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【雑文】メイドカフェを楽しめない僕ら

 
 先日久しぶりに大須商店街を散策した。
 外出が自粛されるかどうかという頃から行っていなかったので、数か月ぶりに足を踏み入れたことになる。
 
 街というのはたった数か月で驚くほど変化する。
 いつの間にかビルごと無くなっていたかと思えば新しいビルが建設中になっていたり、空きテナントだったところに新しいお店がオープンしていたりする。
 
 このご時世に新規に店を始めようと言うチャレンジ精神は素直に凄いと思う。
 もしかすると、契約とか諸々の予定が決まり切っていて、いまさら変更できなかっただけなのかもしれないけれど。
 
 大須商店街は色々なジャンルのお店が共存する名古屋でも有数の雑多な街なのだけれど、その中でも特に多いのがオタク系ジャンルの店だ。
 
 先日の散策中に見つけたところでも、いつの間にか新しくコンセプトカフェがオープンしていた。
 
 コンセプトカフェというのは、特定のコンセプトをメインに打ち出したカフェのことで、いわゆるメイド喫茶とか執事喫茶とか、そういったお店のことだ。
 
 一昔前にオタク文化の象徴のようにテレビで紹介されたことをきっかけに爆発的に流行って、今ではひとつの文化としてすっかり定着したように思う。
 最近ではメイドや執事だけではなくて、猫耳とか小悪魔とか巫女とか男装とか、ちょっと耳慣れないようなコンセプトのカフェも多くて、そうした看板を見かけると、ちょっと入ってみたいなと思ってしまう。
 
 といっても、実際のところ、そんな風にしてお店に入ったことは一度もないのだけれど。

 僕には昔、メイドカフェに通っていた時期があった。
 メイドカフェというもの自体が誕生してすぐのころ、僕がまだ高校生だったような時期の話だ。
 
 そのときは、友達が一人のキャストさんにハマってしまい、毎週のように通っていたのだった。
 
 けれど気持ちが冷めたのかなんなのか、そのうちその友達が行かなくなってしまい、僕も行くことは無くなってしまった。
 
 それ以後は、知り合いと一緒にネタ的に数回行ったけれど、それだけだ。だから最近のその手のカフェがどんなことになっているのかは正直全然分からない。
 
 先日のように、不意に見かけて行ってみたいなと思うことはあるけれど、どうしても尻込みしてしまう。
 
 以前に友達と一緒に行っていたころは確かに楽しかったのだけれど、いまの自分が一人で行って、ちゃんと楽しめるだろうかという心配があるからだ。

 この手のカフェを楽しむためには、全力でハメを外すことが必要なのだと思う。
 良い意味で頭を空っぽにして、空間に身を任せた方が、きっと楽しいはずだ。
 
 もちろん人として最低限の節度は必要なので、何をしても良いというわけではないけれど。
 
 けれど、慣れない人間が一人で行ったとしても、どうしても照れというか恥ずかしいというという気持ちが先に立ってしまいそうな気がする。
 多分変に自意識が過剰なのだろう。本当はそんなものに何の意味もないのに。
 
 友達と一緒にいれば、その時のノリを利用してハメを外すことはまだ簡単だと思う。
 けれど一人の時にも同じようにできるかといえば、慣れないうちはハードルが高すぎる。
 
 多分一番スムーズなのは、最初は行き慣れたベテランさんと一緒に行くことなのだろう。
 けれどそんな知り合いがいるという人は少ないだろう。
 
 きっと、僕と同じような気持ちを持っているひとは多いのではないだろうか。
 
 調べてないのでもしかしたらもう既にあるのかもしれないけれど、コンセプトカフェのチュートリアルをしてくれるサービスがあれば、一定の需要が見込めるかもしれない。
 
 誰か名古屋でやってくれないものだろうかと、そんなことを思っている。
 
 
 
 

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