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ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」を見に行った話

6月30日に東京文化会館でロイヤル・バレエ団の「ロミオとジュリエット」を観て、感動して帰ってきたので感想を残しておくことにします。

大変良いお値段のチケットだったのでどの席を取るのか非常に迷ったのですが、初の生ロイヤル・バレエ(配信は見たことがある)、初ロミジュリということもあり、清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入しました。結果、この判断は間違っていませんでした。(どの席を買ったのかはお察しください)

なによりもまず、ルネサンス期のイタリアが舞台ということもありセットと衣装が豪華!そしてコール・ド・バレエの人数が多い!おまけに踊りの揃いっぷりがすごい!
これだけの人数とセットを連れてきたのであれば、そりゃチケット代もこうなりますわね…心して観ます…と、開始直後は本筋と関係のないところで感心していました。

第1幕

申し訳ないことに、何度か寝落ちしそうになったことをここに告白します。
言い訳をすると全3幕中、1幕が最も時間が長い上に、説明的なシーンが多く話があまり動かないのです…それだけでなく、他の演目とは違ってダンサーがテクニックを披露する、いわゆる「見せ場」がそれほど派手ではない。
元が戯曲であり、かつ演劇大国の英国ということもあり、演技の多いパートとなるべく地続きになるように演出しているように感じました。
バレエは白鳥の湖を一番多く観ている人間のため、その違いは新鮮だったのですが、なにしろ1幕はとにかく緩急が少なく…とにかくしんどかったのです。

ただ、ジュリエットが初登場した第2場は素晴らしかった!
この日はナターリヤ・オシポヴァで、彼女が小柄ということもありますが、正真正銘のティーンエージャーが踊っているようにしか見えませんでした。乳母をからかう仕種は軽やかでありつつも子供っぽさがにじみ出ていて(褒めています)踊りだけでなく演技も卓越していましたね。
超絶技巧のテクニックが散りばめられた踊りはもちろん観ていて楽しいですが、台詞が一切ない中でキャラの性格や感情が伝わってくる踊りもまた素晴らしいものだな、と改めて感じました。

第2幕

続く第2幕は一番場数が少なく、でも踊りの見せ場が長い一番バレエらしい幕で、一気に眠気が吹っ飛びました。
第1幕のロミオは端正〜な感じで、小柄なジュリエットに比べるとだいぶ大人びた感じがしたのですが、乳母からジュリエットの手紙を渡された瞬間の踊りが本当にもう…少年が喜びを爆発させている様子そのもので、端的に言って「なんだお前かわいいな」と。マスクの下の顔がニヤけっぱなしだったのは言うまでもありません。個人的にはロミオの踊りの中で一番好きです。

また、見せ場がそれほど派手ではないと書きましたが、2幕の道化たちによるマンドリンダンスはこれぞバレエの見せ場といえるもので、思わず固唾を飲んで見入ってしまいました。リーダーのソロが息をつかせぬものだっただけでなく、群舞の踊りが一糸乱れぬという言葉を体現した素晴らしいものでした。実際、見せ場の中で一番拍手が大きかったように思います。

第3幕

第2幕の最後でロミオが追放されるため、ひたすら悲壮で派手な見せ場がある訳でもないのですが、あの、、ラストに向かっているのだと思うと当たり前ですが寝ている場合ではありません。
3幕で唸らせられたのはオシポヴァの踊りでしたね…
仮死状態になっているジュリエットをかき抱いてロミオが踊るシーンがあるのですが、よく見ると脚に力が入っているものの、上半身の脱力具合とポール・ド・ブラの使い方が絶妙で、あ、これは死体だわ、と思いました。
割と長めの踊りだったので、上半身だけとはいえ脱力している相手をリフトするロミオ役は大変ですね…リース・クラークはかなり長身なので、小柄なオシポヴァを担ぐのぐらい、なのかもしれませんが。いやでも普通のリフトよりも重いんでしょうね、おそらく。
ジュリエットの意識が戻った後、ロミオが死んでいる姿に取り乱して嘆く踊りも真に迫っていて、思わず涙腺が緩くなりました。
終演後、元バレエダンサーがやっているバーに飲みに行ったら「オシポヴァは超絶テクニックの人」と教えられたのですが、なかなかどうして、演技も素晴らしかったです。

最後に

6月に入ってから急に仕事が忙しくなり、ほんの数日前まで仕事をするか寝るか虚無になるかのどれかで、正直開演から終演までの3時間を耐えられるか非常に不安だったのですが、無事最後まで楽しむことができました!(1幕で寝そうになったことは都合よく忘れましょう)何度でも言います。行って本当に良かった!!!
ロイヤルを生で見る素晴らしさを知ってしまったので、次はぜひ、ロンドンのロイヤルオペラハウスで観たいところです。
以前とある話の参考にと、ロイヤルのくるみ割り人形の映像を見たのですが、これもセットが素晴らしく煌びやかだったんですよねぇ…(そして意識は年末のロンドンへ)

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