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マタニティ・グレイ 現代妊婦の悩み

石田衣良著 角川書店 2013/3/1出版 2023/4/15読了

夢だった出版社での仕事にも満足してるし、自由奔放だけど優しい夫と恋愛の末結婚したプライベートの生活も安定している。

順風満帆な千花子は30歳も超え、子供嫌いであることも後押しして、子どもを産むことを人生の選択肢に入れてこなかった。

東京でマンションが買えるのも、贅沢にリビングスペースをとって、カメラマンである夫の仕事場として簡易スタジオが置けるのも、子ども部屋を考える必要がないから。

堂々と担当のコラムを持って編集者として活躍できるのも、育休や産休の制度がない会社が大好きなのも、出産について考える必要がないから。

人生設計に子どもが入らないだけで、親の期待する「普通」とは程遠いけど、自分田たちは上手くやってる。

そんな時、千花子の妊娠が発覚する。

妊娠をきっかけに、親との確執や自分の価値観、妊婦に対する社会的疎外感、産院選びから流産のリスクまで、当事者になって初めて気づくことが増える。

新たな経験を積む中で夫婦仲を強め、家族との繋がりを再確認するドラマ。

10年前の作品ながら、妊婦が抱える不安やリスクは変わらない。

出産前後では体調が不安定な中、出費がかさみ、社会復帰への心配事が絶えない。

家族が寄り添うきっかけになるが、その前に確執に正面から向き合うことになる。

母が強くなるのは、妊娠をきっかけにして次々に立ち向かってくる逆境が増を乗り越えて行くからなのだろう。

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