見出し画像

①共依存とは?

「依存症」とは、脳の報酬系機能不全により体調・対人関係・仕事・金銭などに損失があっても、依存対象を優先させてしまう病気である。

「共依存」とは、対人関係の境界線の混同・不合理な信念により、自分自身の体調・対人関係・仕事・金銭などに損失があっても、全て相手(依存対象)を優先させてしまう状態だ。

画像1

元々はアルコール依存症の治療の過程で、家族も依存症者と同様に、自分を失っていく状態があると発見された。病気なのか、依存症なのかはまだ判明していない。問題が大きいことだけは確かだ。

Q:ACはどんな問題を抱えてますか?
ACの課題の中心にあるのは「共依存」です。共依存という言葉は、ときに「お互いにもたれあう」といったニュアンスで使われることがありますが、これは共依存の一面にすぎません。
(省略)
依存症者が依存症という病気の影響のもとで本来の自分を失っていくのと同様に、周囲にいる人たちも病気の影響を受けて「自分を生きられない」状態になっていきます。子供時代からこうした影響のもとにあるのを「一次共依存」、結婚後などにそれまでの自分が保てなくなるのを「二次共依存」と呼ぶこともあります。
出典:『Be!』増刊号No.18 ACの生きる力!【回復と成長のプロセス】58P・59Pから引用

この一次共依存と二次共依存の違いは、自分の問題を考える上で重要だと思ってる。見直す必要があるのは、相手の関係性で起こる一時的な問題(二次共依存)なのか、自分の生き方そのもの(一次共依存)なのか、知っておく必要があるだろう。一次共依存の場合、生き方そのものの問題を見直す必要があるからだ。

ACの課題=共依存を三つの点から説明しています。
●自分に焦点があたっていない
●「境界」を学んでいない
●「不合理な信念をもっている」

出典:『Be!』増刊号No.18 ACの生きる力!【回復と成長のプロセス】58P・59Pから引用

他人中心の生き方も共依存的だというのが前回の話。日本では他人中心の生き方は割とナチュラルだが、アメリカでは普通にヤバい扱いされてていとをかし。
なお、この共依存の捉え方はこの記事のみの扱いである。医療では「ヤバイやつと付き合い、世話をしまくり、明らかに損失があるのに離れない人」この認識が一般的だ。

家族の共依存ルール
①問題について話し合うのはよくない
②感情は率直に表現してはいけない
③言いたいことは直接言わず、第三者を介す
④非現実的な期待―強く・正しく・完全であれ
⑤利己的であってはならない
⑥私が言うようにせよ、するようにはするな
⑦遊んだり、楽しんだりしてはならない
⑧波風を立てるな
出典:アダルト・チャイルドが自分と向きあう本

これはACを作り上げる機能不全家庭のルール。そして家庭内だけではなく、共依存中の関係でも出てくるルールでもある。

抑圧された怒り
承認を求めようとすること
世話焼き
コントロール
見捨てられ不安
権威のある人たちを恐れること
凍りついた感情
孤立
低い自己評価
過剰に発達した責任感

抑圧された性
出典:ACのための12のステップ

これはACの12ステップ(後述)で行う棚卸の項目。太文字の部分は、共依存の性質を細かく分解したものだ。やめてください死んでしまいます。

◆共依存の3つの要素

特に共依存は世話焼き・コントロール・境界線の問題を抱えている。

■世話焼き
相手のお世話をすること。
同じ「相手のために何か行う」でも、本当の「人助け」とは、メンタリティが違う。人助けと病的な世話焼きの判断基準は、世話焼きを行った時に"自分が"どう感じるかだ。

「これだけやってるのに相手は返してくれない」
「利用されてる」「相手の要望に振り回されてる」「感謝してくれない」「こんなに努力してるのに思い通りにならない」
「どうして自分が正しいのに思う通りに行わないの」
「私の要望には返してくれない」
「自分ばっかりが損をしてる」
「相手が思う反応をしてくれないなら、自分には価値がない」

などなど。他人のニーズに応えて自分のニーズには答えない。相手に自分のメンタル諸々を全て委ねてしまう。私?全部思ってたわ。

■コントロール
自分の思うままに物事や人をどうにかしようと頑張ってしまう行為。依存症の根源。
依存症者は"依存物質/行為をうまく使おう"とコントロールする――脳の機能不全の病にそれは不可能なのに。
共依存症者は"依存症者が依存物質/行為を使うか使わないか"をコントロールしようとする――本人が心からやめようと思わない限り、不可能なのに。

何かをコントロールしようと躍起になることでパワーゲームが生まれる。駆け引きが始まり、葛藤が引き起こされ、自分が上か下か、勝ったか負けたか価値観の全てになってしまう。
「この行為はコントロールだからやってはいけない」と理屈を理解しただけでは解決しない。その奥の感情を処理するのが手放すポイントだ。

■境界線
共依存における境界線とは、相手と自分の分け目。自分の人生に何が入ってくるのを許可して、許可しないのか、その線引きのこと。
アスクの通信セミナー「私を生きる」スキルI  境界と人間関係で提唱されてる境界は「尊厳・感情・身体・時間と空間・持ち物や金銭・責任・性的・思考や価値観」。さらに「ある境界線は強いが、ある境界線は弱い」と書かれている。

多かれ少なかれ、親しくなるほど境界線が曖昧になるのが普通だ。しかし、「相手の問題」「自分の問題」が切り分けられなくなり、自分・相手に強い損失があるなら共依存が起きてる可能性が高い。

