料理が苦痛な時に読む本

今はかなり落ち着きましたが、一時、本当に献立を考えるのが苦痛な時期が続きました。主婦歴21年。子育て歴18年。親世代の主婦歴50年とかには負けますが、365日、ほぼ毎日お弁当も込みで1日3食。料理番組をみて、料理本を見て、料理教室行ってみたり、料理ブログやらを見て新しいものを試してわくわくしたことも覚えてます。体によさそうとマクロビ料理教室で習ったものが家族に受けなかったり、クックパッドのどちらかのご家庭では絶品!おかわり必須!売り切れごめん!なんておかずが我が家では売れ残り!テンション爆下がり!で勝負なんてしていないのにもかかわらず、敗北感を味わったことも。そんな諸々が積み重なったのかなんなのか、スーパー行く気分もでない、めんどくさい、夕方5時を過ぎてそろそろなんとかしないと、と台所に立っても何も思い浮かばない。6時過ぎ7時過ぎてみんな帰ってきて慌ててパントリーをみる。まず目につくレトルトカレーはもっと切羽詰まったときのために温存しておきたい。レトルトのパスタソースも以下同文。それに野菜も食べさせなくちゃだし!!と野菜室ひらいて、とにかく目に付く野菜を取り出す。切る。野菜だけじゃ中学生男子から文句がでるからと冷凍庫にある細切れ肉なりひき肉をだす。ないときはスパム缶詰(意外と高価)に満を持してお出まし願う。そして中華鍋だしてとりあえず全部炒めて、なんとなくオイスターソースで味付けて出す。今日はこれで何とかなった。この程度でいいんだよ。でも明日も同じってわけにはいかないかな。自分も食べたくないし。明日はどうしよう。せっかく夕飯が終わったのにさっそく翌日の心配。気持ちが休まらない。会社を休んだら仕事しなくていいのに主婦は休んでてもご飯仕事からは逃れられない。はぁ・・・(くそでかため息)こんな感じ。

とにかく、モチベーションが上がらない。料理好きだったはずなのに。

こんな気持ちではどんな本を読んだところで、すかさず作る気力がわくというものではなかったけれども、それでももう一度「ちゃんとお料理してみようかな」ってじわじわと気持ちを上げてくれた本たちを紹介してみます。そこまでして料理しないといけないのか、などの議論はさておき。自分だって大金使わずに体によくておいしいもの食べたいわけだし。


まずは、暮らしの手帖の記事で土井善晴先生がおっしゃった

『一汁一菜でよい』という断言に大変勇気をもらった。料理人がそういうのだからそれでいいんだよ。というお墨付きをもらった気分。自分で勝手に自分に言い聞かせたり、主婦同士で適当に言い合うのとは重み、ありがたみが違う。

せめて5分づきのご飯(結婚するとき義母に「絶対使ってね」ともたされた自家製精米機のおかげ)と具だくさんのお味噌汁

または、パンと具沢山スープ

今までにもやけくそのように、「これで必要な栄養素とれるじゃん」って言ってきたけどやっぱりそれでよかったのね!自分を肯定された安心感。

でももっと確かな勇気もらいたくて、記事より情報量多いだろうということでこちらの本を読みました。
一汁一菜でよいという提案 土井善晴
これがレシピ本ではない、というのも料理疲れした者にはありがたい。日常の食事とはどういうものかを思い出させてもらえる。土井先生の考えがわかる本です。アマゾンレビューをみても、「心が楽になった」、「肩の荷がおりた」という方が多数。文章読むのが苦手という方はタイトルだけで楽になれるのでは。

次に上記の本により、「ほら、そんなに肩ひじはらんでも」となり、「ほんとそれ」とうなづいてみたものの、具沢山味噌汁といっても、いつもスーパーで買う野菜はワンパターンなので、それだって続けばやっぱり同じ具の味噌汁の毎日となれば自分がきつい。一応豆腐わかめネギ油揚げの王道のほかに、カボチャいれてみたり、大根、ニンジンを千切りにして入れてみたり、キャベツとコーンの変わり種をしてみたり。一汁はこれでいいとして、一菜用にはもうすこしレシピもあるといいかな?って。一菜は漬物でもいいらしいけど、うちは私以外ぬか漬け好きではない。みんなぬか漬け好きなら本当に楽だったのになぁ。で手をだしたのが、「もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓」稲垣えみ子著 こちらは確かにレシピものっていたし、レシピだけでなく、現代に生きる常識を根底から、それで本当にいいの?と思わされる大変魅力的な内容。自分もこんな風に衣食住すべてにおいて超シンプルにできたらどんなに楽だろう。と夢をみました。理想論だけでなく稲垣さん本人が実践されているのも心強い。でも残念ながらでてきたレシピ、私には魅力的でも一緒にくらす高校生、中学生、夫に押し付けたらちょっとまずいかなという雰囲気ではあったので、これは老後のお楽しみにとあきらめた。これは一人身くらいの身軽さじゃないと難しい。自分だけの理想を押し付けてはいけない。今は家族が沢山いる生活を大切に思わないとねと自分に言い聞かせて。

