見出し画像

『開幕前夜』第2話「みんなの庭園」

 夢の中で、夢をみた事はあるかい?

………………
…………
……

 ボクはずいぶんキミを待たせてしまった。

キミの良き騎士足りえない。

ふがいない。

 よそにあらゆる生命が色付く。

花々の香りがそよそよと虹色に。

撫でる風がふぅわりいろどり。

遥か星雲の下にして、

優しいオーロラが咲きみだれる。

 気付くとボクのブリキは、

肉体を帯びていた。

生命をつとめて大切に踏みしめる。

ヒトは進むために、ときに花さえ穢す。

愛と呼ばれる大樹まであと幾許か。

 キミとのかくれんぼは骨が折れる。

小さくてみつけられない。

大きくてはかれない。

でもそれがいい。

 ボクが望む事は、

君との、

ほんの刹那にふたえに芽吹く時の歓びだからです。

ボクは「ただいま」

キミは「おかえり」

てへっ♪ ふふっ♪

いつも、はにかむボクら。

 愛という樹の下で、

凛と咲く。

一輪の、たんぽぽ娘。

どうか待っていて。

この【みんなの庭園】で。

………………
…………
……

 ふと意識を起こすと、

ブリキの身体。

ここは……、そう、

太陽系外。

第27番惑星【Fortuna】。

ネモにひきずられていたのでしょうか。

「おはようコンまた来るぞ疾く護れ以上」

ソーアは健在。

展開させよう。

「“Shield of Answer”へ、計測頼る。ネモの次の波の規模は? ボクは姫君との“漸廻”にまわる」

「計測結果。集合無意識ネモおよそ60,141以上」

  なんとはいえ、

ボクの妹の先生がいる宙域ですからね。

微力ながら助太刀を。

推して参る。

 捧華、

入学おめでとう。

お兄ちゃんも、頑張るからね。

………………
…………
……

……虚ろなる魂よ……

……どうか……

……安らかに……鎮み給え……

 姫君想い、

手をとりあって、

紡ぐ言の葉……、

「“漸”」

みんなの庭園、

そこは失われた次元に在る。

零と一。

あとい。

時という概念が意味を持たない。

逢いたい人に、逢える場所。



 ごたくはいい。
かくごしろ。
いっぽずつ、あるきつづけろ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?