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合掌

 睦月7日は小寒、七草がゆの候、年明けのいろいろが、ある部分はゆっくりと、またある部分は一気に動き始めた一週間だった。そんないろいろを思いめぐらせながら自転車はゆっくりと風を切る。

 年末には海老ちゃんを失った悲しみをカモメに託してペダルを漕いだばかりだと言うのに、今日は元旦に会ったばかりのALSの渡邉郁靖先生が急逝してしまって、その悲しみを抱いたままペダルを漕いでいる。人は誰しも死に向かって生きているけど、その終わりがいつなのかは誰にも分からない。明日は何があるか分からないから今を後悔のないように生きよと言う人もいるけれど、大半の人が正常性バイアスを利かせて、明日もきっと今日と同じように生が続いていくものと思っている。私は明日もあるからと沢山の後悔を抱えてのんびりと生きている。

 元日に会ったときの先生の笑顔が印象的だ。なんと言うんだろう。笑顔が迸っているようで、先生の周りが迸る笑顔でぱーっと照らされ、同時に心がぼわっと暖かくなる感じなのよ。また会いに来ますと言って、これからも何度でも会えると疑うことなく思って別れたのに、あの笑顔が最後だったなんて辛いわ。あの時に居合わせたご家族と、その家族に囲まれた先生を見て、進行性難病とは言え、羨ましいほどの幸せの姿に映っただけに、唐突な訃報の衝撃はきつい。心からの哀悼の意を届けよう。20220107

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