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第1回/三野絵里佳さん/地理的困難を乗り越えて掴んだアメリカ進学

こんにちは!
みんなの進路委員会の谷村です。
今回から、 #地方出身の私の海外進学ストーリーと題して、海外大学への進学をされた地方出身者の方のインタビューを連載していきたいと思います。
記念すべき第1回目は、三野絵里佳さんです。
実は、私の母校の後輩でもある三野さん。進学先も私が初めて海外に行った時に短期留学したアメリカ・ミネソタ州にあるカールトン・カレッジで、何かと共通点が多く驚きました。 
そんな三野さんの進学ストーリーです。

 

三野 絵里佳さん(みの えりか)
1998年生まれ。香川県綾川町出身。香川県立高松高校(2017年卒)-カールトン・カレッジ(アメリカ/2017年9月入学-2021年6月卒業)-大手IT(2021年10月入社)

ーーー三野さんの子ども時代について教えてください。やんちゃな子どもでしたか?

生まれ育った綾川町は、美しい自然に囲まれたのどかな場所でした。私は、田舎の男の子勝りの子どもって感じでした。放課後は公園で男子に混じってドッチボールをしたり、自転車で町内を走りまわったりしていました。いますよね、そういう強い女の子(笑)

一方で、勉強も好きでした。近くに唯一あった学習塾がKUMONだったんですが、幼稚園の時から通っていました。小学2年生で中学3年の勉強が終わっているくらい、とにかく数学が得意でした。

また、英語の勉強もしていました。以前、父親が当時の勤務先からアメリカの大学院に2年間派遣されたことがあったみたいです。その時、母と当時生まれていた幼い兄も付いて行ったんですが、語学でとても苦労したようで。それで、両親の意向で2歳くらいから英会話教室に通うことになりました。

最初は個人塾に行っていたのですが、途中から高松にあるジェムスクールという地元の英会話スクールに通い始め、中学3年生まで勉強していました。
さらに、年に1回くらいは家族旅行でアメリカに行くことがあり、両親の思い出の場所や父親が通っていた大学院も訪問しました。そうした中で、海外に対して漠然とした憧れを持つようになったんだと思います。

高校進学は友人も多く進学する高校を考えていたのですが、両親から「せっかくなら1番の学校に行きなさい」と勧められ、県内トップの進学校である高松高校へ進学しました。

ーーー入学式が衝撃だったようですね。

そうなんです。入学式初日に、「大学進学を見据えた勉強をしよう」という先生からの話があり、驚きました。初日から受験の話をするのかともやもやしたんです。

また、入学当初より比較的成績が良かったこともあり、自分の興味関心とかは関係なく、偏差値だけをみて「じゃあ東大だね」と偏差値のみを基準にして大学を勧めてくることにも違和感がありました。そうした違和感が重なり、「これは自力で進路を考えないといけないぞ」と思うようになりました。

ーーーそこからどのように海外進学へと至ったのでしょうか?

進路指導に対するもやもやを両親に伝えてみました。すると、「お前もアメリカ行けば?」と父に言われたんです。
実は、父は以前から何度もそういう発言をしていたのですが、ずっと聞き流していました。でも、このときの言葉は私に強く刺さり、アメリカの大学について調べるようになったんです。

インターネットで調べると、偏差値という概念がないことや、入試のスタイルがエッセイや高校時代の課外活動を重視することなど、日本の進学の仕組みと大きく違って驚きました。また、日本だと大学入学時にはじめから専攻を決めないといけないことがほとんどで、これにも違和感を抱いていたのですが、アメリカのリベラルアーツ・カレッジ(教養学部)の存在を知ってとても興味が湧きました。

そして、海外進学への本格的な準備を始めました。まずは英語の勉強をしないといけないと感じ、高校入学後に通っていた塾にお願いしてTOEFL向けの勉強を始めました。ですが、その塾では普段TOEFLの指導をしたことがなかったため、ノウハウがなく、効果的ではありませんでした。そこで、インターネットで見つけた留学専門塾に通うことにしました。その塾がある東京に長期休みや休日を使って通ったり、オンライン指導を受けたりしました。
また、アメリカの大学に応募するにあたってSATという試験を受ける必要があったのですが、それも一番近くの会場が神戸でした。

ーーーアメリカの大学へ学部進学するには課外活動も重視されるかと思うのですが、勉強以外にはどんなことをしていましたか?

部活動は、入学してすぐにハンドボール部に入ったんですが、ずっと走っていないといけないのが辛くて次第に行かなくなってしまいました(笑)
その後、生徒会に参加して、赤い羽根募金の周知活動などに取り組みました。また、友人と興味本位で全国高校生クイズに参加しようとしたことがあったんですが、ちょうど学校の夏期講習の期間とぶつかり困ってしまいました。そこで、正式に部活として認めてもらい、公休取得や交通費補助をして貰いたいと考え、クイズ研究会という部活を友人と設立し、文化祭で出展したり、全国高校生クイズに参加したりしました。
学外のプログラムにも積極的に参加しました。高校1年生の時には日本開催だった日中韓高校生サミットに参加しました。日本にいながら英語を使って海外の同世代と交流できることが魅力だと感じて参加しました。また、2年生の時は全国高校生未来会議に香川県代表で参加しました。

ーーーアメリカへの進学について、高校の先生方はどんな反応でしたか?

