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庭に生えている『毒消し』が、ハブ茶の原料だと知った日

毎年育てている植物に『毒消し』というものがあります。育て始めたのは祖母で、まだ幼かった私のために植えたと聞いています。
夏に黄色い花が咲くマメ科の植物で、花が終わった後には、細長くて曲がった緑色のサヤがつきます。秋になってサヤがだんだん茶色くなってくると収穫して、よく乾燥させてから、パリパリになったサヤを割って褐色のタネを取り出します。(1つのサヤの中には20粒以上のタネが1列に並んでいます。ちなみに乾燥が甘いと、カビが生えて駄目になってしまいます。)

ひし形っぽい変わった形のタネで、祖母はこれを常備薬として置いていました。子どもの頃の私は、お腹の調子が悪くなると10粒ほどのタネを手のひらに入れてもらい、水と一緒に飲み込んでいたものです。はっきりとした味は感じないのですが、口の中に残る感覚は悪くなく、子ども心にも結構好きだった覚えがあります。

エビスグサのサヤとタネ

毎年タネが勝手に土にこぼれて芽を出すので、それを育てては収穫を繰り返し……で受け継がれてきました。ところが今年は姿が見えなくて、「残してあるタネを蒔くべきだったかな?」と心配していたところ、ようやく1株だけ発見しました。去年こぼれ落ちたタネが少なかったのかもしれないし、このところ雨が多いことが発芽に影響したのかもしれません。


ともかく1株は無事に育ち始めて「やれやれ良かったなぁ」で終わるはずだったのですが、この植物の正式名称がふと気になりました。まさか『毒消し』が植物名でもなかろうと、ネット検索してみたところヒット!
エビスグサ、という名だそうです。マメ科ジャケツイバラ亜科で、原産は北アメリカ。日本には西暦1700年代の前半頃に中国を経由して持ち込まれたとのこと。

そして、生薬名は決明子(ケツメイシ)。……あれ、どこかで聞いた名前。そうです、これがハブ茶の原料だったのです。いやいや待ってくれ、私はハブ茶をたまに飲んでいるぞ? 爽〇美茶にも入っているじゃないか。それがずっとうちの庭にあったのか?
半信半疑で市販のハブ茶ティーバッグを破いてみたら……、オオゥ、これは間違いないですわ……。<何でも分解したい魔>の私が、ティーバッグの中身を見ていなかったとは、なんという不覚😓

決明子とは“目をひらく”の意味で、視力を良くする効果があります。また、整腸作用・利尿作用・コレステロールを下げる・肝臓や腎臓の負担を軽くする・女性の更年期症状を和らげるなど、効能がたくさん。副作用も無くて安心です。
祖母はこれらの効能のうち整腸作用のことを知っていて、「孫のために植えよう」と思ってくれたんだなぁと、今頃になって知りました。母の子ども時代には見たことがなかったそうなので、どこかで苗を購入したのでしょう。ありがたいなと思いつつ、今年の1株はたくさん実をつけてくれるだろうかと、早くも楽しみな気分になっています。

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