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手を離すエール

時々、いいえ、しばしば。
全部を投げ出したくなる。

ここじゃないどこかへ。

私以外の誰かになりたい、と思っていたのはもう遠い昔のはずなのに、
ふとその感覚がよみがえる。

コイツみたいにだけはならない、という怒りが、私の自己肯定感を初めて確立してくれた。
皮肉なことだが、私に必要なのは傷つくことだったのだろう。

自分も他人も傷つけたくない、けれど、
違う、そうじゃないな、
他人を傷つけてしまうことが、自分を傷つける。それほどまでに私の完璧主義は難儀だ。

でも、
他人を傷つけないと自分を守れないことがある。
分かっている、言い訳だ。正当化だ。
自分が大事だ。自己犠牲は何も美しくない。
あなたのため、なんてサイテーだ。

だから。
手を離します。

私のために、手を離します。
ごめんなさい。

どうか。
あなたのもとに一筋の光が差し込みますように。

それでも、私の見る未来は
決して明るくはない。
私の予測を変えるような、想定外なイベントが必要だ。
だから、賭け、だ。
このままでいるよりは、賭けに出たほうが。

棒に当たれ!
戦え!
抗え!

私なりのエール。

祈りにも似たその感情は
あなたの絶望を
怒りに変えるでしょうか。

傷つくことでしか変えられないことがあるなら
八方塞がりなんて知ったことか。

ガラスの天井を突き破って
破片にまみれた私は
破片にまみれたあなたも
きっと何よりも美しいから。


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