高校2年生の時の担任の先生はとても応援してくださいました。一方で、高校3年の時の担任の先生には、当初「自分にはサポートできない」と言われてしまいました。海外進学にあたって、3年生の時の担任の先生にお願いしないといけないことは推薦状の作成などたくさんあります。そこで、「全部私が準備して、先生はいつまでに何をお願いしたいか伝えるので、それをやるだけの状態にします。」と言って交渉したところ、支援いただけることになりました。学校紹介のパンフレットは当然日本語版しかなかったので、自力で英語版を作成しました。また、放課後にパソコンを教室に持ち込み、全て準備して先生が必要項目を打ち込んだり資料を作成したりするのを一緒に取り組みました。最後にはその先生も応援してくれました。

高松高校では、進路指導などで驚いたこともありましたが、出会った先生や友人など本当にいい人たちで貴重な財産になったと思っています。勉強や部活動などに熱心に取り組む生徒が多く、常に刺激される環境だったと思います。

ーーーカールトン・カレッジ、素敵な大学ですよね。ミネソタの大自然を感じられるキャンパスライフは、私も短期留学でしたが素晴らしい時間を経験できました。なぜこの大学を選んだのですか?

海外進学を支援する塾の先生に勧められたことがきっかけて、カールトン・カレッジの存在を知りました。もともと少人数で学部教育を重視しているリベラルアーツ・カレッジを考えていました。また、統計学に興味があったので、その勉強ができる学校を探していました。いくつか合格した中で、これはもはやフィーリングなんですが、カールトン・カレッジが私に一番合う気がしたんです。田舎に行きたいとも思っていました。

大学の雰囲気はパーフェクトでした。学生たちは、競争意識というよりはみんなで手を取り合って勉強していく気風で居心地がとても良かったです。最初は英語で苦労したのですが、そうした気風もあってたくさんの仲間に助けてもらいました。

勉強以外には、たくさんアルバイトをやっていました。日本語の授業を取っている学生のチューターをしたり、統計学科の宿題の採点をしたり、プログラミング言語を学ぶクラスのチューターをしたりと、忙しくしていました。

また、学内の日本人サークルで日本の料理を作ってキャンパスでふるまうイベントをしたり、バドミントンクラブで活動したりしました。
学外では、海外大進学を目指す高校生を支援する団体「留学フェローシップ」のキャラバン隊に応募して、日本各地を巡って高校生たちに海外大学について伝える活動をしました。
また、特に意味もなく起業に憧れていたので、夏に開催されるシンガポール国立大学の起業家育成プログラムに日本人で唯一参加しましたが、起業は自分に向いていないとわかって帰ってきました(笑)
IT企業でマーケティングのインターンを8週間ほどやったこともあります。広告を出稿してくれる企業向けのマーケティング戦略を考え、いろいろな資料を読み込み、多様なチームと協働するなど、一連のビジネスの流れを学べたと感じています。

ーーーカールトン・カレッジ勧めるとしたらどんな方でしょうか?

カールトン・カレッジは本当におすすめです。どんな人に合っているかと言われるとなんて言ったらいいのかな・・。穏やかだけどパッションを秘めている。自分がやったことを見せびらかさないけど本当に努力している。困っている人がいたら支え、共に学び合う。そんな人がカールトンぽいなと思います。

ーーーその後、大手IT企業へ入社されました。日本就職をした理由などありますか?

当初、アメリカの大学院への進学を考えていました。ですが、新型コロナウイルスの影響があり、対面の授業が開催されるのか、はたまたどんな大学院生活になるのかなど不透明なことだらけでした。また、久しぶりに日本に帰りたいとも思いました。日本の新卒一括採用の流れにのって、新入社員というものを体験してみたいとも思ったんです。そこで、日本就職をすることに決めました。

ーーー就職活動はどのような考えで行いましたか?

志望業界は特に絞らずに活動しました。自分が興味を持っていたデータ分析に関連する仕事ができそうな企業を探していました。スケジュールの関係上、主に毎年秋にアメリカの東海岸で開催される大規模日本就職イベントで主に就職活動を行いました。

ーーー社会人1年目ということですが、いまの仕事はいかがですか?

入社前は、なんだかんだ日本就職で良かったのかと悩みました。不安だらけだったんですが、今となっては日本就職を経験できて良かったと思っています。会社で出会った方々もとてもいい人ばかりです。また、新卒の育成に力を入れている会社だったので、ビジネスマナーやパワーポイントなどでの資料作成など、社会人として働く上での必須なスキルを身につけることができたと思います。さらに、キャリアに対するモチベーションの高い同期に囲まれ、刺激的な環境で働いています。
一方で、日本ならではの総合職採用には戸惑いもありました。私は、アメリカで学んできた統計学のバックグラウンドを活かして働きたいと思っているのですが、配属先は会社のその時々の状況に応じて決定されるため、必ずしも希望通りのものにはなりません。
最初は、次の配属先では希望のところにいけるようにと願っていたのですが、いまでは考え方が変わりました。
自分のやりたい仕事を確実にするためには希望部署に運良く配属されることを待つのではなく、機械学習などをより専門的に学んで、データサイエンティストになったほうがいいと感じています。
そのため、いまは目の前の仕事を頑張りながら、将来的にはアメリカの大学院に進学して、ビジネスとテクニカルデータを融合させたビジネスアナリティクスを学びたいと考えています。かなり先の話かもしれませんが、アメリカのテック企業とかでも働いてみたいですね。

ーーー最後に地方の中高生に一言お願いします。

おお、中高生に一言ですか・・・(笑)
やっぱり、与えられた選択肢を鵜呑みにしてはいけないってことですね。
自分が何をしたいのか、それを達成するためには何ができるか、そんな考え方を持つことができると、いい人生が過ごせる気がします。

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