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大怪獣ブゴン 

 別府を舞台にした短編映画「大怪獣ブゴン」を平日に観に行った。怪獣映画が好きなのかと言われると、子どもの頃は大好きだったが今はそんなこともない。可愛い姪っ子が制作進行に携わっているということだけが動機だ。上映時間30分だから仕事の合間を縫ってブルーバード劇場に駆け込んだ。別府駅駐車場に車を停めて、駅前通りを下ると直ぐに5月下旬に始まった大型リゾートホテルの広大な工事現場があって、向かい側に渡ると大正ロマン風の高等温泉が古参の風情で控えている。久しぶりに歩く駅前通りをほんの少し味わうと、もうブルーバード劇場だ。ここも70数年の歴史で佇んでいる。11時前に劇場受付で、切符とパンフレットを買って、上映中の「それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ~るカーニバル」が終わるのを待つ。

 平日でもしかすると贅沢に数人で独占上映かと思っていたら、続々と階段を登ってやって来る。そうか夏休みなのか、子供連れが多い。入れ替わり時間になっても、人が出て来ない。「アンパンマン」組がそのまま居残って観るとのこと。なるほど、短編映画ならではなのかな。

 扉に架かる暗幕をかき分けて劇場に入ると、「アンパンマン」組は僅かで、どこでも好きな席が選べる状態だった。後ろから3列目の中央に座って、老舗劇場の臨場感を味わう。80席の客席がバラバラと埋まって行く。会場が落ち着いて、観る側の気持ちも整ったあたりでブザーが鳴る。コマーシャルが幾つかあり、照明が落ちて、本編が始まる。

 伽藍岳から始まり、大怪獣ぶごんが出現して、大分弁が飛び交う。この大分弁が今までのどんなメディアで聞いたものより、いい感じで耳に馴染む。迫力あり笑いあり、館長の特別出演ありで、あっという間にエンドロールが流れて、そこに姪っ子の名前を確認して私の映画鑑賞が終わる。隣の小学生の笑顔、前の人も後ろの人も笑顔だ。なるほど、大怪獣ブゴンはスクリーンを越えて観客までも癒してくれるのか。

 ロビーに出ると、出演者でもある岡村照館長がロビーで見送ってくれた。Facebook用に一緒に写真をとお願いしたかったけど、ロビーの混雑が邪魔して出来なかった。残念。

 さて、大怪獣ブゴンの余韻に浸りつつ、午後からの仕事をこなして渋滞の別府市街地を走っていると、別府タワーが近づいて来る。なんと、スクリーンの中で破壊された別府タワーがスクリーンの外でリアルに修復されようとしているではないか。いやいや田口監督は、ここまで大掛かりな仕掛けで楽しませてくれたのか。おじさんは鳥肌ものの感動に震えるのでありました。
20220824

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