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まちづくりをする不動産屋さんになるまで⑬

考えながら動く、動く、動く

事務所も完成し、当面の資金繰りも確保でき、いよいよ仕事ができる環境が整いました。

「さぁて、何からやっていこうか。」

挨拶回りやチラシ作成、ポスティング、そして空き地を調査しては法務局で所有者を探したりしていました。

既存のお客様ゼロからのスタートです。名前も売れていません。まずは知ってもらうために、一枚でも多くの名刺を配ることを意識しました。

それ以外にもネット広告の展開、ホームページ作成、地主さん宅を一件一件訪問などなど。

しかし、現実はそう甘くはなく、なかなか成果はでません。

1ヶ月、2ヶ月と過ぎていき、早くも資金ショートする期日が見えてきています。「買いたい」という人は数組相談があっても「売りたい」というお客様が見つかりません。

地主さんをまわっても、よそ者の若造にそうそうすぐに頼んでくれるわけもなく、昔から付き合いのある不動産屋さんが必ずといっていいほどしっかりついていることが分かりました。

「これだけやれば今まではうまくいっていたのに…」

と、前職ではネームバリューに助けられていたんだなと実感。

そうはいっても、なんとかするしかありません。今までのペースでだめなら、二倍、三倍動けばいいと切り替えさらに足をつかいました。

毎日せっせと働いていると、ようやく一件「ほしい人がいるなら売ってもいいよ」といってくれる地主さんがあらわれました。まだ決まったわけではなかったのですが飛びはねるくらい嬉しかったです。

しかし、物件がでたものの今まで相談してくれた「買いたい」という方に情報を提供したところ、「もうちょっと安いものがいいなぁ」「ほかにもみてみたい」「こっちの通りだったらなぁ」と、思ったように話は進みませんでした。

うーん、これはほんとにやばい…

そんな日が続いた夜、体の疲れをとるために近所の銭湯へいきました。

どうやったら売れるか…

ずっとそればっかり考えてぼーっとぬる湯に浸かっていると、

「あれ?石井?おれおれ、覚えてる?」

湯けむりの中から、うっすらと懐かしい顔がでてきました。それは、高校生の時よく遊んでいた他校の友人でした。

「おぉ!もちろん覚えているよ!ひさしぶりだなぁ」

昔話から近況報告と続きます。友人も起業してがんばっているという話でした。

そこでさりげなくでてきた言葉にさらに驚きました。

友人「実は美南で土地探しているんだよね、なんかいいのない?」

私「怖いくらいタイミングよく、一件いいのある!」

物件を一緒に見に行く日を決めその日は解散。

そして、物件を見に行くとすぐに気に入ってくれ契約という運びとなりました。

やはり、がんばっていればひょんなところから良い話が舞い込んでくるんだなぁと実感。なんだか大きな何かに生かされているような気さえしました。

それからは今まで種をまき続けていたものが少しずつ芽をだしてきました。苦しいのは変わりませんがなんとか沈没は免れ、ゆっくりではありますが前進しています。

そして、このタイミングから宅建協会の活動、商工会や青年会議所、その他団体へ誘われるまま加入し活動の幅がさらに増えていきました。

つづく

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