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髪。

私は生まれてこの方、髪を染めた事が無かった。

元々半分真面目・半分大らかな性格。学生時代は校則が厳しく、髪型や髪色、ヘアアクセサリーに関する事まで。「そこまでする意味とは??」と学生ながら反発心も感じつつ、先生と一悶着あるのが鬱陶しくて地毛のまま・言われるがまま過ごした。

附属の大学に上がった頃、ようやく身なりに関して「自由」となった。加えて外部入学の新しい学生も増え、本当に雰囲気が変わった。校則に縛られていた空気に慣れていたから、どう変えればいいのか分からない私は、引き続きノーマルな髪色・髪型。
大学から入学した友人達は、ヴィジュアル系バンドに憧れて、好きなアーティストにライブ鑑賞に行った時に気づいて貰いたくて、同じ色に染めていた子、ファッション系の進路を希望していて、憧れのデザイナーの世界観に近づきたくて、服や髪型、髪色までテイストに寄せていた。ある時友人の1人(以降友人Aとする)が髪色を真っピンク色に染めてパンクな髪で通学してきた時は、ビックリした。

学生を終えて

学生を終え、髪をピンクに染めていた友人Aは、ファッション留学するためにイギリスへ渡った。その頃はまだインターネットやSNSがここまで普及しておらず、友人とのやり取りはかろうじてメール、だった。それも時差やお互いの生活がバタバタし、メールのやり取りも、友人はインターネットカフェから時間が出来た時に返事をくれていたが、後半ベルギーの学校に進学したいと、イギリスからベルギーへと留学し直した。その頃から、パッタリと消息が途絶えた。

節目のころ

留学した友人とは、かれこれ8年程疎遠(消息不明)となっていたが、この頃はSNSがようやく普及しだした頃。共通の友人(以降友人Bとする)がSNSを通じて、その消息不明の友人Aを見つけたと、知らせが届いた。真っ先に聞いたことは
「今、どこにいる?」
と。

友人Bが話すには、帰国して地元で仕事をしているとの事。生きてた、良かったと思ったと同時に、友人Bと「会いたいね」となり、友人Aにコンタクトを取り、友人Aが私が住む街や周辺エリアに来る機会があったので、そこで再会した。8年ぶりの再会をして、髪をピンク&パンクにしていた友人Aは、すっかり風貌は喫茶店で座っていても馴染んでいる位に落ち着いていて、先に再会を果たしていた友人Bと共に驚いた。「随分、落ち着いたなぁ。」印象は同じだった。

その頃には自分自身も兄弟が結婚し、子供が生まれてまだ小さかったので、子連れで行けない外出時に子守をしたりしていた。義兄弟とは性格が真逆で、自分は随分と心身共に疲労を感じていて、一気に白髪が増えた。でもまだ、何かしら手を施す事は無かった。といっても、切ったりスタイリングを
変えたりして目立ちにくくしていたといった方が正しい表現かもしれない。

世の中が変わり

2020年、世の中の流れがグルンと変わった。外出自粛・休業要請・消毒・マスク。人との繋がりがオンラインでといった流れとなり、直接人と会う事に探り探りになった。
マスクにオンラインでのやり取りとなったら、お金をかけるジャンルが変わった。その中でも、「装う物」に充てる費用は少なくなった。

長引く外出自粛や行動制限に、次第に見えないストレスや健康面にも影響が出てきていた。その中で髪をかき分けると絶望した。
「し、白い。ここも、あ、ここも!え、ここまで…。」

話が最初の方に戻るが、私が髪を染めた事が無かった理由のひとつとして、頭皮にトラブルを抱えていて、難治性な物であったから。極力刺激を避けるように過ごしていた(よって薬の塗布の為に短髪にした)。
しかし、短髪にしても目立つようになってきて、肩を落とした。趣味で山に登ったりする事もあるので、紫外線を髪にまで意識して対策していなかった事も要因かもしれない。(でも汗で髪がびしょびしょになるので、意味があったのかどうか…)
兄弟の子供達とも長らく会えなかったので、久しぶりに会ってビックリされるかもと、ふと頭をよぎり、ここで初めて「髪を染めた」。
正確には極力刺激の少ない物を相談して、人と会う時が機会が近づいた時にのみ、自宅でヘアマニキュアという形で染める事にした。洗面台の扉付きの棚にそっとしまっていたのだが、久しぶりに帰省してきた兄弟が身支度でその扉を開け、ちょっとショックを受けたそう。同じように時間が経過しているので、兄弟も白髪がちらほら。それから帰宅して、兄弟もカラーシャンプーを使い、身だしなみに気にするようになったそう。

時を経て、私の頭皮トラブルの新たな治療のおかげで随分と落ち着いた。まだ完治とまではいかないが、確実に良くなった。
現在はヘアマニキュアで何とか目立たなくなるようにしているが、髪がもっと白くなった時は、それを逆手にとって、ヘアスタイルを楽しみたい。


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