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スケートカバー、ブーツカバー

 私の通っているローラースケートのクラブでは、アーティスティック用のスケート靴を1年間レンタルできるサービスがある。成長期の子どもたちは、せっかく高価な靴を購入してもあっという間にサイズが変わってしまうので、とてもありがたいサービスだ。利用料は、1年間でたった50ドル(5千円くらい)。その他にデポジット(預り金)としてもう50ドル支払うが、これはレンタルをやめた時点で返金される。
 しかもサイズ変更はいつでも無料でできるので、子どもが「せんせーまた靴ちっちゃくなっちゃったー」と言えば、次のレッスンまでに取り換えてくれる。うちのクラブのボスは、金儲けのビジネスを起こしたのではなく、良い選手を育てるためにクラブを作ったんだという信念があちこちに滲み出ている優しいおじいちゃん先生だ。だから親たちも、コーチたちも、自然とこのクラブを助けたくなってしまって、ボランティアでお手伝いをするようになっていく。華やかさはないが、本当にいいクラブだと思う。どうか、ボスがずっとずっと元気にクラブを運営し続けてくれますように。

 そんな子供たちのレンタルスケート靴は、クラブの決まりで必ず自費でブーツカバーを用意して使用し、持ち運びにも必ずカバーをつけておくように指導される。アーティスティック用の白い革靴はすぐに擦り傷がついてしまうからだ。しかも、陸上での使用は氷の上より靴に傷がつきやすい。
 私はレンタル靴ではないのだが、つま先部分に擦りむけたような跡を作ってしまってから、屋内でも屋外でも常にブーツカバーを使用するようにしている。スケート靴は、多少の傷跡がある方が滑りこんでいるみたいでカッコイイ~という人もいるかもしれないが、私は靴はスケート靴に限らず、あまり見た目が汚れていない、清潔感がある方が好きだ。しょっちゅうスケート靴の買い替えが必要になるほどジャンプも飛べないし、それならできるだけ長く綺麗に使いたいし。
 


■ブーツカバーを使用するメリット

 ブーツカバーをしていると、汚れや傷がつかないだけではなく、他にもメリットがたくさんある。靴ひももぴたっと上から抑えられて緩みにくくなるし、紐の先がブラブラしないフックの金属部分に反対の足の靴ひもが何かの拍子に引っかかってしまう、なんてアクシデントもない

 ちなみに、どうしてもブーツカバーが趣味に合わなくて嫌だという人は、ハイソックスをブーツにかぶせて折り返すアイス用の店でブーツのヒールまで届くレギンスやズボンを買う、といった方法でも、同じように紐やフックの金具の問題をクリアすることができる。

 もう1つのブーツカバーのメリットといえば、足が長く見えることだと思う。試合では衣装の下に肌色のタイツ&肌色のブーツカバーを使う人が多いが、普段の練習でも黒のレギンスに黒のブーツカバーだと、私のような大根足でも錯覚で2割増しぐらい足が長く見えるのだ。私は、黒以外にもその日の気分でピンクやグレーなどのレギンスと靴カバーの色を合わせたりしている。


■ブーツカバーを購入

 アーティスティックの靴やMoxiなどの足首のサポートがあるタイプの靴は、アイススケートと全く同じ形をしているので、アイス用に販売されている市販のスケート靴カバーを購入すれば良い。アイススケートの店舗やネット販売を利用すれば、さまざまなカバーを購入することができる。Etsyというクリエイターの集まるサイトなどで、アメリカからローラースケート用のカバーを購入してもいいかもしれない。

 とはいえ、自分の趣味のあうカバーって、あんまりないんだよねぇ……。シンプルな色に飽きてくると、キラッキラしたやつを買ってみたりするのだが、そんな70年代ディスコ風なのも結局すぐに飽きてきてしまうのだ。もっと自分の趣味にぴったり合うカバーが見つかればいいのになぁ、と思っていたら、ある日カバーを自作している動画を見つけた。これだー!お気に入りの生地で好きなように作ってしまえばいいのだ。といっても私は残念な母親で裁縫もミシンもものすごく苦手なので、好みの布を購入して、作り方を説明して器用な妹にお願いしてみた。妹よ、あいらぶゆー!


■伸縮性のある布で手作り

 市販されているブーツカバーは、圧倒的につるっとした水着やレオタードに使われているストレッチ素材が多い。スパンデックス (Spandex)ライクラ (Lycra) と呼ばれる、伸縮性の高いポリエステル生地だ。伸縮性のある布だと、ブーツのサイズや形に多少の違いがあっても伸びてくれるのでフィットし、靴を選ばないし、形に添った細かい採寸がいらない。ブーツを被せたり外したりする時も、伸び縮みしてくれるので使いやすい。スパンデックスなら適度に通気性もあるので、ブーツ内の熱もこもりにくい。

 ただし、こういった伸縮性のある布の難点は、割とすぐに穴があいてしまうこと。毎週使っても1年以上持つ、といった素材ではないことは理解しておく必要がある。穴があいたら未練を残さず、さっぱり気分を切り替えて新しいカバーに交換したほうがいい。

 スパンデックスでなくても、伸縮性のある生地であれば何でもいいので、手芸店にどんなストレッチ生地があるのか、いろいろ見てみるといいと思う。スパンデックス以外の伸びる生地だと、伸縮性は落ちるが穴は開きにくい。妹は、ストレッチ素材の古着を再利用したりもしていた(上のトップ画像の白黒の縞模様のカバーは、もともとつるつるしたTシャツだったらしい)。


