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甘雨降る休日は自転車の解体に限る

 片付けのお手伝いで引きあげて来たママチャリ、かつて子供を保育園に送り迎え、活躍した子どものせは買い物カゴに替り、母親は買い物に使い、父親はパチンコ屋までの行き交いに一喜一憂しながら使ったのかも知れない。時は移ろい役割を終えた自転車は庭で風雨に晒されて、赤さびて風景の中に埋もれ佇む。

 さあ、甘雨の土曜日は朝から倉庫でママチャリ解体ショーの始まりか。分解と言う言葉は組立てとセットになっていて、元に戻ることを前提にしているから、私の場合は分解として始めてしまっても、ほぼ元通りに復元できたことがない。だから、もう分解ではなくどこまでも不可逆的な解体なのだ。格闘すること2時間、家族の歴史の傍らにあったママチャリは果たして家庭用不燃物と化す。私のストレスもすっ飛んで、原型を止めないママチャリも予期せず最後の役割を果たして満足そうだ。

 因みに今回、切断に使った道具はディスクグラインダー、次はレシプロソーを試してみよう。週末片付け屋、時々解体屋、この2、3日読んでいる本は「左官礼賛」(小林澄夫著)、これが面白い。壁が塗りたくなって仕方ない。20220219

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