ただのパート主婦が、突然長編小説を書き上げて、iPhone一つで Kindle出版した話。
こんにちは。水那田ねこです。
このnoteには、文章サービスを行う傍ら個人的な気づきをまとめたりしていますが、今日は私個人の体験の話です。
※このページは約4,700文字、3分ほどで読めます。
ただのパート主婦に、あったものとなかったもの。
学歴もない。スキルもない。飛び抜けた才能もない。友達もほぼいなくて人脈なし、交流もなし。みんなと一緒の経験や興味がほぼない。
あるものといえば、育った家庭は特殊な環境だったこと。サバイバルかつハードな子供時代の体験。精神的な不調。身体的な不調。社会からの疎外感。孤独感。人と違う経験。
けれども多趣味で好奇心旺盛。とにかく、好きなことやりたいことが尽きない性格。……ただ、どこに行っても何をやっても形にすることができず、中途半端。学歴もないのでお勤めも社会の底辺にある仕事。
誰に見せても恥ずかしい、そんな私の経歴…^^;
しかし人生とは不思議なもの。
コツコツ好きなことに没頭してやってきても、少しずつ何かが増えている様子すらなかったのに、ある時点を境にどーーーん!!! っと物事が好転し始めたのです。
成果は指数関数的にやってくる。
指数関数的な増加、という言葉を聞いたことがあるでしょう。ゆるやかに右肩上がりに増えていくラインと違い、あまり増えていないように見えて、でも突如跳ね上がる、アレです。
私は仕事こそ一般の人のようにそれなりの場所に就けませんでしたが、多趣味だったので好きなことに関しては興味が尽きない日々を送ってきました。
まず絵をひたすら描きました。メインは、いわゆる漫画やイラスト、オタクの二次創作なんですけどね。ネットを介してお友達ができました。楽しかったです。けれども、すべてにおいて少数派の私は、やがてネット上の関わりでも人から弾き出されてしまったのです。めいっぱい落ち込み、そしてまた今度は漫画ではないイラストを描いたりもして、自分を癒しました。
あるいはまたある日、目覚めたように音楽を作り始めました。パソコンで作るやつです。DTMです。自分自身ではとてもお気に入りの曲を十数曲作りました。けれどもどこかに発信してはいない。いや、正確にいうとしたのですが、どうアピールすればよいのか分からず、そのままフェードアウトした状態です。
こんなんでは嫌だ、私も何かきちんと作品を作り上げてきちんと人から評価されてみたい、という気持ちを燻らせ続けて◯十年。
ある時から、情報ブログをWordPressで自力で開設して、ライフハックな記事を書き始めました。そうして数ヶ月経ったころ、ふと思ったのがこれ。
『あ、なんか私、小説書けるかもしれない』
思い立ったらいてもたってもいられず、全時間の仕事をしながら通勤電車の中でiPhone一つでひたすら文字を打ち始めました。
しばらく書き進めて、プロットをしっかり作らなければならないと気づき、三幕構成について独学で勉強しました。そして固めたプロットから、執筆を進めていきました。
日中行っている仕事は単純作業なので頭の中は物語を練り上げるのにたっぷり使いました。頭を使うデスクワークと違って、これが単純作業系の良いところでもあります。
そして三ヶ月後、ついにストーリーが完成。文字数は22万文字。カテゴリは女性向けライトノベルで、湘南が舞台の厚みあるヒューマンドラマとも言えるような恋愛ものができ上がりました。
その時点では、自分のためだけに書いたので、誰にも見せるつもりはありませんでした。しかしあまりに自分の作品に自分で感動してしまい…笑
ココナラで、お金を払って感想をいただくサービスを利用してみたのです。
感想サービスの利用で得られたものは?
すると、意外な自分の長所に気づきました。結果的に20人ほどに依頼したのですが、頼む人が次々にこんな感想をくれたのです。
一つは、『文章力が高い。繊細な描写が素晴らしい』と。さらにこの話が『映画を見た時のような、一人の人生を垣間見たような感動がある』と。
長い期間にわたり、件数にすると全部で40件ほど依頼して、金額も相当なものになりました。そのほとんどの方に言われたのが、これ。もちろんダメ出しも沢山されたので、それらはすべて改善に役立てました。こてんぱんに言われて落ち込み、二日間泣き通した上、筆が止まったこともあります。それでもめげずに改稿を重ねて重ねて、生まれて初めて書いたオリジナル小説作品は、さらによくなったと思います。
そして、こうして誰かに自分の文章を見て指摘してもらう、を繰り返しリライトも繰り返したおかげで、気づくと文章力が飛躍的に上がってしまいました。これは……とんでもない経験です。
元々文章を書くのは大好きだったのですが、「書く基礎力、底力」みたいなものが身についたことを強く実感しました。
感想サービスで、このジャンルを好きな方々、あるいはまったく読んだことがなかった方々が、読後の感動を伝えてくれるのを聞くうち、私の心のうちにむくむくと、『……この話を世間に出してみたい』という気持ちが膨らんでいきました。
電子書籍化を決意。
客観的な意見をそれなりのお金を出してたくさん買ったおかげで、作品の完成度については自信があります。
そこで、ピンときたのが、これまで考えもしなかった「電子書籍出版」。今やコンテンツさえ創れば誰でも作家デビューできてしまう時代。どうやってやればいいのか調べるのはお手のもの。
とはいえ、この頃、ココナラで自身で文章サービスを出品し始め、ありがたくも忙しさによる悲鳴を上げていた私には、それをする時間がありませんでした。同じココナラで、電子書籍化のためのepubファイル変換をしてくれるサービスを利用してみよう、なんてぼんやり考えていたのです。
しかし! よくよく調べてみるとどうでしょう。
この文字数だとサービスの利用料金は数万円かかるはずなのに、そんな金額を出さなくても簡単な作業で、自力で、ゼロ円で、出版のためのファイル作成ができるじゃありませんか!
iPhone一つあれば、PCもWordもいらない。
ネットで検索すれば、Kindle出版するなら、パソコンとWordがあればよい、なんてことが書かれています。もはやepubファイルへの変換すら必要ないのですね!
