蒸籠を買った話

蒸籠を買った。
小さい頃から実家にはあったものの、母が焦がしてしまったかカビが生えたかで捨ててしまって、いつのまにか消えていた蒸籠。

なぜ今回蒸籠の購入に至ったかというと、
それはインドネシア人の叔母が理由である。

私の父の弟は国際結婚をした。
インドネシア人の叔母であるルイちゃん。そのルイちゃんはべらぼうに料理がうまいのだ。

高校生の時、毎週塾までの時間を潰すため家に寄らせてもらっては晩御飯をいただいていたのだがそれはそれは毎回楽しみだったし、全部売り物並みに美味しかった。

中でも飛び抜けて美味しかったのが肉まんだった。
フワッフワの生地に餡は旨味がたっぷりで日本の味とは少し違う肉まん。
これでお店開きなよ!と冗談抜きで私たち家族は勧めていた。

一人暮らしをして5年、ほぼ毎日自炊をする私。
ある日ふと、ずっと忘れてた肉まんの記憶が蘇った。

あれ作りたいな

ゴールデンウィークに帰省したところ叔母と会う機会があり、レシピを聞いた。
なるほどなるほど。日本にはない味だなと思っていた味の正体はインドネシアの調味料「ケチャップマニス」だった。
ケチャップマニスっていうのは醤油ベースで甘くてどろっとして、旨味たっぷりの調味料。
見た目はオイスターソースに似ている。こちらはカルディでも手に入る。

早速レシピを手に入れたわけだが、手作り肉まんについて調べていると気になることがあった。
「肉まんを蒸すなら絶対蒸籠!」
「金属製蒸し器はべちゃっとするので注意」

蒸籠かあ
持ってないな。
でもルイちゃんも大きな蒸籠を使って蒸していたし、食に関して妥協したくない私は蒸籠の購入を検討。

いろいろ調べていくうちに私は蒸籠の虜になっていた。

・蒸籠には様々な種類、サイズがある
・蒸籠は手入れが簡単である
・蒸籠で蒸したらなんでも美味しい

まずサイズ、種類のこと。
蒸籠は大きく分けて3種類あって、それが杉、竹、ヒノキである。
でも、当然ながら味に違いは出ない。一番高価なヒノキは、耐久性が優れているらしい。
サイズはだいたい15センチ〜30センチほど。(業務用だとそれ以上)
母が中華街にある蒸籠の名店「照宝」の店員さんに聞いた話だと、24センチ以下は食器で、それ以上は調理器具という位置づけだそうな。

次にお手入れのこと。
蒸籠は、水で軽く洗い流すか濡れ布巾で拭く程度でOK。
洗剤やスポンジでゴシゴシは絶対にNG!乾かずにカビが生えてしまうみたい。

蒸籠で蒸したらなんでも美味しい
これが一番惹かれた。なんでもって何さ。
調べてみると、パンの温めや冷凍ご飯のあたために蒸籠を使うと、レンジと全然違うらしい。
パンは焼きたて、ご飯は炊きたてのようになる…とのこと。本当だろうか。
この時点で私の蒸籠への期待はMAXになっていた。

一刻も早く蒸籠が欲しい。
私は楽天で鍋と21センチ竹蒸籠がセットになったものを注文(ほんとは24センチが欲しかったけど売り切れだった)し、ご要望の欄には「最短で発送お願いします」などと抜かし完全に蒸籠のことで頭いっぱいの浮かれた女になっていた。

Xデー
蒸籠到着

肉まん作りに取り掛かる。
肉まんの皮はパンと同様に発酵が必要なため、料理が嫌いもしくは苦手な人は気が引けるであろう。
だが、いい。その工程を乗り越え私は世界一美味しい肉まんで幸せになるから…

包み方はyoutubeで見ながらやったけどなかなか上手くできたと思う。
いざ蒸す……!!!

14分蒸してタイマーが鳴り、蒸籠の蓋をオープン。
フワア…とモクモクの蒸気がキッチンを包み、竹の香りが広がって幸せになれる。

蒸しあがった肉まんは、蒸す前より1.5倍ぐらい大きくなっていてミチミチになって4個並んでいて、なんか愛おしいよ。
さっそく食べてみると、それはルイちゃんの肉まんとは似て非なるものだった。
美味しいけどなんか違って、改良の余地がある感じ。

でも、コンビニの肉まんと一つ決定的に違うところは
「蒸籠の香り」だ。

口に含むとふわっと竹の香りがする。これ、中華料理屋さんで食べるおこわと同じ風味だ。
この独特の風味ってなんだろうって思ってたものは、蒸籠の香りだったんだ。
なんかそれを知れただけでも満足だ。

次の日、職場にお弁当として二つ持って行った。
上司に「肉まん二つ食べてる」と突っ込まれ、「昨日作ったんです」と言ったら
「え!!売り物かと思ったよ!包むのが上手だね」と言われニンマリした。
あとね、手作りの肉まんは温め直さなくても硬くならない。ふわふわのまんま。

夜に温野菜も作ったけどこれがまあ素晴らしく美味しい。
ブロッコリーとか、茹ででもレンジの感じでもないパリッとしてホカホカで…
キャベツは甘くてジューシー。
つけダレを自分好みで作って食べるのも楽しい。
私はネギ×生姜×醤油×酢×ごま油でよく食べるけど、特に美味しかったのは
ごま油×塩×ブラックペッパー。シンプルisベスト。

朝ごはんにはライ麦パンとブロッコリーとソーセージ(香燻)と殻付きの卵を入れてセット。
確かにパン、フワッフワになる。ソーセージは焼くより茹でるより美味しいのでこれはぜひやって欲しい。パリパリで肉汁がすごいことになるから。
卵は時間の調整か難しい。多分、冷蔵庫に入ってて冷たいからだと思うけど。

蒸籠が来て3日たったけど、まだ肉まんと温野菜しかやってないから色々試行錯誤していきたい所存。
蒸籠はいい。食生活が豊かになるし、シンプルなのに美味しくて体が喜ぶから。
調理法に困る野菜も、きのこも、ぜーんぶ蒸しちゃえばとにかく美味しいから。

蒸籠買おう、みんなも。
No 蒸籠 No life…


蒸籠を買った話
2021.5.11

画像1

画像2

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?