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これから警察官として育っていく人に知っておいて欲しいこと


警察官に必要なスキルは何かと聞かれたら、私は「雑談力」だと思います。

「雑談力」って、最近もビジネス書のタイトルにもなっていましたが(しっくりする言葉が見つからず、拝借しましたごめんなさい)、これがあるとないとでは、警察人生雲泥の差ではないかと考えられるのです。

内部の人間と外部の市民、話す内容やトーンは違ってきますが、結局は同じところです。

今は人と接することを控えるよう促してくる世の中ですが、警察組織に関わらず周りを見渡せば結局どこでだって、コミュニケーションがあるからこそ、物事がスムーズに進んでいるのです。

私が尊敬する警察官の一人に、人並外れた能力を持っておきながら、山奥の駐在所に長年勤務している方がいました。

特に媚びを売っている感じではないのに、上からの信頼が厚く、書類は丁寧でキレイなのに早く、とにかく「雑談力」が素晴らしい方でした。

幸運なことにこの方に指導してもらう時があり、私の勤務に合わせて同行してもらいました。

先に言うとこの方は、警察組織として欲しかった情報を善良な一般市民からごくごく自然に引き出していたのです。

会話が始まる最中に、私は自分宛に無線が入ったため、相手に聞こえないよう対応した後に戻りました。


するとびっくり。その短時間の間にめちゃめちゃ打ち解けて和やかに話しているではありませんか!!!

知りたかった情報をぐんぐん引き出し、全く不自然じゃないところで切っていました。

後で「なんでそんなに情報を引き出せたんですか?!」と聞いてみると、

「え、わからない。勝手に話してくれた」そうで。

うわー、こんな人がいるんだな、と感動してしまいました。

後で知ったのですが、なぜそのような方が駐在所勤務だったのかというと、市民からの信頼が厚すぎて、住民が異動しないでと反対運動を起こしたからだそうです。

勤務を同行してもらった時の場面一つ切り取っても納得してしまいました。

と、こんなに凄くなれるのは、才能の部分も大きいでしょう。


けど、マニュアルに書いてあるような、通り一辺倒でこなすだけの警察官ではつまらないと思いませんか。

若い子を見ていると、腹の中で思っていることと、当たり障りなく口にしている言葉は違うんだろうなと感じることがあります。

失敗してはいけないから、仮面をかぶって自分をさらけ出さないでおこう、というのを感じます。

それはそれでいいのですが、自分の持っているものを少しでも外に出してみると、相手も心を開いてくれ、円滑に進むこともありますよ。

おそらくそれを引き出してあげ、勇気づけながら良い方向へ導いてあげるのが組織内の先輩や上司の役割なのでしょうね。

まずは所属に入ってきた若手に沢山声をかけてあげているのも、コミュニケーションを取ることが大事だって、代々わかっているからだと思います。

こればかりは警察学校では教えてもらえません。(逆に教官に馴れ馴れしく話していたのでは、目をつけられてしまいます)

だけど、日常生活で色んな世代の方と話す機会はたくさんあると思います。

情報を仕入れるくらいの高度なことは難しくとも、職務質問なども含めた普段の警察官の勤務にはコミュニケーション力は必須です。

黙っていては何も始まらないので、なるべく人と話す努力をしましょう。


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