見出し画像

WEリーグカップ(グループステージB)第4節(ピックアップゲーム:日テレ東京ヴェルディ・ベレーザ対INAC神戸レオネッサ)

今回のピックアップゲームは、日テレ東京ヴェルディベレーザ対INAC神戸レオネッサです。

INAC神戸レオネッサに関しては、既にレビュー↓を書いており、移籍の動向については記述済なので割愛し、

日テレ東京ヴェルディベレーザの移籍の動向のみ掲載します。

⚽日テレ東京ヴェルディ・ベレーザ
【入団選手】
西川綾華(INAC神戸レオネッサ)、土方摩耶(新座片山FC少年団)、西村清花(大商学園高等学校)、堀内意(藤枝順心高等学校)、眞城美春(バディーSC)
【退団選手】
清水梨紗(ウエストハム/イングランド)、土光真代(INAC神戸レオネッサ)、遠藤純(エンジェル・シティFC/アメリカ)

1.試合全体の印象

 ベレーザの2得点は植木なので、植木祭りかと思いきや、もちろん植木はすごかったのだが、全アシストの三浦の攻守に渡る躍動がとにかく光った試合だった。神戸の成宮・伊藤という最強ボランチコンビとの中盤の攻防でも優勢な存在感を示した。また、既に知れ渡りつつある、右サイドの藤野も脅威であり続けた。神戸も決して悪かったわけではない。右MFの守屋は、ヘディングゴールを決めたシーンだけではなく、途中からCB三宅が退いてからはCBに入り、落ち着いたプレーを見せながらも、持ち前の攻撃力で、機をみてオーバーラップして攻撃参加する無尽蔵の体力でチームに大きく貢献した。また、後半から出場した浜野もチームにエネルギーをもたらし、攻撃が活性化される質の高いプレーを連発した。
 ベレーザとしては優位を保ち切ることのできなかった悔しい引き分け。大活躍を続けてきていた山本柚が交代でそれほど存在感を放てなかったことは気になった。神戸は2点ビハインドから追いつき、浜野の質の高いプレーや山本のセットプレーなど、今後につながりそうな好材料も多く発見できた前を向ける引き分けとなった。

2.先発出場選手の印象

⚽日テレ東京ヴェルディ・ベレーザ

GK1 田中桃 前半はDF陣の頑張りでGKが活躍するような場面がほぼなく、無失点に抑えた。指示の声を活発に出していた。

右SB18 岩﨑 9分、ロングフィードで藤野の走り出しを生かす。若い選手ながら、しっかりとゲームに入り、攻守にわたり堂々とプレー。

CB3 村松 4分、田中美の決定的なシュートにしっかりとブロックに入り防ぐ。29分、植木へのロングフィードが通る。37分、藤野に縦パスを入れる。34分、山下のロングフィードにしっかりと反応し、先に触るガッツあふれるプレー。

CB33 岩清水 34分、宮川に縦パスを入れる。35分、左サイドの裏を狙う成宮に対応できかけるが、諦めない成宮にシュートまでもっていかれてしまう。37分、土光のロングフィードを読んでクリア。同分、愛川に抜け出されかけるが落ち着いて対応する。53分、左サイドを走り出す北村に合わせてロングフィードをタイミングよく出す。53分、田中美に後ろから激しくチャージし、ファウルとなる。83分、低い位置からのFKから、左サイドの植木に正確にフィード。

左SB6 宮川 34分、岩清水からの縦パスを、ワンタッチではたくが、その後パスワークが展開されて行かない。北村との連携もあまり目立たなかった。後半48分、出足の速さで成宮にチャージしボールを奪う。69分、戻りながら力強くヘディングクリア。71分、オーバーラップしてフィードを受けた守屋からボールを奪う。79分、成宮の仕掛けに対し、しっかりと対応。84分、守屋の縦へのフィードをインターセプト。

MF4 西川 4分、中央エリアで相手のプレッシャーを浮かして飛び越えながら伊藤をかわす運び方をみせ、パスも通し、さらにそのあとも前線に駆け上がった。5分、中央エリアで落ち着いたボールコントロールから左サイドに展開。20分、中盤からワンタッチで左サイドの北村に展開。