■ブーツカバーの作り方

 いろいろな動画に簡単にできるアイデアが紹介されているのだが、それぞれの良い所を抜き出してまとめてみた。

<必要なもの>

- 伸縮性のある布
- ミシン糸(色は布と同色にするのが一番だが、白か黒でも結構気にならない)
- ゴム紐(5mm幅くらい)
道具:ミシン、ハサミ、チャコペン(鉛筆でもOK)

①型紙をとる

 布は裏を上にして平らな場所に広げる。布が伸縮する方向を確認して、靴の水平方向(横)か、踵から靴ひものある部分に向けて斜めに伸びるように型を取ること。

<一番簡単なやり方>

 布の上にスケート靴を寝かせて靴部分の周りをなぞる。その周りに縫い代(立体になった時の横幅分を含む)を足して描くが、甲からつま先にかけての部分はタイトにフィットさせるために縫い代分も何も足さない(伸びにくい布の場合は縫い代1cmくらい足せばいいかも)。上下、足首の前側、足首の後ろ側から踵までの部分はだいたいすべて5㎝幅くらいでOK(この縫い代のとり方は、下のインディの動画で目で見ると分かりやすい)。縫う時には靴の周りをなぞった線を無視してはじから縫う。

 伸縮性のある生地なので(スパンデックスなら倍まで伸びることも)、割と大雑把な型紙のとり方でも大丈夫だ。きちんと採寸しない場合は特に、カバーが靴に対して大きすぎると採寸の合わない部分がたるむが、基本的に少しだけ実際の靴より小さめにしておけば、多少の採寸の違いも伸びてぴったりとフィットする。

<きちんとしたい人>

 靴を採寸して、きっちりと型紙を作り、上にはゴムのために3cm、下には5㎝、それ以外は1cmで縫い代をとる。細かく採寸する代わりに、一番下の動画のようにアルミホイルを使って型をとってから平面に伸ばし、なぞっても良い。

②生地を裁断

 布を2枚 、表と表どうしをあわせて、表面には裏がくるようにして裁断。1足分裁断したら、もう一度残りの布を表と表を内側にあわせ、その布の上に裁断した布(もしくはきちんと作った型紙)を置いてチャコペンでなぞり、2足目を裁断する。

 裁断前にまち針を使うのが一番だが、使わなくても重しを置いて切ればOK。

③縫製

 伸縮性のある生地なので、布が伸びた時に糸が切れないようにすべてジグザグ縫いで縫う。裁断の時のまま、裏返しにした状態で。伸縮素材は布のはじがほつれてこないので、横は折り返して縫わなくてもOK。上下だけはゴムを通す空間を残すために2cmほど折り返し、まち針でとめてから布のはじ側を縫う(はじはそのままでOKなので一度だけ折り返せばよい)。最後はゴムを入れる穴として1cmくらい縫わないままにしておく。

④ゴム紐を通してゴム穴を縫う

 ゴム紐の長さは、上はスケート靴の周りをぐるっと引っ張らずに巻き付けてちょうどの長さから1cmほど短めに切る。スケート靴の一番下の部分は、同じように巻き付けて測った長さから10cmほど短く切る。この2本と同じ長さのゴム紐をもう1本ずつ切っておく。

 ゴム通しや安全ピンをゴムのはじにとめて③にゴムを通したら、ゴムを縫って輪にする。

 ゴム穴部分も縫って閉じる。

⑤完成!

 参考にしたブーツカバーの作り方を紹介している元の動画はこちら。それぞれに良いアイデアやアドバイスが紹介されている。

↑ 人気スケーター、インディ・エマ・ジョーンズの動画。大まかに型をとってから、縫い代約2インチ(5cm)を周囲に足して型紙を作る。切り取った生地は表を内側にして合わせて縫う。伸縮性のある生地は伸びると糸が切れやすいので、ミシンならジグザグの縫い目を選ぶこと。上下はゴム紐を通す。

↑ Spandex Simplifiedによる動画。ゴム紐は、下の部分は短めで締める力を強くして、上の部分は布と同じくらいの長さにするといいそう。紐を通す部分は作らずに、ゴム紐をそのまま縫い付けてしかも隠さないという簡単なやり方。その方が伸びもいいしフィットしやすいそうだ。どうせ見えない部分だしね。もちろんちゃんと折り返してもう一度縫って隠してもOKで、14:00あたりからその方法も見せている。この人、なんとまち針を使わず、まず直線縫いして、その後ジグザグ縫いをしたりしていて、ちまちました作業が嫌いな人でもできるやり方なのが素晴らしい。縫い方も大胆不敵。これでもいいんだ、とちょっと安心する笑

↑ Emma P-Sの動画。パソコンを重石にして裁断している笑。この人はオーバーロッカーを使っているが、別に普通のミシンでジグザグ縫いでもOK。型紙のとりかた、ゴムの長さのとりかたなどもいい。

↑ Creapysoulの動画。この人の作っているのはスケート靴用ではないが、アルミホイルを使って型紙をとるというアイデアが素晴らしいと思ったので、紹介しておく。スケート靴の場合はここまで細かく切り分けずに、前と後ろのセンターラインだけ真っすぐにマークをつけて、縦半分に2つに切ればいいと思う。そして型紙に写し、縫い代を足す。

 

 手作りが得意な方はぜひチャレンジして、自分好みのカバーを手に入れてみてくださいませ。私は妹に海鮮丼をおごります笑


 ツイッターでもつぶやいています。


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