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ひとりひとりの可能性を広げるきっかけづくりが好き。岡秀和さん

関西学院大学でボランティアコーディネーターとして働きながら、未経験ファンによるアメフトチャンネル『レッツハドル』のユーチューバー、社会人アメフトチーム『みらいふ福岡SUNS』広報スタッフ、認定NPO法人D×P(ディーピー)でのイベント企画・運営、月に1度オンラインで開催される『おうちカフェ』の企画・運営など、様々な分野で活動している岡秀和(おか・ひでかず)さん。一見共通点がないようにも見えるそれらの活動をつなげているのは、「きっかけ」づくりだと言います。そんな岡秀和さんに、ボランティアに関わるようになった経緯と、現在の活動、人との関わりの中で大切にしていることを伺いました。

(聞き手:田中美奈)

親友の言葉がきっかけに ボランティアとのはじめの接点

中学、高校、大学(関西学院大学社会学部)に入学してすぐの頃まで、僕は自分に自信がなかったです。特に運動や勉強ができるわけでもなく、むしろ苦手なことの方が多かったので、いまいち自信を持てなくて。 

だから、自分以外の魅力がある人を応援することに意味を見つけていました。親友が医学部を受験するときも応援をしていました。彼が医学部に合格した後は、また自分のことを考えないといけなくなり、「相変わらず自分は怠惰な日々を送っているな」と思っていました。

そう感じていたときが、ちょうどゼミ選択の時期で。社会学部にはフィールドワークでボランティアをしているゼミがありました。

人を応援することが好きなので、ボランティアには、すごく興味がありました。でも、ボランティアをこれまでしたことがなかったので、「やれるかな。」とネガティブな感情になっていました。

そのことを親友に話すと、「岡は人のことを考えて動けるタイプやねんから、やらんともったいないで」という言葉をかけてくれたんですよね。それが僕の人生の中で、大きな「きっかけ」だったんです。

それで、災害支援ボランティアを専門としている先生のゼミに入りました。その先生が次のきっかけをくれました。「一つでもやる理由があるならやってみることが大事」ということを教えてくださって。

いくつか活動先がある中から一つに絞って活動に参加するだけでも良かったのですが、一つでも行く理由があるならと考えると、全部の活動に行く理由があったんですよね。それから色んな活動に参加しました。

実際に参加した活動
・東日本大震災の影響で西宮市に避難されている方々と一緒に活動するKSNプロジェクト(こころスマイルにしのみや)

・新潟県中越地震の被害を受けた新潟の限界集落(塩谷集落)での活動

・2009年台風9号の被害を受けた兵庫県佐用町で、コミュニティカフェや竹炭づくりを実施(学生支援ネットワーク チャコネット)

・阪神淡路大震災の被害を受けた尼崎市での活動(地域の方との環境整備、子どもたちに自然環境について伝える活動、防災に関するイベントの実施)

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(新潟の限界集落で企画したカラオケ大会の様子。地域の方から料理を振る舞ってもらったり、デュエットをして一緒に歌ったりした(提供写真))

ゼミがきっかけとなり、共生について学ぶ

僕の所属していたゼミは、「共生」について考えることがテーマになっていました。ボランティアの体験を言語化することを大切にしているゼミで、例えば「楽しい」という感想に対して、「それはどういう楽しい?」と尋ねられていました。跳ね上がるほど「楽しい」のか、それとも静かに噛み締める「楽しい」のかなど。

ゼミで1つの言葉に色んな意味があることを実感しました。物事を単純化しないことや、一つの目線で見ないということが、人と共に生きるうえで大切だと気づきました。そのことで相手のことを尊重しながら、自分のことも大事にする。それが「共生」なのかなと学んだゼミでした。

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(佐用町の活動でお世話になった地域の方と。大学卒業後も佐用町に足を運んでいる。(提供写真))

きっかけをつくる ボランティアコーディネーターとして

今は関西学院大学で、ボランティアコーディネーターとして働いています。ボランティアをしたいと思っている学生に、ボランティアの情報や活動の紹介をしたり、ボランティアをしている学生に対しても、情報を紹介したり活動の相談に乗ったりしています。

また、学生のスタッフと一緒にイベントを企画して、ボランティアの魅力や多様な活動があることを知ってもらう仕事もしています。学生に伴走しながら、イベントを一緒に考えていく過程が楽しいです。

キャンパス内で学生に声をかけ、ボランティアについて知ってもらうイベントをしたことがあります。途中うまくいかないこともありましたが、学生スタッフのみんなと力を合わせて当日を迎えました。250人の学生に声をかけるという目標だったのですが、結局300人以上の学生と話すことができました。