MF8 三浦 中盤から何本も決定的なスルーパスを供給し、全2得点をアシスト。1分、中盤のボール奪取が起点となり、植木の決定機を演出。16分、クールなスルーパスで植木のゴールをアシスト。17分、中盤で伊藤からボールを奪う。19分、右サイドを走らせる藤野へパスを供給、それが通ったのちもしっかりと攻め上がりもう一度藤野からのパスを受け、ワンタッチで植木にクロスを上げ、追加点を演出。後半50分、伊藤のシンプルな縦パスをインターセプトし、逆に植木に縦パスをつなげる。72分、中盤の激しい攻防からボールを奪ってすぐに左サイドへロングフィードを通す。72分、鋭い読みでパスカットし、つなげる。菅野が退いてからは、セットプレーのキッカーをつとめた。79分、宮川が奪ったボールのこぼれ球をしっかりとカバーリングで回収し、植木に縦パスを入れる。85分、中盤でボールを奪い、左サイドの植木に展開。87分、中盤でプレッシャーを受けながらも奪われず、味方につなぐ。92分、浮き球のパスが通らない。

MF7 菅野 セットプレーのキッカーをつとめた。2分、左サイドでインターセプトする。10分、密集地でのパス回しの中から脱出する、右サイドの岩﨑への大きな展開で視野の広さとフィードの正確さをみせる。27-28分、藤野のクロスをダイナミックボレーで当てるが、ポストに当たって出てしまう。後半49分、中盤で前を向いてボールを運び、右の裏を狙う藤野にスルーパスを出すもオフサイド。65分、中盤で囲まれながらファウルを誘いFK獲得。

右FW11 藤野(後半途中からCF) 0分、三浦からのスルーパスを抜け出して走りながら受け、右サイドからライナー性の角度のないシュートを放つがサイドネット。2分、サイドを縦に突破するだけでなく、中盤で展開する力もみせる。9分、岩﨑からのロングフィードを走り出して受けて力強い縦へのドリブル、クロスを上げるが惜しくも植木に合わず。27分、右サイドから菅野にクロスを上げ、チャンスを演出。37分、右サイドでプレッシャーを背負いながら奪われない。後半51分、植木から右に展開されたパスを受け、積極的にシュートを打つが、GK正面。52分、右サイドでファウルを誘うプレー。59分、伊藤と交錯するが、力強い出足で先に触ってボールを運ぶプレー。

CF9 植木(後半途中から左FW) 5分、左サイドで土光とマッチアップし、強気でシュートまでもっていくが枠外。11分、中盤の伊藤に猛烈なプレスバックでプレッシャーをかけ奪おうとする。16分、中盤の三浦からのスルーパスをうまく抜け出して受け、守護神山下との1対1を、裏を突くようなシュートで冷静に決めきった。ゴール直後には弾けたような笑顔を見せた。19分、三浦からのワンタッチクロスに驚くことなく反応して追加点。後半52分、前線でボールを受け、三宅と土光のプレッシャーを受けながらも、ストライカーらしく力強くシュートまで持っていき決定機を生み出すが、シュートは惜しくも左に外れた。88分、中盤で受けたボールを右サイドの坂部に展開。89分、左サイドで前を向く巧いトラップで相手をかわし、オーバーラップしていた宇津木にスルーパスを出すがオフサイド。

左FW14 北村 前半はクロスの正確性を欠くことが多かった。後半53分、岩清水からのロングフィードを左サイドで受け、チャンスメイク。

⚽INAC神戸レオネッサ

GK18 山下 16分、植木との1対1の場面で駆け引きの巧さをみせつけられセーブできず失点。空いた時間には、味方にかなり厳しい姿勢で指示を出す場面も。

CB3 土光 5分、右サイドで植木とマッチアップし、強気でシュートまで打たれてしまうが枠外だった。11-12分、成宮への縦パスが通る。16分の植木の山下との1対1のシーンで、最後まであきらめず足を出して足掻いたが、植木の駆け引きの巧さがそれを上回った。17分、右サイドを走る田中へのロングフィードが通る。後半47分、ロングフィードが通る。72分、ゴール前で植木とマッチアップ、体を張ってブロック、CKに逃れる。

CB5 三宅 2分、右サイドでの植木の仕掛けに落ち着いて対応し、ボールを奪い切り、縦にパスをつないでいった。3分、縦パスを受けようとする植木にしっかりと体を寄せ、先にボールに触る。4分、愛川へとロングフィードを供給するがつながらず。4分、三宅の成宮の縦パスから始まり、波状攻撃のきっかけとなる。10分、田中美への縦パスが通る。11分、ふわっとしたフィードを縦に供給し、攻撃のリズムを生み出す。後半立ち上がり、ロングフィードはミスキックに。58分、宮川からの縦パスを鋭く読んでカット。74分、浜野に正確なロングフィード。81分、痛めた足の影響か、交代。軽傷だといいのだが。

