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小っちゃい峠を越える

 先週木曜日に尿道あたちの細菌感染で泌尿器に駆け込んだ。7,8年振りの僅かな自覚症状で行った病院だったけど、この時はまだ外部から侵入した菌に炎症という症状で白血球あたりが応戦を始めたばかりだったのか。処方された薬で簡単に治ると思ってたけど、その日の夜から少しの熱発とさらなる頻尿、2時間と続けて眠れない。金曜日になり薬は飲むけど症状は軽くはなってくれない。かみさんのヘルパーさんが見かねてリンゴを剥いてくれた。しかもすりリンゴでもいいですよと声まで掛けてくれて、またそのリンゴの美味しかったこと。
 その日の夜中、また熱発、頻尿、シュラフの中で汗だくになりながら、昨日よりもどこか症状が軽減されてないのか点検するも改善箇所は見当たらず。この菌との闘いの峠が今この時なのか、まだ先があるのかと悶々としながら、断続的な眠りの最後、目を覚ますとふと、のし掛かっていた違和感がふわっと遠のいて行ったような瞬間があった。そうだ、違和感の奴が前を走る私を、猛然と抜き去って行った。パラリンピックの見過ぎだろうか。闘いには敗れたけれど、もう頑張らなくてもいいのか。そんな勘違いを寝ぼけ頭でしながら、確認のためトイレに行くと、まだまだ十分ではないが、快方に向かう雫の音で帰って来た。
 土曜日、もう普通の生活が出来るか、試しにかみさんの入浴介助を朝からやってみた。なかなかハードだったが、なんとかやれた。後は静かにゴロゴロと過ごしてみた。日曜日、予定していたボランティアの片付け仕事も普通に出来た。もう大丈夫だ。帰宅して、車のリアハッチから荷物を降ろして、ハッチを閉めようとすると、ハッチがおでこに襲い掛かって来た。流血、これこれ距離の見誤り、年々増えて行くなぁ。バンドエイド程度で済んで良かった。8月は辛い夏であった。
 と、こんな小っちゃい病気にこんなに大げさに書き散らして、重い病気で入院したら、もう雑文じゃなく針小棒大な闘病日記を書いてしまうだろうな。もっと、小っちゃい奴は小っちゃいなりに静かにしてればいいんだと、もう一人の自分が突っ込む。恥ずかしい恥ずかしい。それにしても痛すぎるゲンコツだった。

20210829

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