ひとなみ

さいごの煙草が切れたから
やれやれ サンダルをつっかけた
昔は「おそと」がだいすきで
いつでも駆けずりまわっていたが
八月 空があおすぎて
どうにもこうにも身をちぢめた


がやがやと肩を寄せ ひとなみ
知らん顔ばかりを盗み見
「せめてなりなさい」と言われてた ひとなみ
あけすけに傲慢な爪先



あのねこうやって他人のなか 歩くように
人生だってどう見えようが孤独だしそうでもなかったりするでしょうが



名乗るように数字を告げて用を済ませ
かげろうを追うように何度も角を曲がる
うらぶれた公園でひとりきり火をつけて
うすい煙を吐き出してひとごこち




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