一人デート(仮)第一回 in吉祥寺

18年間生きてきて、恋人のいたことが無い。その前に、自分と真っ向から向き合えたことのないように思う。恋人同士、夫婦同士の関係において「すれ違い」という言葉が使われるが、それを一人で起こし続けて18年経ったような気がする。
自分と向き合いながら、自分と会話をしながら街を歩こうと思い立った。初めて訪れる街を気ままに散策した記録である。

 11時、吉祥寺駅。美容室にカットとカラーをしに来た。生まれて初めて男性の美容師の方に接客していただいたが、伝えたかったこと、要望、相談が全てうまくいった。「耳の下くらいの長さで」という曖昧なオーダーにもきちんと対応してくれ、インナーカラーも鮮やかかつ上品なピンク色が出た。ピンクは色落ちしやすいから、バイオレットを混ぜたので色の変わる様子を楽しんでほしいとのこと。その美容師さんとは、大学の話、ライブハウスの話などをし、ほんの少し盛り上がった。軽くするために梳いてもらった後、お会計のときに学割のために学生証を見せると、「いいと思いますよ、そういうまじめなところ」と言われた。まじめか?とも思ったが、褒められたのは素直に嬉しかった。

 12時半、カフェでカヌレとコーヒー。カヌレって意外と小さいのね。皆絶対に思っているはずなのに。美容室を教えてくれた友達に感謝のラインを送った。

 1時、井の頭公園。ジブリ美術館、休館。動物園、予約が必要とのこと。仕方なく、玉川上水の写真を撮った。「この玉川上水の中にはいらないでください。 東京都」
 散歩しながら考えたのは、もっと自分の言葉を皆大事にしてもいいんじゃないか、ということだった。あなたが思ったことや感じたことは他の誰でもないあなたのもので、SNSに吐き出すのは簡単だけれど、安売りしなくてもいいよ。少なくとも私は、その場で思ったことをぐっと抑えて、まとまった形で放り投げられたらなと思った。

 2時、井の頭公園へ行くまでに古着屋が並んでいたことを思い出す。その中でもとびきり可愛いシャツやワンピースの並ぶお店FLAPに入った。花柄のシャツを購入。上京し、服を自分で買うようになって、お気に入りの古着屋を見つけるのが楽しい。今まで着たことのなかったレースやフリルのついたキュートな服たちの中に飛び込んで、自分に一番似合う一着をすくいだすのがこの上なく好きだ。下北沢にもガーリーな古着屋プチコションがあるが、ここもお気に入りになった。

 3時、古書防波堤。他にも行きたい古書店はあったがどこもお休みだった。二冊購入。BGMも店主の雰囲気も良かった。

 4時、アトレの中を歩き回る。どこも人で溢れている。色々のことを考えて、自分と対話するのは、こういうときが多い。
 先日、ミソジニーとホモフォビアを伴うホモソーシャルに関する解説マンガを読んだ。当然のことながらそんな社会は間違っているよと思うのだが、女社会に目を向けたときに、「女なら」「女として」が飛び交っていることもまた事実であると思った。それに、男性が女性の容姿やタイプについて開けっぴろげに話しているのが私は大嫌いだし軽蔑するのだが、これも別に男に限った話ではないように思う。女だって男性の容姿や自分のタイプについて盛り上がるのだ。消費される性の対象としての女なんて言うが、女だって男を消費しないわけではない。品が無いから開けっぴろげにしないだけだ。私だって例外ではない。すべての弱者を救えないで何のためのフェミニズムだろうか。なんてことをぐるぐると考えてしまう。

 5時、椿屋珈琲。抹茶あんみつとコーヒー。高い。メイドさん素敵。買った本を読みながら、身も心も上品でありたいと思った。最近80年代ブームが私の中に来ているから、それもまた文章にしたいと思う。できるようになったら。

 あまり自分との対話、できていない気がするがまあいいや~。次は高円寺あたりに行きたいです。読んでくれてありがとう。

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