あまりにも食が苦痛になってしまった重症のころに読んだ本は
私が最近弱っているのは毎日「なんとなく」食べているからかもしれない
小倉朋子著

食育にも通じる内容でだいぶん反省。五感をフルに使って食事を味わう。そして食事が自分の元に届くまでどれだけの人の手を経てきたのかにも思いをはせる、曹洞宗のお坊さんの修行哲学とも被る内容。詳しくはお坊さんにまなぶ こころが調う食の作法 星覚著 を読まれるといいかと。

けれど、こういった内容は感銘をうけた自分は実践しても家族にはなかなか伝わらないよね。そしてイライラしてしまいがち。ここまででワンセット。

それでも、やっぱりこういうことは知っておくのは大事なことだと思う。

今は??な家族もいつかタイミングがくれば知るかもしれないし。

そしてそれに付随して読んだ本が、わたしが輝くオージャスの秘密: 黄金の生命エネルギーできれいになる元気になる (ちくま文庫)服部 みれい、 蓮村 誠共著

蓮村先生はアーユルベーダや毒だしなどの本も出されており読んだことがありますが、面白いので興味がある方は一読おすすめ。また、食とは別の人間の個性に関する本もあり、苦手な人を克服するきっかけになったありがたい先生でもあります。がその話はまた別記事で。

出来たてのホカホカ湯気を立てている食べ物のパワーをオージャスと呼ぶそうですが、そういう事を知ってよかった半面、ご飯ができてもなかなか食卓にそろわない家族にやきもきしてしまった。「冷めちゃうじゃん!!」って。もともとできれば温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べたいので、どうぞといわれても遠慮がマナーと思って手を出さない空気も苦手で、さっと手に取るタイプの自分からすると、食卓にさっと来ない家族もちょっとイヤだなと思っているのに、オージャスのことを知ってしまったがゆえに、拍車がかかってしまった。湯気とともに大事なものが消えていくのが辛くて。

でも、やはりこういうことを知っておくのは大事なことだと思う。Part2(Part1を探せ なんのために)

いいことを知って実践したい気持ちはあれど、現実に難しい場合もある。その通りにできなくても、あまり深く考えない。をモットーに。

せっかくの素敵な知識で自分を追い詰めるなんてもったいないからね。

結局はやる気が出るまでは適当な食事をしてしまう。けどそれに一々罪悪感持つことない。

一応、ごはんとお味噌汁を基本にすることで

気になる健康面も大丈夫と信じて。その信じるを裏付けるために土井先生の一汁一菜提案がある。

つまり、まだやる気が出てないんです(笑)そこでこんな小説を読んでみる。


みをつくし料理帖 高田郁著 (郁=いくと書いてかおる!プチ情報)このシリーズはNHKの単発ドラマでは北川景子さん、連続ドラマ化されて黒木華さん(ビジュアル的にこちらのほうが原作っぽかった。北川さんはむしろ旭大夫のイメージ)が主人公の女料理人「みお」を演じていらした。黒木華さんの時には最後に再現料理教室のコーナーまであって楽しかったです。この本を読むと食べる人を想って料理をすること、そんな相手がいることの尊さをしみじみと味わえる。みおの健気な生きざま、江戸町人の粋に素敵!と思いながら、義理人情に涙しながら、「そうそう、料理って本来こういうことだよね」と思い出させてもらえる。それに、みおが働くつるやで自分も今日の夕ご飯済ませたい!食べてみたい!と思う魅力的なご飯の数々。巻末にレシピが何点か載っているので、読んで気分があがった状態で、食べたい気持ちが旺盛なうちに、みおちゃん気分で作ってみたりできる。しかもおいしい。江戸時代よりものがそろってるのであれこれ手抜きもするけどね。

