しがないギター弾きの詩
選べない未来(後編)
蒼子には、蒼子の事情があった。蒼子は、誓約書に署名捺印しておけば智久は黙るだろうと鷹を括っていた。鷲巣と準備をしていた、智久には内密に計算された相続分割を敢行出来るものだと。しかし実際は、思惑と正反対となる。
資産総額を隠している事に智久が執拗に異を唱え、会社の名義変更に執拗な印鑑証明書も母・絹子の銀行関係の書類も提出を拒んだのだ。鷲巣曰く、母・絹子の最終的な口座残高が必要なのだと言う事だった。鷲巣の尽力により、大体8対2の割合での遺産相続割合になっ