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朝の大回転

 それは前の日から始まる。夕食の洗い片付けの最中にシンクに水切り用の空きスペースを確保するため不要な物を移動させる。置いたままになっている毎朝使う湯沸かしポットに水を溜めて湯沸かし台に持って行き、明日の朝は電源スイッチを入れるだけにしておく。ゴミカレンダーを見て、可燃物、資源プラ、缶ビン、ペットボトルに不燃物と明日のゴミ出しの確認も怠らない。

 朝がやって来ると主夫のその活動は始まる。1周目、リビングからかみさんの寝室を抜けトイレに行き、右手の洗面台で顔を洗い髪を整える。右回りに台所に行き、湯沸かしポットスイッチを入れ、廊下に行きカーテンを開け、付けっ放しの常夜灯を消す。
 
 2周目、再びリビングに行きまだ寝ている飼い犬のうみのシュラフはそのままにして、私のシュラフを畳み、再び寝室のベッドでiPadを観ているかみさんを横目に見て、洗面台の右にある洗濯機から乾燥済みの洗濯物を取り出す。さらに右手の浴室の扉を全開にして湿気を逃がす。
 
 3周目、台所に行きコーヒーカップを取出し、インスタントコーヒー、クリープ、私はキビ砂糖にかみさんはテンサイオリゴ糖を入れて、お湯が沸く間に、かみさん用にバナナと冷蔵庫からソーセージとヨーグルト、それにチアシードをかけて、リビングに運ぶ。寝室のかみさんをベッドから車椅子に移乗させトイレ介助、その間に取り出した洗濯物を仕分ける。かみさんをトイレから引っ張り出す。
 
 4週目、台所で準備してあるコーヒーカップお湯を注ぎ、リビングに運ぶ。仕分け中のタオル類を浴室前の棚に持って行く、

 5周目、ゴミ出し準備、廊下に行き金魚に餌やり、うみの餌やり、リビングのジャービルの餌やり、かみさんに着替えを取ってやる。日によっては、ぐるぐると小回りしながら、室内のあちこちにある観葉植物たちの水やりもする。

 6周目、台所からゴミを抱えて、廊下にある勝手口から飼い犬と一緒に庭に出る。飼い犬は裏庭で用を足して、私はゴミステーションにゴミを持って行く。週1,2回は庭でぐるぐると回りながら植木たちに水をやり、メダカたちに餌をやる。戻り際に郵便受けから朝刊を取り出し、裏口から飼い犬と一緒に廊下に戻る。リビングに新聞を置き、テレビを付けて、寝室を抜ける。

 7週目、台所で食パンをオーブントースターみ入れてリビングで新聞を広げる。頃合いを見てちょっと逆回転で焼き上がった食パンにマーガリンを塗りリビングで食べる。かみさんも食べる。食後には大量の処方箋を飲むかみさんと血圧の薬を1錠だけ飲む私、そしてコーヒーカップや皿を台所に下げる。髪を解いたりテレビを観たりのかみさん、新聞で顔を覆うようにして記事を読む私、かみさんの横に好きなジャーキーを待つうみ。

 その後も、かみさんのデイケアへのお出かけ準備や私の朝のトイレ読書やらで右回りに3周くらい回って、朝の主夫の大回転は終わる。何が言いたいかって、それは一動作の中で如何に効率的に、小さな動作の集合体である家事をこなしているのかを洗い出してみるための作文で、このことが一時が万事で最近の若い者はと、ついつい愚痴へと繋がってしまう。

 例えばこんなことだ。まあ何かのイベントで一緒に作業なりすると、一つ指示で一つしか動かない。行って戻ってくる時に手ぶらで戻って来たりするのを目にするに付けて、うわー勿体ない手ぶらで戻って来たのかと呆れて見せても、はあの一言で終わってしまう。作業の段取りや一つの仕事の後先周辺を考えてくれんのだわな。それに較べて私は日々朝から大回転で鍛えてますと言いたかっただけの長い作文、ご容赦あれ。仕事がらみで事故とも思えるような長い待ち時間に、持って来た本が読了となり、手持ち無沙汰さでこんな詰まらん作文を書いてしまった。20220601

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