うつ病で退職した教員が、非常勤講師をやることにした3つの理由
わたしは2019年3月末に、中学校教員を退職した。
それから8ヶ月が経ったある日。
突然こんな依頼が飛び込んできた。
「臨時教員として働きませんか」
現役教員の夫経由で校長先生から連絡が来た。
いつかはやるかもしれないと思っていたけれど、まさかこんなに早く、その時が来るとは思っていなかった。
わたしは、すぐに返事をすることができなかった。
仕事が原因でメンタルを病んだから、退職した
私が退職した理由は、メンタルの不調を抱えているからだ。
中学校で6年勤めたが、最後の年がキツかった。
仕事が原因で、メンタルを病んでしまったのだ。
わたしのうつ病体験談はこちら→環境の変化がうつ病の引き金に
そして自己判断で精神科の通院をやめ、治療をせず妊娠・出産した。
すると、産後うつになった。
学校に勤めていた最後の記憶が、苦しい記憶で終わっている。
だから、復職するのが怖いのだ。
もし復職するとしたら…わたしが不安に思ってしまったこと
復職するにあたって、わたしが真っ先に考えた事は2つある。
1つは「体調を崩さずに働けるのか」ということ。
私は現在、2ヶ月に1回精神科に通院している。毎日服薬もしている。
気持ちの不調はほとんどないが、つぎの様な体の不調が残っている。
・疲れやすい
・人が多いところ・うるさいところが苦手
・狭い部屋・窓が部屋が苦手
・頭の中で考えごとをし過ぎる
このような体の状態なので、次のような悩みが浮かんだ。
✔︎ いま安定している体調が、悪化してしまうのではないか
✔︎ 辛かった記憶がフラッシュバックするのではないか
✔︎ 疲れが溜まって、朝起きれなくなるのではないか。
2つ目は「家事育児との両立」。
我が家には、幼稚園に通う子どもが1人いる。
赤ちゃんの頃よりはだいぶ楽になったが、それでもまだ手がかかる年頃だ。
毎朝、自分の支度をして、子どもの支度をして、遅刻せずに登園と出勤ができるのだろうか?
ちなみに夫は教員で、仕事は朝早く夜遅い。今のところ家事は一切していない。子どもとの時間もほとんど取れない。
✔︎私が仕事を始めれば、わたしが家で過ごす時間が減る。
✔︎しかし家事育児の分担は変わらなさそうだ。
✔︎けれど、わたしが健康に働くためには、夫の協力が欠かせない。
✔︎家族として、新しい生活のために変化していけるだろうか…。
以上が、わたしの復職にあたっての不安だ。
不思議なことに、学校現場に5年のブランクがあることは、悩みの種にはなっていない。
もちろん最初はうまくいかないこともあるだろうが、何とかなるだろうと思っている。
それは、働いていたときに頑張った経験貯金と、退職してから趣味のサークルで、人に教えるということを続けていたからだ。
また夫が教員なので、学校の話や仕事の話をすることが多いのも関係あるだろう。
仕事内容を聞くため、学校へ行ってみた
校長先生から「仕事の内容や条件等について、直接会って説明したい」と言われたので、一度学校に行くことにした。
話を聞くと、臨時教員だけでなく「非常勤講師」という働き方も選べるとのこと。
勤務時間が週18時間ということで、いまの私の体調や、家族の実態に合っていると思った。
関わることになる子どもについての話も聞いたが「大変そう。自分に指導できるのかな」と新たな不安が生まれてしまった。
この時点でも、返事はできなかった。
復職の決め手になった出来事
わたしに「働かないか」と声をかけてくれた学校で、あるイベントが行われることになった。
そのイベントで、私が働いたら関わることになる子どもたちと触れ合う機会があった。
その子たちの様子を見たり、実際に話してみると、不安が消えた。
この子たちとなら大丈夫かもしれない、と思えた。
わたしが復職を決めた3つの理由
なぜあんなにつらい思いをした学校に、もう一度戻るのか?
その理由は3つある。
①復職がうまくいけば、減薬や断薬というステップに進めるのではないか、と思うから。
メンタル不調の原因になった「教員という仕事」ができたら、発病前の自分の体調に戻ったと思える。
わたしは精神科に通院して4年が経つが、まだ減薬や断薬はやっていない。
働けたという事実が、人としての自信になると信じている。
②なんだかんだ、先生の仕事が好き。
2018年11月から、Twitterやブログで情報発信を始めた。
教育のことについて考えることが好きだし、飽きないし、楽しいと思える。
学校の外から教育を支えることも大事だけれど、プレイヤーに戻りたいという気持ちが芽生えてきた。
③お金のこと
正直、これもあります。
子どもに手がかからなくなると、お金がかかるようになると聞きます。
家族としても、自分自身としても、お金は必要な物です。
復職を後押ししてくれた言葉
復職するかどうか悩んでいるときに、こんな言葉思い出した。
「具合が悪くなってもいいんだよ。」
これは、わたしが1番つらい時に受けたカウンセリングで、臨床心理士に言われた言葉だ。
「出かけ先で、具合が悪くなるかもしれない。そう思うと、出かけるのが怖い」とわたしが言ったところ、この言葉をかけてくれた。
その言葉に、びっくりした。
目から鱗が落ちるとはこのことか、と思った。
もちろん、具合が悪くならない方がいい。
しかし、具合が悪くなってしまっても、それはそれでいいのだ。
「ダメだ」と思うから、恐怖感が湧き上がってくる。
いろんなことが、どうなるかわからない。
でも、やってみないとわからない。
いまの体調なら、いまの私なら、できるかもしれない。
もし健康に勤め終えることができたら、自信がつくだろう。
減薬や断薬もできるかもしれない。
辛い記憶を上書きできるだろう。
やってみたいけれど、行動に移せていない夢に、挑戦できるかもしれない。
復職するには、条件は整っている。
自分の中で答えが出た。
「非常勤講師として働かせていただきたいです」と電話で伝えた。
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