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苦行の経糸張り
土曜日はかみさんの白髪染めをしてやった。日曜日の今日は朝から、かみさんの機織り準備の経糸を張り3時間、心身ともにへこたれる。
4色の糸を1本ずつ、中腰で整経台に糸掛けすること120回、真ん中あたりを紐で結んだり、綾ホルダーに取り込んだりして、端っこを外して切って、これで経糸の準備完了だ。
続いて経糸通し。これがまた大事(おおごと)だ。それはそれは小さな筬(おさ)という板のスリットの間を老眼に鞭打ちながら1本ずつ通して行くことを120回繰り返す。
さらに両端の糸を10本すつ束にして横棒に結わえて行く。テンションが甘いと、かみさんから激が飛ぶ。
巷には「糸」というめぐり合うことの妙を歌ったいい曲があるが。我が家の糸は、めぐり合ってしまったことをなじり合い、経糸通しを何故、私がしないと行けないのかを、ありとあらゆる罵詈雑言を織り込んで歌いあげる。
そしてやっと経糸張りが終わると、織り機には何事もなかったように経糸が、さあ横糸をいつでも織り込んで下さいと並ぶ。これが3時間の無益な格闘の結晶であることを知る人は少ない。
20211205
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