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霊山に登る

 満開の桜の時期が過ぎ、コロナが6の波から7の高波へと移行した卯月清明の候、ここ霊山の頂きからの大分、別府の町々の展望は薄っすらと春霞に覆われてる。新緑の木立を渡る風が汗だくの身体に心地いい。

 さて、内稙田登山口に9時半集合、夢ひこうせんから5人と私と自転車仲間1人の計7人でのパーティー、今日の特記事項としては、元気担当の部長が所要で欠席であること、もう一つはベテラン山ガールが1月の登山で弘法も筆の誤り的な骨折事故からのリハビリ登山であること、さらに人生のベテラン新入部員の初参加があること。頂上では何か、今月で大分を離れる山ガールからのサプライズもあるらしい。さあ、出発だ。

 9時45分に階段、コンクリート舗装の坂道、そしてくねくねと登る登山道、樹上からは小鳥たちが囀る。所々の葉桜が吹雪く。万灯籠を過ぎる頃には少し呼吸が荒れる。山ガールの骨折の後先話から、不参加の部長が居たらのタラレバ話、行き交う人との挨拶、標高が300になる頃には汗が噴き出している。標高400を過ぎると少し言葉数も減る。標高500で、あとどのくらいと言い出す参加者数名、誰もそんなに詳しい訳でもないので適当に答えておく。すると第二展望台が久住、由布、鶴見、高崎山、別府湾と扇状地を埋め尽くすビル群や家々、見知った大型店に学校、スポーツ施設が立体的な地図となって展開している。木製の年季の入ったベンチに腰を下ろして一息入れ、水分を補給する。昨日のコロナ感染者465人、薄っすらと色分けして姿を見せてはくれないだろうか。

 そして、ここ第二展望所での山ガールプレゼンツのサプライズは、なんと山でフルーツパフェだった。保冷パックからイチゴにバナナにブルーベリーと生クリームが飛び出し、フレークにロールケーキまで、それらをカップに分けて盛り付けて、あっと言う間にパフェが出来てしまった。見た目で感動、食べて感動、こんな山の上でパフェが食べれるなんて思ってもなかっただけに、下界だと680円払っていいくらいの完成度だ。山ガールありがとう。

 感動覚めやらぬまま、山頂まで10分、出発から約2時間、三角点で記念写真を撮って、再び第二展望台まで折り返して、簡単なお昼タイム。前回の鶴見岳登山の伝説となるであろう物語を聞き、次はどこにチャレンジするか、山ガールが引っ越しまでに残った酒を飲みほして荷物を軽くするのに苦労している話など、楽しいひと時を経て、下山することに。

 山ガールは回復状況を確認しながらゆっくりと下り、人生のベテラン山の初心者はトレッキングポールの役割を実感し、今日が2回目の若い山ガールは何度か尻もちをついて淡々と下る。私と19歳のゲンは体力と若さに任せて、私は老いの無鉄砲に任せて走り下る。途中途中で一息入れて見上げる木々からの木洩れ日が荒れた呼吸を整えてくれる。下っては後続を待ち、下っては待つを繰り返す。万灯籠の石仏に近寄ってゲンが驚きの声を上げる。近寄って見ると、そこには石仏の右手の親指と人差し指で作った穴からアマガエルが顔を出しているではないか。その愛らしいこと。さらに下って最初に登った階段の手前には、ヘビくんが、よう頑張ったと出迎えてくれた。

 以上、簡単なレポートを拵えておきました。参加した皆さん、お疲れ様でした。事故もなく楽しい一日をありがとうございました。また誘って下さいね。20220410

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