共依存が始まると、自分は相手の問題に振り回される。相手は自立していくパワーを奪われていく。と、双方にとってマジで何も良いことない状態が続く。
代表的なのは、
①依存症者の依存行為によって失敗を起こす
②境界線を引けなくなった家族・周囲の人が世話焼きの一環として、尻ぬぐいする。
③失敗による大変さやデメリットを代行してしまうので、依存症者本人の「マジやめないとやべえわ。自分が変わらないと人生終わるわ。」の意志が無くなる。
④問題に気付かないので、依存症者は変わらない。よって依存行為による問題は長引くので、周囲は振り回され続ける。

画像2

共依存的行動を行う理由は、依存症の原因が様々であるのと同じだ。承認欲求のために意図して、社会的な常識、自己防衛のため。一概にどれがどうとは言えないだろう。医学的死に追い詰められるアルコール依存症なんて、世話しないと死ぬ感が半端ないもんな。
何にせよ、依存症者の「依存行為を責める」のが、やめさせるのに効果的ではないように、共依存症者の「世話を責める」のも、効果的ではない。周りの人は知っていて損はないだろう。

★共依存しやすい人

個人の経験談と見解と偏見で、共依存しやすい人を書いてみる。

■優しい人・人の気持ちがわかる人
何らかの要因で、人の気持ちを読み取りやすい人は共依存に巻き込まれやすい。他人の気持ちを読み取るというのは、他人との境界線が曖昧になりやすいからだ。

■暴力的な行為、自分がどうにかできる以上の問題に巻き込まれてる人
わけの分からない苦しみを味わった人間――つまり被害者は「なぜこんな苦しみを自分に与えられるのか?」と、考えてしまう。そして、相手の心理や環境を考えて、相手の領域にどんどん踏み込んでしまう。これもまた境界線が曖昧になる行為だ。
余談だが、共依存の問題に限らず、被害者は加害者本人の気持ちを知る必要性はない。精神が癒されるプロセスには、自分の気持ちに正直になるのが必要不可欠だ。「相手にも理由があったから…」と、自分の気持ちを濁らせるといつまでも癒されない。
社会活動・予防のために「何故、人は加害をしてしまうのか」について知識を得る必要はある。しかし、自分の加害者へ内面を配慮する必要はマジのガチでない。

■日本人
共依存文化が推奨され、周りがナチュラルに進めてくる。己を押し殺して一人前!賭けてもいいが、日本でアルコール依存症が発見されてたら共依存が発見されるのはあと100年はかかったね!

■自尊感情が低い人
自尊感情が低いと、無意識に承認欲求を求める行為に出やすい。また「世界が何と言おうと私は私。」と主張できる強さや「NO」が苦手なので、境界線がもろくなりがちだ。
病んだ人間を世話をする行為は、努力をして何かを成し遂げるよりも、簡単だ。しかも病んだ人間は、なぜこんな自分に良くしてくれるのだろうと、常人の20倍は感謝してくれる。そこが足りてない自尊心にクリティカルヒット。病んでる人間に構う人間自体が少人数なので、需要と供給が成り立ちやすい。地獄のwin-winの始まり。

■アダルト・チルドレン
言わずもがな。
親との経験から、自分が尊重される感覚がそもそも掴めない。おかげさまで自尊感情が大変低い。
AC的な問題としては、親との関係は最も親しい関係のモデルになる。そのせいか、ACが好む病的な人は自分の親とよく似てる場合が多い。アルコール依存症の父親とそっくりの恋人と付き合ってる…というアレである。表面的な病は似てなくても、本質的な部分が似てるのはあるあるだ。

恐らく、親の病的なタイプに対して我慢の許容値と、対処の仕方、ゆがんだ境界線の引き方を学んでしまうから、相性が最悪の意味で良くなってしまうのだ。また、子供時代にもらえなかった愛を、似てる人間からもらおうと無意識に近づくときもある。

私はDVされたことないので、全く許容できない。許そうとも思わない。父子家庭だったため、女系の遠回しコントロールに翻訳機能が備わっていない。多分、ギャンブルや性依存とかも、依存症との知識とは別に許容できないだろう。

このように対処法や相手の内面を知らないと、相手の境界線に踏み込むことがない。メンタルがかなりヘラジカしてる場合を除き、相手はどんな気持ちなんだろう…?と探る必要もない。親しみがないから、よく知ろうとさえ思わないのだ。純粋に自分の気持ちだけをフォーカスすることができる。

しかし、粗末な扱い・パワハラやモラハラ・言葉の虐待・強烈な感情をぶつけられるのは、受け入れることができてしまう。それは父が3~6時間説教されるのが日常茶飯事だったのが強く影響しているだろう。
一方で、そういった父が実は孤独を抱えてるのもよく見てた。だから大人になっても父と同じ行動をする人を見ると「この人を許さないといけない」「この人はこんな心理なんだ」と、謎の許容スイッチが入る。最初から関わらない以外の手段が存在しないから困る。

このように、ACの場合はどんなクソ置き土産をされたのか、深堀して知る必要があるだろう。それは共依存の予防に役立つに違いない。

次の記事はこちら↓

ここから先は

0字
訳の分からない悪徳ビジネスよりかは良い情報を提供してる自信があります。

共依存について、知識と回復のために必要な具体的手段をまとめました。当事者として効果があったものを紹介しています。7部構成・合計2万文字以上…

サポートしていただけると、今後の食費と資料代にさせていただきます♥