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四月の花の囀り【詩】

四月なのに心弾まない
四月だから心弾まない
私の四月はいつも心が沈む
四月はまだ花粉症が終わってなくて
四月は仕事が大変になって
四月は息子が遠くにいってしまって
四月は少しだけきらきらしていた昔が
どんどんどんどん遠くなっていく
もうほとんど消えかかっている

わたしは悲しくなってしゃがみこみ
小さな花をみる
小さな小さな紫の花
小さな小さな白い花
米粒よりも小さいくせに
私に春だと訴える
分かってる
ほんとうはちゃんと分かってる
そうだよ、春だよ、分かってる
それならちゃんと笑ってよ
私たちみたいに笑ってよ
暖かい日ざしを目薬にして
優しい風にくすぐられて
私たちみたいに笑ってよ

なんてうるさい花の囀り
分かった分かった
ちゃんと笑うから
あなた達と一緒に
午後中ずっとくすくす笑っていよう
しゃがんだ足がしびれたけど
しりもちつくまでしゃがんでいよう
てんとう虫が飛んで行くまでしゃがんでいよう

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