うみ散歩
飼い犬のうみと私とお気に入りは河川敷の散歩道、川の流れているところから堤防までの広大な河川敷には、四季折々に様々な雑草が人の背丈を遥かに飲み込み、立ち入ることも出来ない程に生い茂る。年末に除草、整地までした様子で、露わになった広大な地面には、耕運機の規則的な轍模様が入っている。こんなに広かったんだ。走ろう、うみ。地面が、ポコポコ、ふわふわとして気持ちいい。走る程に砂埃が舞い上がる。振り返ると走っていたのは私だけで、うみはふんふんと地面に鼻を突っ込んで匂いを楽しんでいる。それにしても昨日の寒さが嘘のように暖かい。やっとうみが近づいて来たと思ったら、体中にバカをつけているではないか。
散歩は殆ど次男が行ってくれる。私と長男が行くのは月に4、5回だろうか。3人共にコースが違う。15分の時もあれば1時間くらいの時もある。うみにとっては、誰でも連れて行ってくれればいいようだ。散歩に行く前の私たちの、さあ行こうかといった兆候、気配に激しく反応して喜んでは、玄関まで掛けて行く。時に勘違いしては、がっかりして玄関から戻って来る時もある。その都度、うみに伝わるとは思えないけど、まだ散歩ではない理由を伝える。
うみが居る生活も15年、もう間違いなく家族で、傍にいるのが当たり前で、うみも私たち家族の傍にいるのが当然という顔をしている。私も子供たちも事あるごとに、何もなくても、横になっているうみをハグする。かみさんもベッドに移乗すると、必ずうみがベッドに上がって、かみさんより先に横になり、場所の取り合いが始まる。時々、かみさんが噛まれたりもする。寝る時は私のシュラフの横にくっ付いて一旦は寝て、深夜に二階に上がって次男のベッドで寝る。この時期は居間の引き戸をうみが通れる幅だけ開けたままにして出て行くから、廊下の冷気が流れ込んで来る。このうみの幅、約20センチが意外と寒い。その寒さに気が付いて引き戸を閉めるのは私の役割だ。
今も散歩疲れで私の後ろで横になっている。この寝顔を見ていると、またちょっかいを出すようにハグをしたくなる。鬱陶しいなあという顔をしながらも付き合ってくれる。こうして家族みんなを癒してくれる。うみ、時々尻尾踏んづけてごめんな。今年も頼りにしてるから、よろしくな。20220102
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