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トム・サックス ティーセレモニー

2019/6/16

まずはじめに、

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ニューヨーク在住のトム・サックス(1966- )は、プラダのロゴが描かれた便器、エルメスの包装紙を模したマクドナルドのバリューセットなど、「手作り(ハンドメイド)の既製品(レディメイド)」とも評されるユーモアのある作品を制作してきました。世界各地で数多くの展覧会に参加し、世界のハイブランドからも高く評価されています。

「現代」と「茶の湯」が出会う「トム・サックス ティーセレモニー」は、アメリカ国内を巡回し、今回、日本で初めて開催する待望の展覧会です。トム・サックスは茶の湯の精神や価値観を、21世紀の宇宙開拓時代に必須の人間活動の一つとして考え、ティーセレモニー(茶会、茶道)に真摯に向き合っています。彼のユニークな発想や視点を通じて映る日本の姿は、新しい価値観や世界観を気づかせてくれる貴重な機会となるでしょう。

日本の伝統的な茶の湯の世界とそれを取り巻く様々な儀礼や形式を独自の解釈で再構築した作品を制作するために、2012年から本格的に茶道を学び始めて以来、日本国内での発表を念頭に置いてきたサックス。東京オペラシティアートギャラリーでの展覧会は、サックス自身が切望していた、作品の起源である日本での初個展となります。本展の作品は体感型の空間として、庭(「内露地」「外露地」)、手作りの合板の茶室、ボーイング747機の設備をより機能的にしたトイレユニット(「雪隠」)、鯉が泳ぐ美しい佇まいの池、そして様々な門によって構成されます。
(https://www.operacity.jp/ag/exh220/ より)

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私はこの展覧会を、ゼミの発想ワークショップ「紙コップの再構築」と重ねてみていた。

もともとあるモノに寄り添い、思考を深め、思いを巡らせる、そして新しい価値を与える。

その考えの工程が「紙コップの再構築」と同じ流れであった。

「時計の再構築」と違う点は、時間の概念に中心に置いているのではなく、物を物で新しい形にしているところが、「紙コップ」と同じであった。

しほの制作していた紙コップの「ししおどし」はこの展覧会に出展されていても、おかしくないなと思うほど作品が似ていた。

あそこで、粉洗剤を水の代わりに流すしほは本当に最高だったなと今でも思う。

そして、私がどうしようもなく思い浮かばなくて制作した「折りたたむ傘」は、自分的には傑作だったなと今でも思ってる。

発想ではなく発表でのあがき方が。

どうしようもなくて、お風呂場でカエルに傘を持たして再現動画を撮ったのが懐かしい。

発想ワークショップでは、発想だけでなく発表の仕方を工夫する方法や、食いつかれやすいタイトル、アイデアの切り口を学んだ気がする。

そんな思い出話は後にして、ティーセレモニーでの作品を紹介すると、

茶室とその周りの庭園が様々な工業製品を材料に再現されていた。

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この盆栽は、歯ブラシと綿棒で葉の部分が再現され、幹の部分をロールペーパーの芯のようなもの、植木鉢が木箱で再現されていた。

私たちは工業製品に対して愛着が湧くのか、工業製品で制作された伝統に何を思うのか、

私はその不器用で、不完全な姿を愛おしいと感じた。

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この茶筅はボタンを押すと勝手に周る。

それは茶筅の役割を拡張させて、制作したとも言えるし、

でもその不完全さは、茶筅を劣化させたとも言える。

どこかくすっと笑ってしまうこの作品たちは、デジタルとアナログの中間地点でもありながら、工芸と工業の中間地点でもあった。

なにか自分が伝えたいテーマを、誰もが直感で楽しめる作品にすることは、自分がやりたいことのひとつだなと感じた。

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