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教科書の文学ー『山月記』と『故郷』ー

こんにちは。

高校の国語の教科書から小説を減らす、というのがどうやら近いうちに実現するようです。

共通テスト(センター試験に代わる試験)に小説が出ない

だから、教科書にも載せない

ということらしいです。


「教科書に載ってなくても勝手に読めばいい」
とか
「小説なんか会社で必要ない」
とか
「もっと受験に必要な評論とかを読むべきだ」
とか、色々な意見があると思いますが、教科書から文学が消えていく、ということに
「…なんかつまらない」
と思う人だって多いと思います。


教科書から
夏目漱石『こころ』
中島敦『山月記』
横光利一『蠅(はえ)』
芥川龍之介『羅生門』
魯迅『故郷』

などが消えたら、これらを読む機会はあまりないんじゃないかな、と思います。

「学校で習ったときは確かにそんなに面白いとも思わなかったけど、あとになって読み返したら面白かった」
というようなのも、一度習ったことがあってのことなので。


上にあげたものの中では、習った当時最も面白かったのは『山月記』で、大人になってから再読して面白かったのは『故郷』です。


《山月記》

これは、虎になった李徴(りちょう)がヤブの中から躍り出る、という話です。

私がこの小説を学校で習ったとき、国語の先生がめちゃくちゃ朗読のうまい人で、どれくらいかというと
「劇団員の通し稽古?」
というくらい、読むのが上手でした。

だから、
「はたして一匹の猛虎(もうこ)が、草むらの中から躍り出た!!」
というのが、いまだにその先生の顔と音声つきで、頭に残っています。

…けれどそれ以外すっかり内容を忘れてしまったため、近々読み直してみよう、と思います。

その先生の授業というか、朗読は毎回楽しみにしていました。
だから、国語の先生は、自分の「殻」をやぶってすごい朗読をすれば生徒にうける、と思います。


《故郷》

魯迅は中国人で、日本に留学していたこともある作家です。
原書は中国語で、日本語訳も色々あります。

学校で習ったときの記憶はあんまりないのですが、大人になってから、光文社古典新訳文庫から出ていて、ふと読んでみたんです。

そしたらすごく面白くて、すっかり魯迅の作品が好きになりました。

他の人の訳も定評があるんですが、私は魯迅の訳は、藤井省三先生のものをオススメします。
「先生」
とか言って、会ったこともない方ですけど…。


ということで、教科書から小説が消えゆくのは世の中をひとつ、つまらなくしてしまう、と私は憂う、というお話でした。

⭐⭐⭐⭐⭐魯迅『故郷/阿Q正伝』藤井省三訳
           光文社古典新訳文庫

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