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「売上高を増やしたければ在庫を増やせ」は現在では通用しない

100万円の売上高が欲しければ100万円分の在庫が必要。


これは商売の基本である。用意した在庫量以上の売上高は見込めない。
じゃあ、売上高を200万円にしたければどうすればよいかというと200万円分の在庫を用意しなくてはならない。
300万円なら300万円分、500万円なら500万円分、という具合に売り上げ目標を増やすごとに基本的には用意する在庫も増やさなくてはならない。
だが、どこかの時点で売上高の伸びは頭打ちになる。

自店の面積には限界があるから、青天井で陳列量を増やすことはできない。また客数にも限界があるから、売れてゆく個数の伸びにも限界がある。そしてその臨界点を越えると、過剰な売れ残り在庫を抱えることになる。そしてこれは個店だけではなくチェーン店についても同様である。

その昔、70年代の高度経済成長、80年代のバブル期は、経済成長率が高かったこととそれまでの物不足の反動で、「並べれば売れた」時代だったといえる。そのため、この辺りで成長したブランドやショップは基本的に「並べれば並べるほど売れる」という体験をしており、その時の担当者だった人間が今は企業の幹部となっている。
このため、この幹部連中はこの時の成功体験が忘れられずにいる。いや、もしかしたら、その成功体験は捨て去らねばならないと頭ではわかっているものの、三つ子の魂百までというやつで、ついついとそのやり方をやってしまうのが正確なところなのかもしれない。

前回、ライトオンを例にとって、「各型の投入在庫量が多すぎるのではないか、もっと絞って小刻みに投入する商品を変えるべき」と書いたところ、某有名コンサルタントから、「激しく同意します」というコメントをいただいた。

売上高を増やしたければ在庫を積め

というのは、基本ではあるが、現在は積みすぎると爆死するのである。そこを70年代、80年代に若い時代を過ごした幹部連中はいまだに理解していない。
前回、ライトオンを例に出したが、たまたま個人的によく利用する店だったのと、決算の大幅下方修正を見たから、というだけであり、似たような例はこの業界には掃いて捨てるほどある。

多くの企業やブランドが、目標売上高から逆算して在庫量を決め、それに沿って仕入れ・製造する。通常は前年比〇%増の売上高目標が立てられるから、必然的に用意する商品量は昨年よりも増える。
しかし、昨年の売れ残りもまだあるから、前年よりも増加した分量と売れ残りで、抱える在庫量は過剰となる。


経営者も謎のメンツとやらがあるので、過剰分の在庫を処分して、利益を減らすわけにはいかないから、2年か3年くらいは過剰在庫を溜め続け、増収増益決算または前年並みの決算を発表する。
そのうちに自社のキャパシティーをオーバーして、溜まりに溜まった過剰在庫を廃棄ないし投げ売りするほかない。このときの減損処理で大幅減益または赤字に陥る。
これが旧型のアパレル企業のサイクルであり、ライトオンもこれに正しく則っているといえる。

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70年生。大学卒業後、衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。03年退職後、広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。「繊維業界ブログ」は現在、月間万25万PVを集める。日経ビジネスオンライン、週刊エコノミストなどに寄稿

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