CB7 脇阪 1分、ゴール前の植木の決定的なシュートを足を伸ばして阻止。12分、中央で受け、右サイドの守屋に浮き球で正確に展開。後半63分、鋭い読みでボールを奪いに行き、接触があり、FKを獲得。76分台、左サイドで冷静に奪うプレーを2回みせる。

右MF2 守屋(後半途中からCB) 4分、波状攻撃の最後にシュートを放つも、バーに当たる。12分、成宮との良いコンビネーションを見せる。後半48分、戻りながらボールホルダーになるプレー。55分、低い位置から、阪口に縦パスを通す。61分、浜野からのセンタリングをヘディングで合わせて1点返す。79分、田中美にロングフィードが通る。85分、植木とのマッチアップに勝利し、縦パスをつなぐ。92分、CBのポジションながら、オーバーラップして山本の縦パスを受けて右サイドにはたくプレー。

ボランチ10 成宮 4分、三宅からの縦パスを受け、左サイドの田中美に正確につないだが、田中美のシュートはブロックされた。6分、田中美との連携で右サイドからチャンスをつくりかけるがフィニッシュに到達せず。7分、伊藤からの縦パスを受け、シュートを放つが枠外。18分、中央エリアから左サイドの水野に完璧なパスを出すが、水野のシュートは枠外。34-35分、右サイドで迫力あるボール奪取から豪快シュートは枠外。39分、右サイドで体を張りながらボールキープし、縦へつなぐ好プレー。後半51分、右サイドでフリーで受け、クロスなのかシュートなのかわからない中途半端なボールを蹴ってしまい、GKに難なくキャッチされる。勿体なかった。60分、出足早く中央エリアでボールを拾い、右サイドの守屋に展開。66分、縦パスを受け、しっかりとさばいていく。67分、降りてきてカバーリング。70分、ミドルレンジから豪快シュートを放つが、枠外。85分、田中美に縦パスを入れる。87分、低い位置からボールを運び、視野を確保しながら、中央の田中美へのパスを選択、良いリズムの攻撃の起点となった。

ボランチ6 伊藤 3分、山下からパスを中央エリアで受けて前を向き、左サイドの水野に大きく正確に展開。7分、成宮の縦パスを通し、決定機を演出。31ー32分、反転しながら前を向き、愛川に縦パスをつなぐ。

左MF14 水野 3分、伊藤から好パスを受けるも、その後の縦パスが外を出てしまう。18分、成宮からの好パスを受けるも、シュートは枠外。87分、右サイドで中央の田中美から良いタイミングでパスを受け、逆サイドの浜野に展開。

トップ下8 阪口 14分、伊藤が菅野・三浦にボールを奪われるが、その後すぐにカバーリングして奪い返す。21分、プレッシャーをかけて岩﨑からボールを奪う。23分、前線からのプレッシャーが功を奏し、シュートチャンスが訪れるがパスを選択。39分、オーバーラップする守屋を生かして浮き球で展開しチャンスメイク。41分、好プレー連発の三浦を背負いながら、左右に揺さぶるコントロールで奪われずに、しっかりと左サイドに展開。後半47分、中盤でボールを奪うが、その後のパスはミスキック。

FW9 田中美 10分、三宅からの縦パスを受け、ロングシュートを放ったが弱かった。31分、前線でスライディングでボールを奪いに行くプレー。79分、守屋からのロングフィードを胸トラップしてポストプレー。87分、成宮から中央でパスを受け、左サイドを走る水野にスルーパス、展開力をみせつける。93分、山本のCKを打点高く頭で合わせてゴール、終了間際の土壇場で勝負強さをみせた。

FW24 愛川 0分、密集地の中で落ち着いてボールコントロールするが、パスがつながらなかった。32分、伊藤から縦パスを受け囲まれてなんとかしようとするも奪われてしまう。37分、三宅の縦パスに始まり、阪口を経由して抜け出して受け出すが対応されてしまう。

