パワースポットばあちゃん
祖母に会ってきた。
会社を辞めてから初めての対面である。
ちゃんとしていない自分で会うのは気が引けて、なかなか会いに行けなかったからこそ気まずい。
会社を辞めた経緯とか聞かれんのかなぁ〜だるいなぁ〜って思っていたところ、第一声
「暇なの?就活しなさいよ!」
一括。
そりゃそう。そりゃそうなんですよ。しろよな。わかる。
「それな」って返してしまった。
一気に気が楽になる。うちの祖母は全く気を使わないところが逆に気持ちが良い。
これで「いろいろ大変だったね、話聞くよ」なんて言われてしまったら気まずさのオンパレードだけれども、「早く働け」とハッキリ言われたら笑うしかない。「だよねぇ〜」と茶を啜る。
相変わらず祖母は近所の悪口と婿の悪口を言いまくっていて安心した。本当に孫というポジションで良かったと思う。孫はだいたい何しても許されるから。
元気な祖母にひ孫の顔でも見せてやりたいとぼんやりと思う。無職で彼氏もいないのにおこがましいにもほどがあるってんだよ。
人間は勝手に相手を気遣ったり、慮ったりするものだけれども、好き勝手言いたいことを言うほうが実は相手を楽にしたりすることもあるのかもしれないと思う。
大概の場合でそれがうまく行くとは限らないのだけど、「大変だったね」「辛かったね」「何でも聞くよ」なんて言葉より「てめぇアホか」って言われた方がマシな場合もある。
そういう素直な付き合いのできる人間関係を築くのは、昔と違いなかなか難しくなってきていると思うけどね。
これは、ばあちゃんと孫という程よい距離感のある肉親であるのがちょうど良かった。
転職サイトから鬼のようにかかってくる電話を無視している。
私の社会復帰はいつになるのやら。
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