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低価格パターンオーダースーツは決してブルーオーシャンではない

先日、ポストセブンからの依頼で、青山商事、AOKI、コナカ、はるやまの現状について寄稿した。

ちなみに元の原稿はもっと長くて、実は4500文字くらいになってしまった。紙面にはスペースが限られているので、カットされた部分もある。それは当然のことなのだが、今回は、カットされた部分を中心にまとめてみたいと思う。
今回の決算短信はこれである。二度同じことを書くのがめんどくさいので、コピペする。

●青山商事/売上高2503億円(対前期比1.8%減)、営業利益146億2900万円(同29.0%減)、経常利益156億1100万円(同26.7%減)、純利益57億2300万円(同50.1%減)

●AOKI/売上高1939億1800万円(同2.3%減)、営業利益133億8200万円(同10.0%減)、経常利益118億9000万円(同15.1%減)、純利益46億200万円(同37.6%減)

●はるやま/売上高555億5400万円(同2・7%減)、営業利益18億2900万円(同24・0%減)、経常利益21億5100万円(同21.5%減)


●コナカ/売上高651億4500万円(同4.4%減)、営業利益9億100万円(同48.0%減)、経常利益13億6800万円(同44.1%減)



で、多くの識者がおっしゃるように、この数字だけ見ても企業の実情は見えてこない。在庫量の増減やバランスシートも見ないといけないが、今回、これをまとめているときに気付いたことがある。
業界最大手の青山商事と2位のAOKIは今回初めて減収となったが、3位のコナカと4位のはるやまは、前年度から大幅減益に陥っていたということで、今期が初めてというわけではない。

コナカの2018年9月期連結は681億3000万円(同2・2%減)、営業利益17億3400万円(同22・8%減)だし、はるやまの2018年3月期連結は570億7100万円(同2・0%増)、営業利益24億700万円(同12・7%減)と増収ながら大幅減益となっている。

こうして考えてみると、すでに紳士服大手の苦戦は以前から始まっており、青山商事とAOKIは資本力でそれをカバーしていたといえる。
大手4社といわれるが、売上高規模だけで考えてみると、大手2社(青山、AOKI)と下位2社は圧倒的に差がある。
はるやまの4倍強の売上高が青山にはあるし、AOKIも4倍弱の売上高がある。コナカと比べても青山は3倍以上、AOKIで3倍弱ということになる。
資本力が圧倒的に違う。

最近は、低価格パターンオーダーこそがスーツ業界の生き残る道で、低価格パターンオーダー市場は伸びているという指摘があるが、正直にいうとこれは疑問だ。
低価格既成スーツが売れにくくなったことは事実で、それをカバーするにはパターンオーダーというのも同意だが、低価格パターンオーダー市場が伸びているという主張には疑問を感じる。
なぜなら、

1、2000年代後半降、グローバルスタイル、ファブリックトウキョー、カシヤマ・ザ・スマートテーラーなどの低価格パターンオーダーの新規参入が急激に増えた。⇨ プレーヤーの増加による分母の拡大

2、低価格パターンオーダーの価格は29800~40000円くらいで、既製低価格スーツと値段が変わらない ⇨ 値段が同じなら付加価値が高そうなパターンオーダーを買うという人が増えるのは当たり前

という背景があるからだ。

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