3.交代出場選手の印象

⚽日テレ東京ヴェルディ・ベレーザ

46分 DF22 坂部(out西川) 46分、右サイドから積極的に仕掛けるプレーをみせるも、相手ボールになってしまう。48分、右サイドで積極的に攻撃参加。58分、右サイドで藤野への縦パスを通す。60分、単純なクリアではなく、つなぐプレーで藤野へロングフィード。74分、右サイドで運ぼうとするが、奪われてしまう。80分、縦にロングボールを放り込むが、合わず。83分、出足の速さでインターセプトし、そのまま前線に上がる。

60分 右FW19 山本柚(out北村) 入ってからしばらく、ボールがおさまらない状態が続く。69分、宇津木からのスルーパスを左サイドを抜け出して受け、センタリングを上げるが、中央の選手が神戸DFに競り負ける。73-74分、右サイドで粘り強く何度も仕掛けるトライをし、最終的にセンタリングを上げるが、中で合わせる人がいなかった。84分、前線でボールを奪い、シュートを放つが、弱かった。

69分 DF30 宇津木(out菅野) 69分、入って早々落ち着いて中盤でボールをさばく。さらにその後、山本柚を走らせるスルーパスを供給。

90分 MF29 松永(out宮川) 90分、入って早々、前線から激しくチェイス、積極性をみせる。90分、積極的なチャージで相手にFKを与える。

⚽INAC神戸レオネッサ

46分 左FW23 浜野(out愛川) 序盤から積極的なプレーで神戸の攻撃の活性化に大きく貢献。49分、中盤からボールコントロールで持ち上がって右に展開、もう一度受けようとするが外に出てしまう。54分、左サイドから中に入れるプレーでCKを獲得。57分、前線でロングフィードに積極的に触って落とし、再度パスを受けて枠内シュートまでもっていくが、GKにキャッチされた。61分、左サイドで裏のスペースで良いタイミングでフィードを受け、落ち着いてクロスを上げ、中央の守屋のヘディングゴールを演出。74分、三宅からのロングフィードを見事なトラップで処理。79分、右サイドを走り出す成宮をしっかり見て、正確なフィード。87ー88分、右サイドの水野から展開されたパスを受け、ダイレクトシュートを狙うがしっかりミートせず枠外。

63分 CF11 高瀬(out阪口) しばしば低い位置に落ちてきて、ボールをさばいた。86分、右サイドからの天野のセンタリングに飛び込むが、DFに体を寄せられヘディングシュートは枠に飛ばず。

63分 ボランチ17 山本(out伊藤) スペインで七年プレーした。この試合が神戸では初出場。セットプレーのキッカーをつとめた。66分、低い位置でパスを受け、縦パスを入れるが読まれてしまう。82分、中盤から右サイドの天野に大きく展開。92分、低い位置で巧くボールをコントロールし、縦パスを入れる。93分、試合終了間際、CKを田中美のヘッドに合わせゴールとなる。初出場にして初アシスト。

82分 右MF16 天野(out三宅) 84分、宮川に積極的にプレッシャーをかけ、外に出させる。86分、右サイドに流れてきた浜野と連携し、センタリングを上げる。92分、右サイドで相手に当てて出し、CK獲得。このCKがゴールにつながる。

4.まとめ

 三浦選手の良さは多少は分かっていたつもりだったが、これまで観てきた試合の中で、この試合が一番、随所に光り輝いていた。今後さらに磨き上げてさらなる素晴らしいプレーを期待したい。MVP山下や日本代表を連ねる名だたる守備陣の神戸から2得点を奪った植木もさすが。1点目も2点目も簡単に取れるようなレベルのゴールではなかった。だからこそ、昨シーズンMVP山下をもってしても止めることができなかった。神戸の内容が悪かったというより、前半のベレーザの内容が良かったと表現したほうがよいのではないだろうか。後半盛り返した神戸、特に、守屋、成宮、浜野の存在感は大きかった。負けている時間でも成宮のエネルギッシュなプレーが続いていたことは、ゲームの希望を作っていた。後半から入った浜野も質の高いプレーを連発して攻撃の活性化に大きく貢献した。セットプレーや中盤でのボールさばきで力を発揮した山本摩也も好材料。
 決勝に行くのはどのチームなのか。両チームの今後の発展・質の高いサッカーに大いに期待したい。


#ジョガボーラきららさいたま のある記事に関しては、「ジョガボーラきららさいたま」の活動費として寄付し、大切に使わせていただきます。その他の記事に関しましては、「耳すま」の取材活動経費として、深化・発展のために大切に使わせて頂きます。