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My favorite song ”Gracias a la vida”

” Gracias a la vida ”   グラシアス・ア・ラ・ビーダ
人生よありがとう

若い頃、私の歌の先生は、
「世界中の音楽を聴いて、そのリズムと、その歌い手の深い呼吸を学びなさい”
と言って、多くの民族音楽を聴かせてくれました。

その中でも、私が当時、感銘を受けた曲が
メルセデス・ソーサの歌う” Gracias a la vida (人生よありがとう)”です。

ソーサは、アルゼンチンの民謡フォルクローレの女性歌手で、
民族音楽特有の深い呼吸、それを支える強い身体。
そこから出る太いチェストボイスは驚くばかり。

その深く優しい声の魅力と、シンプルな曲の美しさに加え、
私が最も好きなのはその歌詞。
CDについていた和訳を何度も読みました。

人生よ、ありがとう
こんなにたくさんのものを与えてくれて
私に二つの瞳を与えてくれて
この目を開ければ
はっきりと見分けられる
白と黒を
大空の遥か彼方に輝く星も
大勢の中にいる私の愛するあの人の姿も
(省略)
人生よありがとう こんなにたくさんのものを私にくれて
人生は私に笑いをくれた 涙をくれた
こうして私は「幸せ」と「不幸」を見分ける
私の歌を形づくる二つのものを
私の歌は同時にあなた方の歌
私個人の歌であるとともにみんなの歌
人生よありがとう 
              *濱田滋郎訳のものを少しアレンジしました

最初と最後だけ書いてみました。
人生を愛し、感謝して捧げる歌。
でもメロディがフォルクローレらしい哀愁が漂っていて
どこか切なく悲しげ。

曲を書いたのは、ビオレッタ・パラ

ビオレッタ・パラは、フォルクローレのシンガーソングライター。
歌を通じ社会変革を目指したヌエバ・カンシオン(新しい歌)
という運動の先駆者であったようです。
多くの人をこの歌で励まし自由へと扇動していたパラ。
音楽が時代によって強く社会に影響を与えていたことがうかがえます。

しかし、1967年パラは、自ら命を絶ちます。
人は闇と光を同時にもち、それは良いも悪いもなく、同じ一つのものの側面。
常に死を想いながら生き、闇の中で光を感じながら人生を愛したからこそ
の” Gracias a la vida ”  の歌詞であり、メロディーだったことを知り、
この曲の深さをまた一つ理解したのでした。

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