もう一シリーズ、マカン・マラン 古内 一絵著のシリーズ4作品

こちら、料理が面倒すぎて出来合いのものとか、冷凍食品とかに頼っていると丁寧に作られたおいしいものが食べたいと切実に思う。コンビニにいっても、手軽なお弁当屋さんに行っても食指が動かない何も選べない時ってあるじゃないですか。そんな時にこれを読むと、今こそ自分がエピソードの主人公となってマカンマランでシャールさんに話を聞いてもらってシャールさんのお話をきいて、そしてシャールさんの特製ご飯を食べさせてもらいたいと強く思う。

けど、シャールさんは現実にはいないので仕方なく自分で作ってみるのです。それにすごーく食べてみたいから作ってみたい!!と思うのです。

野菜をたくさん食べたいけど、何をどう作ったらいいのか。

そんな時に城之崎塔子が食べた春のキャセロールを真似してみる。

簡単でおいしいし、心も元気になります。作中の細かな描写も思い出しながら食べると効果倍増な気がします。

本編に作り方までは詳しくは載っていないのですが私が勝手に文章から読み解いて作ったものでよければ以下にレシピを載せておきますのでお試しください。

マカン・マラン 春のキャセロール 作り方 お手軽バージョンレシピ。 オーブンがあるならぜひオーブンで。その際は耐熱の鍋を用意。用意するもの:なるべく厚手の鍋。本編では土鍋を使用していますが、なければルクルーゼとか、ストウブ、シャトルシェフとかでも。それもなければ普通の鍋でもやっちゃえ。です。【材料】キャベツ、玉ねぎ、ジャガイモ、セロリ(香の野菜があると出汁になるそうな)カリフラワーやニンジン、など入れてもおいしい。本では蕎麦の実やひえを入れているし、くず粉でトロミをつけているが、我が家には蕎麦アレルギーがいるし、ひえは手元にない、くず粉もない。のでこの辺は全部なし。野菜たちは大きめにカットして玉ねぎはくし切りの四等分くらい全部それくらいの大きさに。鍋に包丁の面でぎゅっと潰したニンニクひとかけら(平野レミ風にボウルの底でゴン!ってやってもいいよ)とオリーブオイルを鍋にいれて、弱火でじわじわと香りを立たせたら切った野菜をバンバンいれて(入れる順は、その野菜の育った場所が地面の下から地上までのどこかを考えて。下から順にいれるとより本格的。根菜類は下のほう、地面を走り回ってる肉とか上に伸びてる葉野菜は上のほうに。もちろん、適当でも作れます)少量の塩コショウで炒めて全体に油を回す。出汁を入れる。本では昆布とハーブということなのであればそれを。無ければ野菜がかぶるくらいの水とだしパックやコンソメキューブなどを放り込む。後はじっくりコトコト火をいれてトロトロになるまで放置。オーブンなら170度で40分くらい。上にかけるチーズのようなものはなんと玄米餅と豆乳、白みそと酢を混ぜたもの。おもチーズです。【おもちチーズの作り方】一人分:餅(本では玄米餅)一個。白みそ10g 酢 少々 豆乳30-50g 餅はスライサーや包丁で薄切りするかチーズおろしとか、しりしりおろしを使うと楽。小鍋に豆乳を温めおろした餅を入れる。木べら、ゴムベラなどで混ぜてトロトロにする。白みそと酢を味を見ながら入れていく。チーズのようにトロリとしたら完成

本では一人用の土鍋に野菜スープを入れてその上におもチーズをかけて少しオーブンで焦げ目をつけてだしています。トースターでもいいし、焦げ目はなくてもいいのでトロリとかけて召し上がれ。

そしてもう一冊、先日読み終えた本。風のベーコンサンド 高原カフェ日誌 柴田 よしき著 東京から単身高原にやってきてさびれたペンションを買ってカフェをやるちょっと訳ありな女性オーナーのお話です。これも読んだらちょっと気分があがったので。料理を楽しそうにする描写がいいです。自分でお店を開きたい人なんかも、おとぎ話とはいえある程度共感できる部分も多いです。きっと。



大切な人に食べてもらいたい、安心安全でシンプルな材料で手作りのお菓子を誠実に丁寧に作れる範囲内で売る、みんなに愛される小さなお店を開きたいと思っています。