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シェアサイクルは山間過疎地でこそ真価を発揮する?!

 2022年4月1日から「みなかみシェアサイクル」2回目となる実証実験が開始された。

町内各所に掲出されている「みなかみシェアサイクル」ポスター

昨年の実証実験の様子はハートライターズの あい さんが、みなかみ町におけるシェアサイクルの実用性と拡張性について、あのビル・ゲイツとの関係性考察を交えて大変思慮深く(笑)綴ってくれている。↓必読

国内におけるシェアサイクルの変遷を遡ると、2010年に国内初のシェアサイクル事業を富山市が「アヴィレ」という名称で開始、少し間をあけて2016年に東京都千代田区・中央区・港区・江東区が区を跨いだ相互乗入利用可能なシェアサイクルを実用化させ、その後瞬く間に多くの都市へ普及。現在では国内で約220都市以上で運用されているという(導入都市数でいうと、日本はなんと世界第3位のシェアサイクル大国なんだって!)。

海外に目を移すと、2007年にパリで本格導入されたと国土交通省の資料に記されている。筆者はたまたまこの年の夏にドイツ・オランダ・ベルギー・フランス・スペインを歴訪しているのだが、確かにどの国の都市に行っても街なかの至る所にサイクルポートが設置され、若者やツーリストを中心に利用されていたのを目にしている。決済はクレジットカードによって行われていたように思うのだが、開錠の仕方がよく分からず利用しなかった…。この翌年ニューヨークへ行く機会もあったが、ここでもシェアサイクルは既に一般的な交通手段となっていたことをよく覚えている。

パリ郊外のシェサイクル用ポートの様子

群馬県内に話を戻すと、2013年に高崎市でコミュニティサイクル「高チャリ」の運用が開始。「高チャリ」の仕組みとしては自転車に備え付けのキーボックスに100円硬貨を入れると開錠されるようになっており、ポートへ返却する際にロックをかけると100円が戻ってくる。実質無料。市民みんなで保有する自転車という意味で”コミュニティサイクル”と呼ばれているのだろう。その後、自治体主導で行う本格的なシェアサイクル事業としては2021年4月に前橋市で「コグベ」が運用開始。施錠も支払いもスマホアプリで管理され、利用可能な自転車が何処に何台あるかリアルタイムで確認することができ大変便利。15分50円・上限1,000円の料金体系となっている。「みなかみシェアサイクル」もこれとほぼ同様の仕組みだ(料金はみなかみの方が安い!15分25円・上限800円!!)。

ここまでの事例でお気づきのように、シェアサイクルの導入は国内外どこにおいても人口の多い都市部で行われることがほとんど。人口(定住・交流・関係すべて)に対して足りない公共交通を補完することがシェアサイクルの主な目的とされてきた。観光が盛んな都市においては、主に観光戦略上で二次交通の手段として用いられることが多い。

では、此処みなかみ町においてはどうなのか?

「みなかみシェアサイクル」ポート設置場所

みなかみ町においても観光地ということから他の都市と同じように二次交通の補完というメリットは大きい。路線バスやタクシー台数の少なさをある程度補うことができる。

例えば、

水上駅から温泉街へ歩くのはちょっと遠い…ちょうどいい時間のバスがないし、タクシーで行くほどでも…と思った時

電車まで時間があるからみなかみ旅行の思い出に谷川岳を一望できる場に行きたい!と思った時

登山のあとバスで水上駅まで来たものの、ひとっ風呂浴びてから帰りたい!と思った時

など。

山道で自転車を漕げるの??と一瞬考えるが電動アシスト付きなので、これが面白いくらい坂道もグイグイ進む。


それに加えて、みなかみ町でシェアサイクルの利点は以下である。※筆者主観

ー環境にやさしいー

利根川の源流のまち、ユネスコエコパークのまちとして、観光や暮らしを便利にしつつも環境への配慮は欠かせない。CO2削減へ。

ー道端に新たな発見があるー

車と歩きの中間の速度で移動すると、季節の山菜や花々、谷川岳の眺望ポイント、太宰治小説の舞台になった場所や与謝野晶子・若山牧水の歌碑など知られざる名スポットを見つけることができる。

ー空気のおいしさと心地よさを知るー

春や初夏や秋、いずれの季節も谷川岳から吹き下ろす風は爽快で気持ちがよいもの。ロケーションが美しいので適度なスピードで駆け抜けると風と一体になれるような感覚がある。もっと先へもっと先へと行きたくなるほど、風が心地よい。

観光だけでなく日常の暮らしの中でもシェアサイクルは重宝する。

みなかみでの日常は車での移動がほとんどなので、用足しをしつつ運動不足を解消できる(=ビールをおいしく飲める)。
天気の良い日に自転車に乗ると、気持ちが良すぎて、あぁこのまちに暮らしていてよかったなぁと実感できる(そして、ビールが飲みたくなる)。

特にビール好きな方は、だまされたと思ってシェアサイクルを一度使ってみてほしい。使い方も簡単だから。

みなかみユネスコエコパーク らしさを感じよう 
さわやかな風に乗って。

◎文・写真:Kengo Shibusawa(GENRYU

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