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ポルシェ太郎 イタい人の話

羽田圭介著 河出書房新社 2019/4/12出版 2023/5/16読了

いるいる、こういう「イタい人」の話。

前職の経営不安がきっかけではあるが、起業して少人数ながら従業員を雇い、
何とか安定した生活を送っている太郎。
その辺の雇われ会社員とは違い、これまで培ってきた人脈とノウハウで頭一つ飛び抜けている自負がある。
そんな中、やたらとポルシェが目につく。
目についたポルシェの運転手はどれもハゲて疲れたおじさん。
魅惑的なフォルム、そこらの国産車とは性能の違う乗り心地のポルシェに似合うのは、自分のような努力家であり若い成功者である。
今の年俸と同じポルシェの値段にも運命を感じ、
綺麗なモデルのような彼女を隣に乗せる夢を見ながら、
太郎も晴れてポルシェのオーナーとなるのであった。
少し無理して維持している恵比寿のマンションに加え、
自宅から徒歩8分の駐車場代も憎いがステータスには変えられない。

インスタ映え、ギャラ飲み、枕営業、裏社会との繋がり、
芸能界を取り巻く灰色の繋がりにも触れる。
思い上がって背伸びして、その先の世界の住人になれると思ったら、
全くそんなことはなくて、失敗して痛い目を見るところまでセットになっているのが憎めない。

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