月の缶詰 スピンオフ5
美しく晴れた夜
「そろそろかなあ。」
だいぶ細くなった月を見上げて呟く。
月とひと月を過ごしてから5年が経った。
あまりにあっという間の出来事だったことと5年間も普通の生活を送ったことで、あのひと月が夢だったのか現実だったのかは曖昧になりつつある。
この5年で変化したことは大してないけれど、あの頃よりは大人になったし、仕事もほんの少しできるようになったと思う。
今の生活に不満はないけれど、ふとした瞬間、ドレッサーの上に目をやってしまうこと自分を自覚している。
またねと言えな