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『ザリガニの鳴くところ』〜自分の魂の尊厳は、まず自分が守る

どこにいても、誰といてもいなくても
どんな状況にあっても
私は、私の魂の赴くままに生きていこう、生きていけばいいのだ、と涙が出た。
自分の魂の声を聴けるのは自分だけなのだから。

『ザリガニの鳴くところ』
MOMOさんが今年一番の作品というので仕事を早めに切り上げて観に行った。

私はいつも中途半端で何でもない人間だと感じて来た。大学の助手を辞めた数年後には、学会からも離れ、細々と研究を続ける市井の昔話研究者であり、作家と名乗るには世に出た作品が少な過ぎる。17年間、会社経営に携わりながら3人の子育てをしながら研究をし、創作をし、ひとつに打ち込んで来なかった中途半端。一切の家事もせずに研究や創作に励む研究者や作家を身近に知るがゆえに、私はどれも何も自信を持って名乗れなかった。

でも、様々なことに興味関心を持たずにいられない心も、そのどれをも同時にやってしまう体も、それらを突き動かす魂も全部自分。

作品の主人公が誰もいない湿地で常に魂の声に従って「自然観察者」であり続けたように
私も誰かと比較して自分を否定するのではなく、どこにいても魂の声に従って「研究者」であり「作家」であり「経営者」であり「母」でありたい。あろうと決めた。

『ザリガニの鳴くところ』は自分の魂の尊厳は、自分で守るという当たり前の、でも忘れかけていた大切なことを突きつける。
帰り道、茨木のり子の詩の一節「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」が頭の中を何度も横切っていった。

自分の魂の尊厳は、まず自分で守らないとね。
私の魂、よしよしよし。
あなたの魂も、よしよしよし。


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