Things)』を見た。原題に対しとんでもない邦題が付けられることも多いけど、本作はかなり素敵なタイトルだと思う。

STORY
主人公マークは同じ一日を繰り返すタイムリープにハマっている。憎まれ口ばかり叩く妹と、暇そうな停職中の父親、そのお陰で朝から働き詰めの母親との4人暮らしだ。退屈しながらも人助けをしたり、好みの女の子の危険を回避してあげたりしてほどほどに楽しみながら過ごしていた。毎日起こる事は変わらないはずなのに、ある日初めてマーガレットに出会う。話をしてみるとやはり同じくタイムリープにハマっているという。マークは好意をよせるが、マーガレットに同じ境遇の者同士気まずくなるのは嫌だからと関係を深めることを拒絶され、気を落とす。夕方になるとある男からのメールで姿を消してしまうマーガレット。偶然彼女の事情を知り、なぜこの日を繰り返すのかやっと理解するマーク。自分はマーガレットの物語の脇役だった!これまで関心のなかった家族に目を向け、妹の試合の応援に行き父親の事情に理解を示すとマークの周辺に変化が訪れる。絵が上手で美術大学を目指すマークは、街に起こるちいさな奇跡を地図に描いていた。この日を永遠にでも繰り返したかったマーガレットだったが、マークと一緒ならと一歩踏み出す事を決意する。地図を見てもしかしたら町の奇跡が起こる時間と場所がタイムリープのヒントかもしれないと物理的計算を始めてみる。

青が好き。

家具、洋服、小道具に(群青色のような)きれいな「青」がふんだんに使われていて、映画『First Time』と同様、映像美にうっとりしてしまう映画だった。
 
映画に「青」を使うのは、よくある手法だという。
 
1990年頃まで映画の撮影方法として主流だった銀塩式フィルムを用いるフィルム撮影にかわり、デジタルビデオを用いて磁気テープやハードディスクに保存する撮影方法が登場。2002年に公開された「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」では初めて全編がデジタル撮影され、現在ではほとんどの映画がデジタル撮影で撮られているそうだ。
フィルムからデジタル撮影へ移行したこと、でソフトウェアを使ってさまざまなシーンに「単色のカラースキーム」を適用させることが簡単にできるようになった。単色のカラースキームの中でも多く使われることになったのがオレンジで、俳優や女優といった人間の肌の色をオレンジ系統の色で調整し、背景をオレンジの対角線上にある青系統の色で調整する。人間は目に映る色から無意識に心理的影響を受けるため、色味やトーンを整えて作品の世界観を作り上げていくカラー・グレーディングという手法が多く採用されているという。

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このポスターも、マーガレットの着ているスウェットの青みがきれい。

タイムリープSFというジャンルにとどまらない、恋愛ものとして楽しめた。タイムリープものなら『ハッピー・デス・デイ』『パーム・スプリングス』が思い浮かぶが、『パーム・スプリングス』同様女子が計算でタイムリープから脱出を試みるところもたのもしくて良かった。ちいさな奇跡を集めていく過程もかわいく、爽やかなストーリーも良かったから、大好きな映画の一つになった。