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もう一つの人生を生きること

大学院時代の友達から久しぶりにLINEが来た。
彼女には娘が二人いる。二人とも優秀で仲良し親子。そんな彼女の悩みは長女さんのことだった。

小さい頃からおしゃれが大好きで雑誌を読むのが好き。そんな長女さんは雑誌の出版関係のお仕事につきたいという。でもそれは不安定な仕事。給料もけして高くなく、社員でもない。将来が不安で応援できない自分がいるとのことだった。

親子とはいえ、全く嗜好が違う娘。親だからこその不安。応援してあげたい気持ち。色々な感情が渦巻いているようだった。

親としての心配。価値観。
自分なら絶対選ばない進路を我が子が進むということはどんな気持ちなのか。

私自身には子どもはいない。だから本当には親の気持ちになれないのだと思う。でも思った。娘はその友達の進まなかったもう一つの人生を歩んでいるのでは?と。


その上で自分の両親のことを考えた。

わたしの両親は決して裕福な家庭に育ったわけでもなく、二人とも一人親家庭だった。戦後の混乱の時に幼少期を送り、金の卵として子どもの頃から働いた。父は勉強が好きで、進学を勧められたが、家庭の事情で働かざるを得なかった。母も小さい頃から子守をし、中学卒業後すぐに働き、結婚。まさに子育てではじまり子育てで終わった人生だった。

父は生前よくいった。
俺もせいせきよかったんやで。勉強したかったなぁ。お前は好きなことやれよ!
母は
私には何が向いているのかこの歳になってもわからない。

学びたかった父と
社会と繋がりたかった母

私はこの両親のもう一つの人生を生きているのだ。大人になっても自由に学び、仕事を通して社会と繋がっている、

私自身は長い間の不妊治療にも関わらず、子を授かる事は叶わなかった。

人の一生は何かを得たり、得られなかったりなのだ。得られなかったものを嘆かず、与えられた環境で懸命に生きようと。

叶わなかったことを子が孫がその先の子ども達がその子自身の人生で体験することもある。

だから自分に与えられたものをただ感謝

私は両親のもう一つの人生を生きている。それは私の人生だけど、私だけのものでもない。

自分らしくいきることがその答えだとしたら

子ども達のやりたいを応援してあげたい。

価値観が変わっていくこれからの世の中で、力強くいきていける子ども達を育てるには、

どんな状況でも自分自身をはげましていける力をつけること。周りの大人や親がいずれ居なくなっても、心の中で励まし続けるもう一人の自分を育てるお手伝いをすることが大人の役割なのかもしれない。

わたしも教師としてそんなお手伝いができたらと思う

両親がそうであったように。

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