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単語+推理力≒英語対応

とある日の、午前中のこと。
「はい、〇〇医院です」
いつものように電話を取った。聞こえてきたのは…。
「Good Morning」
英語だー!!

繁華街ど真ん中みたいな位置にある当院。
日本人じゃない患者さんも月に数人、いたりします。
コロナ禍ではだいぶ減ってたけど、観光客も普通に街を歩いていて。
英語しか話せない方の来院も、ここ近年より増えました。
旅の途中で具合が悪くなる方も当然、います。
そういう方が来たりするんです。
目の前にいるのなら、身振り手振りも使えます。
今ならスマホの翻訳アプリなんかを使いながらなんとか会話をすることも可能です。
しかし! 電話となると話は全く別物!
相手が何を言っているのかを理解できなければ、こちらも返事ができません。

グッモーニン。実にネイティブな発音の英語です。うっわ…どーしよ…。
挨拶の後も相手は話を続け、聞き取れたのは。
「you speak English?」
Do youなのかCan youなのかも聞き終わった時点で忘れてます(まあ、どっちでもいいんですが)。
でもまあ、脈略から考えて、英語話せる?ですよね。答えます。
「…a little」
「OK.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
相手は話し続けます。私は心臓をバクバク言わせながら神経を研ぎ澄ませます。
聞き取れて記憶できたのは3つ。
【call】【international】【Can you help me?】
私の中の私が言います。
体調が悪くて外国人のための紹介窓口に電話したらうちを紹介されたんじゃないの?
で、来たいんじゃない?
…そうなると、次に欲しい情報としては、相手がどんな状態なのか。
思いつく単語を口にしてみました。
「cough? headache? fever?」
うーん、通じてないみたい。ここにいればここで翻訳アプリを使えるのに…あ、そうか!
「Please Wait」
ひとまず、電話を保留に。
翻訳アプリに「どんな症状がありますか」と入れ、答えをもらい、それを読みます。
「What symptoms do you have?」
二度繰り返してどうやら通じたようで、また相手は話し出す…けど、全く聞き取れません。
わかった単語は1つ。【stomach】…ああ、胃か。
「Can You Come Here?」
「Yes」
えっと、午前の診療時間内に来てもらわなければ。
「until twelve thirty.」
「OK. Bye」
通話終了。胸をなでおろします。
先輩には「たぶん胃腸症状がある男性の外国人の方が来ます、日本語無理でした」と伝えました。
ところが。来ないのだ。12時を回ったあたりからそわそわしだす私。
もしかしたら、12時半【まで】がうまく伝わってないのではないだろうか。
12時半に予約を取ったつもりでいるのかも…うわー、そうだったらどうしよう。
動き続ける時計。焦る気持ち。そして、12時20分。
開いた自動ドアから外国人の男性が顔を出しました。
「Hello」
…あなたですか!! めちゃくちゃほっとした。よかったぁ。

書きたかったのはここまでです。
ついでと言ってはなんですが、英語での対応をどう乗り越えているかを、少し。
さっきも触れましたが、目の前までくればなんとかなるんです。
以下のフレーズくらいは頭に入ってますが…。

・来院名簿に名前を書いてください。→Please write your name.(書いてほしい箇所を指す)
・問診票を記入してください。→Please fill out this seat.(英文の問診票を差し出す)
・〇〇さん、どうぞ。→(診察室の入り口から)Mr.(Miss Mrs.)〇〇(大き目の声

帰るときには。

・今日のお会計はいくらです。→Today's your cost is…(領収書の金額欄を指す)
・これは処方箋です。→This is your medicine sheet.
・薬局はこのビルの○回です。→The pharmacy is 〇th floor in this building.
・エレベーターはあちらです。→The Elevator is…(方向を手で指し示す)
・お大事に。→Take care!

…これだけ伝わればなんとかなります。
見ておわかりのとおり、単語なんて、中学生レベルですよ。
処方箋は【prescription】っていう単語がちゃんとありますが、いつも浮かばない。
で、結局【medicine sheet】ですからね(笑)。
でも、通じます…わかってくれます。
文法は考えません。疑問は語尾を上げればなんとなくわかってもらえます。

ちょっとだけ、勉強はしました。この動画は何度か見たかな。

知ってる単語でどうにかしようと思えるようになったのは、こちらのおかげです。
それと、このあたりをざざっと。

単語数が少ない、もしくは知ってる単語が多めに使われてるのをさくっと頭に。
あとはもう、アプリです。助けてもらいます。
いいじゃないですか、目の前にあるんだから使いましょうよ。
患者さんも自分のスマホで同じようにアプリに話して画面見せてきたりしますから。

他のスタッフから、ときどき、言われます。
「よくそうやってぽんぽん話せるね」
いえいえ、思いついた単語を並べているだけで、話しているわけじゃないんです。
今までに聞いてきた歌とか(しかも洋楽聴かないJ-pop専門リスナーですの)。
どっかで聞いたフレーズとか。
そういうもののおかげでなんとか成り立っているのです。
「Please Wait」なんて、頭に残ったのは遥か昔のこと。
TM NETWORKのUTSUさんがドラマ出てたときに話してたフレーズから、ですから(笑)。
会話が行き詰って、どうしていいかわからないところで頻発してます(笑)。
これでもねー!手取り15万だからねー!
英会話教室なんて行ってたら生活できないからー!
頑張れ、私。

で。電話の話に戻りますが…今になって思うのは。
もしかしたら、【until(までに)】ではなく、【till(に)】と受け取ったのではないか、と。
【un】の発音が伝わってなかったのかも。
そりゃ12時半に来てねって言われればそのとおり来ますよね。
なんだ、そういうことか…。

皆さんの『スキ』や『サポート』が、私とこのアカウントを育ててくれる源になると感じています。よろしくお願いいたします。