けれども、ちょうど私は古くなったパソコンを売り払ってしまったあと。MacやiPhoneを使っているため、Wordは購入しておらず、サブスクに入るのも高いのでためらっていました。
PCとWordがない!
最低限、これが必要と言われるアイテムが手元にない!!
──しかし。
なんと今やこれすら要らなかったのですね!
調べてみたら分かりました。
iPhone一つで(もちろんiPadでもオッケー)、電子書籍化の準備はばっちりできるじゃないですか!!
Wordがなくても、ルビは振れるし、リンク付きの目次も挿入できるし、タップするだけで数秒でepub変換してくれるアプリが標準装備されているではないですか。
これについてのハウツーは、改めて別記事で書いてみたいと思いますので、今日は割愛します。
22万文字の小説に、まずはiPhoneでちょいちょいとルビを振り、リンク付きの目次を付けました。中表紙をつけたかったので、無料の優秀デザインアプリ『Canva』でサクッと作成。
……ちなみに、イラストも描く私は、表紙イラストは自前で作っていたものを使いました。PCを売る前に描いたアニメ塗りのカラーイラストに、タイトル、帯をデザインして(帯のアピール文はサービス依頼で作ってもらったものを利用しましたが、これもCanvaがあれば自力でいとも簡単にできます)、表紙はバッチシ! あれよあれよという間に……完成。
その後、Kindle direct publishing(キンドルダイレクトパブリッシング)に登録して、するすると出版まで漕ぎつけました。
(とはいえ、細かい箇所で次々と疑問にぶち当たり、検索にかなりの時間を要しました。これらの問題解決法についても、また別の記事にまとめたてみたいです。)
ここまでくるのにかかった年月は、二年。
ちょうど小説を書き上げた八月下旬。そのちょうど二年後に、当時は想像もしていなかった「電子書籍化」までしてしまいました。しかも自力で! iPhone一つで!
文章執筆、原稿ファイル作成はもちろん、表紙作成(デザイン)も、epubファイル変換も、自力で、iPhone一つで行ったので、基本はすべてゼロ円です。(……まあ、お絵描きそのものはパソコンでやりましたし、感想サービスにはお金を使ったわけですが。)
やっと実ったオリジナル創作作品。
Amazonより、ちゃんと発売になりました。
なにしろ初めての経験だったため、右も左も分からず、それなりに大変な道ではあったのですが、作業自体はとても簡単でした。やる気さえあれば、本当に誰でもできる程度の難易度でした。
(追記:ここに本のリンクを載せていましたが、色々思うところがあり削除しました。現在Amazonは撤退しようかと悩んでいます。)
これまでイラストに、音楽に、ブログに、二次創作に、ひたすら創作ばかり続けてきて、自サイトに作品を載せたり、pixivにアップしたり、ツイッターで交流したり、色んなことをやってきました。ですが、ここまできちんと充実した形にできたのは、これが初めてです。
充足度は桁違いです。
やればできるんだなーー。
地道に続けたものが、無駄だと思い込んでいたものが、ある日突然大きな成果を連れてくる。
オリジナル小説を書けたのだって、これまでの様々な人生経験がものを言いました。色んなことに手を出してきたにもかかわらず、何一つ極められない中途半端な人生だと思い込んできたのに、それらで得た知識や経験は、すべて小説を書く際の有用な「ひきだし」になっていたことに気づきました。もちろん、フルに活用しました。
これは若い頃ならまずできなかったことです。感想サービスや投稿サイトからもらった読者からの感想で、「ストーリーに厚みがあって読み応えがある」「人物造形がリアルでよくできている」と口々に仰っていただけたのも、過去の中途半端な様々な経験があったからこそ。さらにいうなら、子供時代のハードな経験(人と違う家庭環境や経験)すら、キャラの背景や性格に、深みとリアルさを増すために有効活用できました。
主人公の心理を深掘りしていくような流れを作ったり、人間関係において微妙な心情の揺らぎを描くのに役立ちました。
小説って、人生経験が多いほど上手く書ける。人と違う経験の多さがものを言う。重ねてきた知識や経験はすべて物語に活かせるし、リアルさを増すためのネタ、テクニックへと昇華させられる。
今、そんなことを確信しています。
小説には知識や経験が大きくものを言うことを実感。
若い人ほど書くのに有利だと思い込んでいましたが、全然そんなことない。
私の、誰に見せても恥ずかしい経歴もすべて、厚みのある人物描写や背景、ネタのひきだしに生まれ変わった……。
他の趣味だとこうはいかないと思うのですが、小説だからこそのメリット、特徴だなぁ、とひしひしと感じています。
一生に一度と思い書いたオリジナル小説。これ以上は書けない、と思い込んでいましたが、その後さらに11万文字の番外編も書き上げられました。いや、これもびっくり…笑
ここまで読んでくださった方もしいましたら、ありがとうございました。単なる地味な主婦がした経験話ですが、耳を傾けてくださり、感謝です。
次回は、
・iPhone一つでどうやって電子書籍化したのかその具体的な方法。
……について書いてみたいと思います!
追記(2022/12/24)
書きました!よければこちらもどうぞ。
お読み頂き誠にありがとうございます。お金は貴方にとって大切な人の健康や幸福のためにお使いください!貴方の幸せを願っています。