でも、その人数よりも、イベント後の学生の声が嬉しかったです。「しんどかったけど、やってよかった。」、「人との関わりにこんな面白みがあるなら、もっと人と関わってみよう。」といった学生の発見や気付きが見えたのが嬉しかったです。しんどかったで終わってほしくないと思うんですよね。

ボランティアコーディネーターは、きっかけをつくっている仕事だと思います。「何かボランティアをしたいです。」と話してくれた学生とボランティアを探すこともあります。そもそもボランティアセンターに来てくれること自体、僕はすごいことだと思っています。「何かをしたい。何かを変えたい。」という思いが、勇気を出して話にくるという行動と繋がっていて、既に学生が一歩を踏み出していると感じるからです。

自分の思いを話すことによって、挑戦したいことが見つかることもあります。それが一つのきっかけになります。活動に行って、今まで気付かなかったことに気付いたり、人と出会ったりすることもきっかけだと思います。学生スタッフにとっては、イベントの企画をすることもきっかけになります。全部きっかけにつながっているなと思います。

仕事以外の場所でのきっかけづくり

ボランティアコーディネーターに限らず、僕はきっかけをつくることが好きです。他の活動も、全部きっかけをつくっているんだなと思います。あまり知られていない魅力を色んな人に知ってもらって、可能性を広げてもらえることが好きです。

そのことに出会っていないだけで、実際に知ったり体験したりしてみると「めちゃくちゃ面白いやん」「ハマるやん」ということが、世の中にたくさんあるんじゃないかなと感じています。

『レッツハドル』というアメフトチャンネルをYouTubeでつくっています。アメフトの名前は知っていても、その面白みや魅力を知らないという人もいると思います。少しでも面白いと感じるポイントを見つけてもらえたら嬉しいなと思っています。

ツイッターでも発信をしていて、「今までアメフトについて話す相手がいなかったから、話せてよかった」という言葉をもらうこともありました。これからもアメフトファン仲間と繋がっていきたいです。

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(『レッツハドル』を一緒に盛り上げ、編集も兼務しているやっちんさん(写真左)と一緒に。(提供写真))

普段からゆるやかなつながりを

認定NPO法人D×Pで、ボランティアさん同士が交流できるイベントの企画や運営をしています。ボランティアさん同士が関われる場があったらいいよねと、D×Pのスタッフさんと話していて。ボランティアとして登録していても、ボランティアさん同士がつながるきっかけがないということが、もったいないと思っていました。

これまで餃子パーティーや恋バナ部屋など、色んなイベントを開催してきました。困ったときにゆるっと話せたり、気になるイベントがあったときにその場に来てもらって繋がったり。リラックスして話せる、そんな場になったらと思っています。

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(2019年12月、D×P事務所でピザパーティーを開催。ボランティアの方々と一緒にピザをつくったりプレゼント交換をしたりした。現在はオンラインでイベントを開催している。)

また、月に1度オンラインで『おうちカフェ』という場をつくっています。「一生自由に暮らせるお金が支給されるとしたら何をして過ごす?」、「ステイホームの過ごし方〜おすすめの◯◯紹介〜」など、毎月テーマを決めて開催しています。Zoomを繋いでゆるゆるお話しをする、そんな継続的な居場所ができたらと思っています。

継続しているからこそ、他では話せない話ができたらいいなと感じています。普段は会えないけど、月に1度『おうちカフェ』に行ったら、あの人がいるんじゃないかという場ができたらいいなと思います。

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(2月のおうちカフェのテーマは「これって私だけ?」。普段の生活の中で感じていることを参加者の皆さんとお話しします(提供写真))

(インタビューの最後、普段からたくさんの人と関わっている岡さんに、人との関わりの中で大切にしていることを聞きました)

言葉の背景に耳を傾ける

目の前の人が、どうしてそう言っているかを興味を持って聞いたり、言葉の意味を聞いたりします。自分の中で納得できない言葉を聞くこともあると思うんですけど、その言葉の背景や理由は何だろうって想像します。でも、想像で終わらないことも大事かなと思っていて、実際に聞いてみることも大切にしています。

相手の言葉が絶対に間違っていると思わないように気を付けているかもしれないです。常にそれができたらいいんですけど、いつもできているわけではなくて。正直に言うと、他の人が話していることに対して、「そう言っている意味はわかるけど、どうしてそうするんだろう。こうしたらいいのに。」と思うこともあります。

でも、一周回ってもう一回考えてみると、その人の立場、その人の考えというのがどこかにあるんですよね。自分の出す答えが一番良いとは思っていなくて、相手自身が持っている感覚を尊重したいと思っています。相手の考えや背景にあることは何かを知ること、聴くことを大切にするために、これからも対話をし続けたいと思います。

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岡秀和さん 
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