【雑文】鬼滅の刃完結おめでとうございます
日本ではもはや知らない人はいないだろう、という知名度になっている鬼滅の刃という漫画作品。
ブームを通り越してもはや社会現象の域に達した本作品が、先日ついに完結したらしい。
一部では引き延ばしがあるのではとか、第二部に続くのではとかも言われているようで、まだ今後どうなるのかも分からないけれど、とりあえず無事に完結したようだ。
その最終回については賛否両論あるそうだ。
僕もジャンプ本誌で読んだけれど、確かに評価が分かれそうな内容だと思う。
こんなことを書くとファンのひとに怒られるかもしれないけれど、正直に僕の気持ちを言ってしまうと、鬼滅の刃という漫画は面白いけれど、やや過大評価されているのではないかと思う。
この漫画はアニメ化によって大きく跳ねた作品で、もしUfotableでアニメ化されてなかったら「私は好きだけど、人によって好みは選ぶよねぇ~」くらいの評価になってたのではなかろうかと思う。
ただアニメは非常にクオリティが高くて、中でも作画と演出は神がかっていた。
というよりも僕が思うに、鬼滅の刃という漫画は良くも悪くも演出の作品なのではないかという気がする。
アニメ化する以前から、独特の言語センスや味のある画風は連載当初から一定の評価はされていたように思うし、僕も楽しんで読んでいた。
好きな人は好きだけれど万人受けはしないだろう、というような感じだったのではないだろうか。
そう考えると、ここ最近は粗製濫造とか原作枯渇とか言われてるアニメ業界だけど、まだまだ大跳ねする夢は残ってるのかなと思える。
けいおん! シリーズの大ヒットはその最たるものだろうし、ゆるキャン△だってアニメ化するまで一部のキャンパーくらいしか知らない作品だっただろう。
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この作品は、そのストーリーもある意味で話題だった。
希望と絶望のループで、キャラクタたちは頻繁に苦境に立たされる。
主要キャラクタであってもいとも簡単に死亡したりするので、作者はドSだと言われていたほどだ。
確かに挫折からの復活というのはストーリーの王道ではあるけれど、その上下幅があまりにも激しすぎて、読者の心情も激しく揺さぶられることになった。
創作論には、エモーションラインという言葉がある。
エモーションラインとは、キャラクタの感情を線グラフで表したもののことだが、これに適切な起伏がついていないとストーリーが単純で薄いものになってしまう。
鬼滅の刃では、このエモーションラインが激しく上下しているのだろう。
これはDV男から離れられない女性の心理と同じようなものではないかと思う。
飴と鞭で心を揺さぶり続けることで、離れられなくする。あえて悪い言い方をすれば、依存させられている。
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漫画が完結したことで、さっそく「鬼滅ロス」なんて言葉も生まれつつあるようだけれど、むべなるかなといった感じだ。
念のため申し添えておくけれど、僕は決してこの作品がつまらないと言う気はない。
というよりもむしろ、特に初期の頃の雰囲気は僕の好みだし、面白い部類の漫画だと思う。
ただ、日本漫画史に名を残したとか、日本を代表する漫画作品だ、とか言うのは流石に過大評価されすぎじゃないだろうか、という気がしている。
作者さんが今後も執筆をつづけるのかはまだ分からないが、この先の作者さんにかかるプレッシャーを思うと、正直なんとも言えない気持ちになる。
確かにコミックスの年間売り上げ部数でも、ONE PIECEを抜いて一位になったらしいのだけれど、……どうなのだろう。
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