華族誕生 読書感想文

華族誕生 名誉と体面の明治 浅見雅男(著)

この本を読んだのは、もう20年くらい前だろうか。今でも文庫で販売されているようですね。
私が読んだのはハードカバーでした。その本は今はもう手元にありません。捨ててはいないはずだけど。実家にあるのかも。

近現代史に興味を持つきっかけになった本です。(と、今は思っているのですが、今後また認識がかわるかも)
「華族」とてもいい呼び名をつけたと思います。
明治になり、この「華族」をどうやって作ったかを書いているのですが、華族制定の経緯をとおして、幕末から明治の日本を、とても面白く知ることができたのです。

もともと王族貴族が大好きでした。お城に住むお姫様、隣の国の王子様のもとへお嫁に行きます〜〜なんて昔話に憧れて、自分で絵本など作っていた子供時代。そして、はいからさんが通るで、シベリア出兵を知りますが、そこで出てくるのが伊集院伯爵、公家華族です。高貴な人々に憧れました。
そんな私にもってこいのこの本。

華族は家格で決まります。明治維新の勲功とかは意外と一部の例しかなかったとか。大名も石高で決まったとのこと。公家だと、公爵は五摂家です。
それでも、「本当は公爵だったけど、体面を保てないので、辞退して侯爵になった」という話をする者も出てきます。いつの世も人は見栄を張りたいもの。自分が信じたいことがいつのまにか頭の中で真実に変換されてしまうのです。
人間の生々しさも書かれていて楽しい。

すごく印象に残っているのは、嵯峨実愛の話。息子の公勝が、伯爵叙されたことが気に食わなく、侯爵になるため涙ぐましい努力をするエピソード。
ウチが伯爵だなんて納得できない!侯爵になりたいんだ!と、ありとあらゆる理屈をこねて、とうとう嵯峨家は侯爵となります。
とても滑稽です。そして実愛は90歳まで生きました。
嵯峨家(正親町三条)が、侯爵になったおかげで、後年、公勝の孫、嵯峨浩が、愛新覚羅溥傑に嫁ぐことになってしまいます。公爵侯爵は皇后になれる身分で、伯爵以下とは大きな格の違いがありました。皇后になれる身分に準ずるということで、浩が選ばれてしまいました。
その後の浩の波乱万丈の人生を思うと、伯爵令嬢のままだったら、日本でなんの苦労もなく暮らせたのに、、、と思ったものです。
余談ですが、二人が結婚式を挙げた九段会館が一部保存されることになって良かったです。靖国神社に行った時は、必ず外観を見に行っていました。あの荘厳さはなかなかありません。

筆者は学者ではないので、歴史書というわけではありませんが、維新勲功者の名前を覚えたりするのに良いです。

なんとなく思い出して、アマゾンで検索したら出てきたのでとても懐かしくて感想書いてみました。

https://www.amazon.co.jp/華族誕生-名誉と体面の明治-講談社学術文庫-浅見-雅男/dp/4062922754

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