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暮らしの行間

 暦は寒露、ほんの少し肌寒い自転車通勤、いつものように海沿いの道に入る。いつもの海の青さと潮の匂い、その周辺の諸々が今日も五感をくすぐってくれる。
 ただ、こうして海の青さだとか潮の匂いとかを言葉にしてしまうと、海の青、それ意外の様々な色が抜け落ちてしまう。潮の匂いもそうだ。車道のアスファルトの匂い、入る車の排気ガスの匂い、道端の雑草の匂い、それらが混じった匂いたちが、ごっそりと抜け落ちてしまう。青にもその前後には露草色、天色、薄藍に縹色、紺碧とグラデーションがあるらしい。こんな和名の色がなんと713色もあるのか。匂いだって然りだ。
 そうそう、何事も言葉にしたり文字に換えることで、デジタル化してしまって、隙間にある大切なものが失われてしまう気がする。生活の中の行間の味わいまで消してしまいそうで怖い。そんなことをごにょごにょと考えながら、ペダルを漕ぎながら衰えつつある五感に力を込めてみるのでありました。20211020

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