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第72回卒業証書授与式を挙行しました

 令和6年3月1日、暦の上では春とはいえ、まだまだ春は遠いと感じる札幌。
 北海道札幌月寒高等学校第72回卒業証書授与式を行い、生徒たちが学舎を巣立って行きました。本校は、全日制と定時制がありますが、今回は全日制の式辞を掲載します。


 北国の冬ともそろそろ別れを告げ、やわらかな風に春の兆しを感じるこの佳き日に、御来賓各位並びに保護者の皆様を式場にお招きし、皆様とともに北海道札幌月寒高等学校全日制課程第七十二回卒業証書授与式を挙行できますことは、本校にとってこの上ない喜びであり、御臨席を賜りました皆様方に対し、衷心よりお礼を申し上げます。

 ただ今、卒業生二百七十一名に卒業証書を授与いたしました。新たな世界へと船出する卒業生にとって、今まで多くの方々から戴きましたご厚情は、いつまでも心に残る財産として刻まれていくものと信じております。
 保護者の皆様、本日はお子様のご卒業まことにおめでとうございます。本校入学以来、一日たりともお子様の健康・生活・進路にと気の休まる日は無かったことと拝察いたします。また、18年余りの歳月を経て、たくましく成長した姿をしっかりと目に焼き付けられたことと存じます。改めまして、今までのご苦労に対し敬意を表するとともに、本校の教育活動へのご理解とご協力に、壇上からではありますが、感謝を申し上げます。

 さて、卒業生諸君、卒業おめでとう。君たちの三年間の努力と精進に対し、心から拍手を送ります。君たちは、高校生活の当初から2年間にわたり、コロナ禍による様々な制限を経験してきました。3年生の今年度、5類移行に伴い野球部の全校応援や月高祭、スポーツ大会など制限を緩和した中でやっと実施できたのは大きな思い出になっているはずです。
そのような数々の困難を乗り越えて、これから新たな環境に飛び出す皆さんに、エールの意を込めて、本日は「人間の究極の幸せ」ということについてお話しします。

 学校で使われているチョークを作っている会社で「日本理化学工業」という会社があります。その会社の元社長 大山 康弘氏が、ある禅寺の住職から聞いた話ということです。
氏によると、人間の究極の幸せは、ものやお金ではなく、次の4つのことであるということです。
すなわち
・人に愛されること
・人に褒められること
・人の役に立つこと
・人から必要とされること
 では、これら4つの究極の幸せを得るためにはどのようにすればよいでしょうか。
 ただ黙って待っていては、これらは手に入りません。 「自分が人に与える」ということを意識して行動することによって始めて与えられるのです。
人から愛されるためには、「自分から先に人を愛する」ことが必要でしょう。人に褒められるためには、「自分から先に人を褒める」必要があります。また、人の役に立つには、「自分から人に助けを必要としていないか声をかける」必要があるでしょう。
では、人から必要とされるためには、何が必要になるでしょうか。
そのためには、自分が時代に合わせて学び、成長し、変わり続ける必要があると私は思っています。今のこの変化が激しく、その先の予測が困難な時代、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の時代、「VUCA」の時代の中で、「変わり続ける勇気を持つ」ことはとてもたいへんなことですが、とても大切なことだと思っています。
種の形成理論を構築し、進化生物学を発表した地質学者・生物学者であるチャールズ・ロバート・ダーウィンが次のように言っています。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない」
「唯一生き残るのは、変化できる者である。」
時間とともに取り巻く環境は変化しています。生き物の世界では、環境に合わせて進化できなかったものは絶滅の道を歩むことになります。環境の変化に対して適応するためには変化するしかありません。でも、人は変化を好みません。苦痛を伴い、パワーが必要になるからです。
皆さんには、是非、これからの世の中で「変わり続ける勇気」を持ってもらいたいと思います。

 結びになりますが、君たちが残してくれた爽やかな笑顔と新しい風、数多くの実績は、本校の財産として輝かしい伝統の1ページを飾ってくれました。たくましく成長した卒業生諸君には、本校で過ごした三年間を財産に、これまで支えてきてくれた友人やご家族に対する感謝の気持ちを忘れることなく、校訓「自主自立・親和協力」の精神を胸に、新しい時代の創り手として未来を切り拓いていくことを心から期待しています。皆さんの健康と活躍を祈り、洋々たる前途を祝し、その限りない可能性を秘めた二百七十一名の背中を見送り、万感の思いを込めて祝辞といたします。

令和六年三月一日

北海道札幌月寒高等学校長
       三 村 素 道 

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